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第一印象と投票

選挙の期間が始まると,ポスターが貼られ始めます。私が住んでいる地域は東京でもはずれの方ですので,なかなか貼られない候補者のポスターもあります。人手がないと全ての場所に貼っていくのは難しいですよね。

子供たちもよくポスターを眺めてあれこれと言っている様子を目にします。私も選挙のポスターが貼られたところで顔を見て,「どんな人だろうな」と想像することがあります。もちろん,公約の内容をチェックするべきなのですけれども,どうしても第一印象で選んでしまう面もありますよね。

第一印象

どういった人物が良い印象を与えて,投票してもらえる傾向があるのでしょうか。選挙に出る候補者にとっては,切実な問題ですよね。しかも,ちゃんとどこまで研究で実証されているのかについても,知っておくときっと戦略としてプラスになるはずです。

東京都知事選も,いったいどうなるでしょうか。皆さん,ぜひ投票に行きましょう。



演説の中に現れる性格

候補者の演説を見たときに,候補者のパーソナリティをどのように推測するのか,またそこで評価されたパーソナリティによって投票する傾向が変わるのか,ということを検討した研究があります。この論文です(Voting for a personality: Do first impressions and self-evaluations affect voting decisions?)

この研究では,まず,自分がもつのと似たパーソナリティの持ち主だと認識する政治家により投票する傾向があるだろうということを検討しています。自分と似た性格の候補者に投票しがちだろうということですね。

また,自分が高く評価するパーソナリティの次元は,投票しようとする政治家よりも植田と認識する傾向があるだろうという仮説も立てられています。自分がもつ性格の特徴は,評価する相手よりも多くもっているだろうと認識する傾向があるということです。誰かを評価するときには,正しさよりも「自分と比べてどうか」という観点から評価するだろうという仮説です。

ドイツの政治家

調査に参加したのは,オーストリアのウィーンにある大学の学生たち80名です。まず,自分自身についてビッグ・ファイブ・パーソナリティを回答します。そしてこの大学生たちは,40名のドイツの国会議員の候補(男女20名ずつ)の短いビデオを見ます。1つにつき,だいたい15秒くらいだったそうです。ビデオの下の方には候補者の名前や政党が出ますので,カットされています。もちろん,他国の候補者ですし,学生たちはどの候補者の名前も知らなかったそうです。

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