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家にある本は子どもにとってよい教育資源になる

最近,アメリカを席巻している日本人のひとりが近藤麻理恵さんです。この記事(I need to KonMari!  動詞になったこんまりに聞く、世界を驚かせた「片付けの精神」)では見出し画像にスティーヴン・コルベアのレイトショーに出演している様子が映っていますが,こういう番組で取り上げられるのもすごいことです。

登場している時の様子はこの動画でしょうか。


紙の本に対する態度

そして,ここでひとつアメリカの人たちとの文化の違いが露呈している問題があります。

それは,本をどのように扱うかです。紙の本に対する思いが違うために,「家の中に本を少なくしよう」という考え方には反発したくなる人もいるようなのです。

この記事(こんまり論争にも発展。西欧人はどれほど本好きか)でも書かれていますが,「少なくとも「教養のある人」は本が好きな傾向があり,彼らは本を「知性を豊かにするもの」「特別のもの」としてとらえている」とのことです。

子どもと本

家庭の中に本があることが,良い影響をもたらすという研究はいくつかあるようです。今回はそういった研究を見てみましょう。

ちなみに,子どもの読書については以前も記事を書いたことがあります。親にとっては子どもを本好きにさせたいのですが,「好きになれ」と言ったところでそうそう好きになるわけではありませんよね。なかなか難しい問題です。

ずっと待つ

「本は子どもを幸せにするが、絶対に「本を読め」と言ってはいけない」というタイトルの記事を見つけました。確かに自分自身,「この本は読むべきだ」と言われた本にはなかなか手が伸びなかったり,買ってもずっと(時には何年も)置いておくだけだったりすることがあります……。

その自分自身の姿を思うと,無理に本を読めと言っても読まないだろうなと思うわけです。

自分の子どもにも「この本が面白いかも」と思って買ったりのするのですが,子どもが興味がないうちはずっと待っていたりします。時には本を買ってから何年か経って,ふと見ると子どもが手にしていたりします。そういう姿を見ると嬉しくなりますね。

家の中に本が500冊

さて,子どもと読書についてです。まずは,この論文(Family scholarly culture and educational success: Books and schooling in 27 nations)を見てみたいと思います。

世界27カ国,7万人以上におよぶ調査を使って,家庭の中の本の冊数と子どもの教育年数との関連を検討しています。調査対象になった国全体では,家の中に500冊以上の本があると,平均3.2年教育年数が長くなるそうです。その一方で,中国などいくつかの国では,家の中に500冊以上の本があると子どもの教育年数が平均6.6年長くなるのですが,アメリカでは平均2.4年だったそうです。比較的豊かではない国の方が,本の冊数と子どもの教育年数との関連は大きい傾向があったそうです。そして,親がどの程度の学歴かということよりも本の冊数のほうが子どもの教育年数とよく関連したそうです。

これは単に「本があれば良い」ということなのではなく,家の中に何冊本があるかは,家庭が子どもにかける投資の程度を表すひとつの良い指標だということなのでしょう。

世界中で見られる効果

もうひとつ論文を見てみましょう。この論文(Scholarly Culture and Academic Performance in 42 Nations)です。

こちらはOECD諸国で行われた学力試験のPISAのデータ,42カ国の20万人分を分析しています。

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