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回答バイアスを除いてから性格の日米比較をしてみると

パーソナリティは質問項目で測定されます。「私は○○である」という文章に対して,「当てはまらない」から「当てはまる」までの何段階かで回答していくやり方です。

この文章と選択肢のセットで測定するというやり方は,100年くらいずっと行われていることです。この測定方法についても,あれこれと「これではよくない」「もっといい方法があるのでは」と意見はさまざまあるものの,結局は回答の負担が少なく,それなりにそれらしいデータが手に入るという点で,結局はいまでもこの方法が世界中でよく使われているということになっています。

バイアス

この回答のやり方で問題なることの一つが,特定の方向にバイアスがかかることです。これは,回答バイアスと呼ばれたりします。

回答バイアスについては以前にも書いたことがあります。たとえば,こういったことです。

◎社会的望ましさ反応……より良く見せようとする傾向
◎極端反応傾向……端の選択肢ばかりを選択する傾向
 (例)5段階で1と5ばかりに○をつける
◎黙従傾向……質問に肯定方向に回答しやすい傾向
 (例)「いいえ」よりも「はい」,「あてはまらない」よりも「あてはまる」
◎中心化傾向……中央の選択肢を回答しやすい傾向
 (例)「いいえ」「どちらでもない」「はい」だと「どちらでもない」
◎キャリーオーバー効果……ある質問項目の内容が次の質問の回答に影響する傾向
 (例)恋愛経験の質問をした後で自己評価を尋ねると,逆の順番の場合とは回答内容が変わってしまう
◎近接誤差……隣接する質問には同じような回答をしてしまう傾向

回答バイアスを除いて日米比較

すでに手元にあるデータを用いて,この回答バイアスを取り除くことはできるのでしょうか。バイアスを取り除いて日本とアメリカのパーソナリティ特典を比較した研究があります。この論文です(Cross-Cultural Comparisons of Personality: Beware of Method Factors)。

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