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日々是好日・心理学ノート

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#コラム

就職面接で生い立ちを聞いても良いのですか

先日,学生を話をしていたときのことです。すでに就職は決まっている学生なのですが,面接で自分の両親のことや生い立ちのことを聞かれて,「そんなことを聞いていいのか」と疑問に思ったそうなのです。 なぜなら,苦しい生い立ちの学生がいるかもしれません。特殊な境遇で育った学生がいるかもしれません。苦しい子ども時代のことを回答したくない,という学生もいることでしょう。もしも何らかの思想信条が絡んできたとして,それで就職できない,というのは大きな問題でしょう。 このような可能性があるのに

「相性」を気にしますか?

「相性バッチリな相手と巡り会えた」 こんな人生があったら,とても幸せな生活が送れそうです。 逆に 「この人とはどうしても相性が合わなくて苦痛でしょうがない」 と思うこともあります。 私自身,ばっちり気が合う人,どうしても合わない人,という相手がいるように感じることはあります。それは仕事をしていてもそうですし,学生を相手にするときもそうです。 まあ,大人ですから「合わないな」と思ってもやり過ごしますし,「なんだかわからないけれど合わないな」と思う学生でもちゃんと教えます。

「反比例の関係」は本当に反比例でしょうか

「反比例の関係」という表現をよく見るのです。 比例と反比例というのは,あの学校で学んだ内容のことです。 もちろん,それぞれの意味はわかっているはず,ですよね。 なんといっても,中学校の時に平面にグラフを描いて問題を解いた記憶は誰にでもあるだろうからです。 それはそうなのですが,今回問題にしたいのはニュースの記事の中でよく見られる「反比例」という表現についてです。 いくつか例を見てみましょう。 反比例の例今回取り上げたいのは,こういう表現のことです。比較的最近の記事だ

「〜たり,〜たり」が気になる

Wordでこんな文章を書いていると…… 「ストレスに強かったり,動じない傾向がある」 の場合,「強かったり」に下線が引かれます。 それは 「〜たり,〜たり」と繰り返しなさい! という警告です。 「ストレスに強かったり,動じない傾向がある」  ↓ 「ストレスに強かったり,動じなかったりする傾向がある」 このように「〜たり」を繰り返すと,下線が取れるのです。 守った方が良いでしょう by NHKNHK放送文化研究所に記事がありました。 Q. 「(休みの日には)本を読ん

暑い!—気温にまつわるあれこれの話—

本当に今年は暑い日が続きます。 愛知県から東京に越してきたときには,「東京ってなんて夏が短くて,涼しいんだ!」なんて思っていたのですけどね。 実際,愛知県は梅雨の時期から9月いっぱいくらいまでずっと蒸し暑い日が続くのですよね。エアコンのない部屋で寝ていたので毎晩,汗との格闘でした。 蝉の鳴き声も,涼しい山の中で聞けば気分も良いのでしょうが,じとっとした夏の暑さの中で聞くとかえって「むかっ」とした気分を高めてくれます。 海外の多くの大学はすでに5月から夏休みということもあ

学校は通過するだけですか?

首都圏では14%前後の小学生が,中学受験をするそうです。 東京に来て,しかも自分の子どもが受験をするようになって,初めて「それくらいが受験をするんだ」ということを知りました。本当に,世の中というものは知らないことだらけです。 何を気にする?子どもが進学するときに,親は何を気にするでしょうか。たぶん,こんな回答が返ってくるのかな,と想像してみますと......。 子どもがのびのびと過ごすことができる環境?人間として成長できること?学校行事や留学の制度が整っていること?いじ

OJTと学校教育

OJTと略されることもありますが、On the Job Trainingとは、現場で働きながらトレーニングしていくことです。日本の企業では、現場に出てOJTで学んでいく、ということが多そうです。 まず、とりあえず現場に出て学んでいきましょうか、という仕事のトレーニング・スタイルですね。 入試業務の経験私自身もそうでした。 就職して初めて入試を担当した時のことです。ほとんど説明も受けずに試験会場になっている教室に行って、補助に入った事務の方からいきなり「はい、では先生、こ

雑誌『児童心理』休刊ということで掲載させていただいた記事のまとめ

金子書房さんのツイートで,雑誌『児童心理』が休刊となることを知りました。 こちらがサイト上のお知らせです。2019年3月号(2019年2月12日発売,73巻3号)で休刊となるそうです。 児童心理は1947年創刊,2015年には1000号を発行した,長期間続く雑誌のひとつです。 私もいくつか児童心理に記事を書かせていただきました。それを振り返ってみたいと思います。 児童心理の記事は,仮タイトルがつけられた状態で依頼されます。おおよそこういった内容で書いてくださいという依

不定期メモ 2019.1.17/専門家であるための仕組みとAIが奪う仕事の話

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ゼミ選抜と就活の類似点

先日ゼミ決めが行われました。定員を超えてしまうので,どうしても何かの形で学生を選ばなければいけません。私学は国立に比べてゼミ生が多いのですが,1学年十数人ですので,私学のなかではまあまあの人数かなとも思えます(1学年20人を超えるという大学の話も聞くことがあります)。 そしてこの前の授業のときの感想に,「ゼミ選抜も就活みたい」というようなことを書いてきた学生がいました。 確かに,と思いました。ゼミ選抜と就活には, ◎成績が加味される → 大学名で足きり ◎志望動機を書く

子どもと読書

「子どもに読書をして欲しい」と望む親は少なくないように思います。 読書には年齢も大きな要素がありますよね。我が家も,子どもが小さな頃から年齢にあった本をセレクトして買ったり図書館で借りたりしていきました。 ただ,一番上の子はそれで大丈夫なのですが,下の子が読む本のコントロールはなかなか難しいものがあります(なにせ,上の子の本がすでに本棚に収まっていますので)。 心の理論物心ついた頃の読書を考える上で,心の理論の発達がポイントになるかな,と思ったことがありました。 心の

研究の流行を追ってみる

今回は自己愛(ナルシシズム)の研究がどうやって広まってきたのかを見てみたいと思います。これをひとつの例として,ある領域の研究が始まり,広がっていく様子を一歩引いて眺めてみようという試みです。 1980年代と90年代,そして21世紀に入っても,特にアメリカのパーソナリティ心理学ではナルシシズムの研究が盛んに行われてきました。特に初期は,今のように市民権を得た概念ではなく,少し変わったテーマという位置づけでした。 下でも書きますが,2011年から2018年までの8年間に,“n

かっこいいバーナムとバーナム効果

心理学でバーナム効果といえばあまりにもよく知られていて,バーナムを心理学者だと勘違いしている人すらいるのではないかというくらいです。 まずは,バーナム効果を体感してみましょう。 あなたの内面を当てます下に書くのは,あなた自身を分析した文章です。もちろん,私はあなた自身をこれまでよく知っているわけではありませんでした。でも,この記事にたどり着いたあなたの内面については,ある程度推測ができるのです。以下の文章は,これまでの研究から見出された,この記事にたどり着いたことからわか

「完璧ではない主義」で仕事をこなす

今回は,あれこれと頼まれる仕事,特に仕事柄,原稿を依頼されることが多いのですが,そういう「頼まれた仕事」に対してどういうスタンスで取り組んでいるかについて,とりとめもなく書いてみようと思います。 私自身の研究業績一覧はこちらの通りです。 このリストの中には,書籍とか書籍の中の一章とか,一般向けの雑誌の記事とか,翻訳とか,さまざまな頼まれて書いたものが含まれています。基本的に専門的な論文は書きたくて書いているので,頼まれる仕事とは少し質が違います(といっても共同研究者からの