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元田中マロ
2019年9月12日 10:13
コーヒーを飲んでいる彼女を見るのが好きだった。彼女はデミタスサイズのコーヒーを、ほぼ 5 回に分けて飲む。時間をかけないので、飲み終えたときに、まだカップが温かい。最初の 2 口は立て続けに。飲み込んでから一息ついて 3 口目。一度ソーサーに戻して、コーヒーの残ったカップの様子を楽しんだ後に 4 口目。別れを惜しむように、最後の 1 口。そのシークエンスを思い出すのに、彼女はいつ
2019年9月12日 10:17
「もしもし」もしもし「はい」少し声が掠れて聞こえた。気のせいかもしれない。ええと「はい」僕らはケンカをしていた。少なくとも僕はそう思っていた。いつもなら僕が謝っておしまいなのだが ( これは緊急避難ではなく、大方の場合において僕が悪かった )、今回のは謝って終わる話ではなさそうだった。僕はケンカの切っ掛けを思い出して、この諍いがここまで大事になるという事が理解できないでい