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【地域の話】自然農法の田植えに挑戦!そして善意の種が芽吹くの知りました。#250

皆様、おはようございます。
佐伯です。

先週の土曜日になべちゃん農場に自然農法による米作りを学びに行きました。

今回は前回の続きとなります。
前回は苗の生育について学んだ後、田起こしをして雑草対策をしました。

今回はイキイキと成長し元気一杯の苗を実際に田んぼに植える作業です。田植えひとつとっても一連の作業の大変さ、繊細さなど経験することで学べることがたくさんありました。

そして、こう言った渡辺さんの善意の種が芽吹き子ども達に良い影響を与えたと言う話を聞き感激しました。

今日は実際の作業、無農薬での環境、そして子ども達に時間を割いて丁寧に農業について教えることで出た良い影響、そう言ったお話をしたいかと思います。


①子どもが入っても安心できる田んぼ

私の実家は富山県の砺波平野と言う関東平野に次いで大きな平地にあります。
その為、実家の周りは田んぼだらけでした。

子どもの頃はよくおたまじゃくしやイモリなどを捕まえては観察して遊んでいました。
ですが、両親から一つだけ注意するようにと言われていたことがあります。

それは田んぼに赤い旗が立ったら田んぼに近づいてはいけない

と言うことです。
当時は分かりませんでしたが、今では分かります。
赤い旗は農薬を散布した印だったのです。

幼心に赤い旗は不気味な感じがして怖かったのを記憶しています。


現在、学んでいる自然栽培では農薬は使用しません。
その為、子どもが田んぼに入って遊んでも大丈夫です。

ヤゴを発見し喜んで田んぼに突入する息子です。
綺麗な環境でのびのびと成長しているオタマジャクシです。
講義の合間に息子にアカハライモリの捕まえ方をレクチャーしてくださる渡辺さん。

このように、自然栽培は環境に負担を掛けないため自然との共生が可能です。
子ども達にとっては、田んぼがより身近な存在になり、生き物の宝箱となります。

実際に私も感じたのですが、田んぼの水の温かさ、土の細かさ、様々な生き物が悠々と田んぼで生活しているのを見るのは、五感や感性に響くものがあります。

大人の私でさえ、たくさんの刺激を得ることができるのです。
子どもにとってはこの新鮮で感度の高い情報は心と体の成長の糧になるのは間違いありません。

たくさんの発見と成長ができる本来の自然は、子どもにとっては先生のようなものだと感じました。

②実際の田植えに挑戦。食べ物を作る大変さを実感できます。

さて、今回の講義の主題である田植えです。
今回は2パターンを学びました。

1つ目は昔ながらの手で植える方法。
2つ目は現代的に田植え機を使用する方法。

どちらの方法でするにしてもまず、苗を回収しなければなりません。
まずこの苗の回収がかなり力のいる作業でした。

大地に根付いた苗を回収するのは相当な力が入ります。力一杯引っ張りようやく取れます。

これらを植える分だけ回収し、軽トラに積載します。
使わない分は回収しません。

苗はガッチリと大地に根付いて力強い反面、一度大地から離れると急速に弱ってしまう繊細さがあるとのことです。
慣行農法とは違い、こう言った繊細さが自然農法の肝となっているのは作業を通じて実によく分かります。


まずは昔ながらの手作業です。

コロとやばれる等間隔に田んぼに印をつける農機具を使いその線に沿って田植えをします。

本当に大変でした。
大変すぎて毎年美味しいお米を作って下さる農家さんに感謝します。
と、抽象的なので簡潔に説明しますと、

  • 足場が悪く思うように歩けない

  • 田植えのため常に中腰(腰が砕けそうに痛い)

  • どんなに気を付けても途中で苗の列が蛇行してしまう

お米の中には88人の神様が宿っていると言いますが、そう思いたくなるほどの大変さです。

何より、足場が悪く前に進めません。
方向転換もままなりません。
田んぼのど真ん中で、苗が品切れになると取りに戻らなくてはならないのですが行って帰ってくることを考えると途方に暮れます。

実際に体験して分かったことです。
もちろんこれは自然農法でも主流ではないのですが、基礎として知っておくことは重要です。

人類の叡智、田植え機の投入です。作業が格段に楽になります。

感覚的な表現で申し訳ないですが、手で植えるのと田植え機を使用するのでは作業スピードが倍以上違います。

渡辺さんのようなプロでない限り一般的には自然農法での米作りは生産量が安定しませんし、少ないです。

こう言った農機を投入することで生産性をあげることがとても重要です。

このように作業を通じてわかることがあります。
自然農法での米作りは自然と対話する高度な技術、生産性を上げるための高価な農機具が必要になります。
化学物質を使わないことを選択するために必要なコストがこれだけ掛かることが分かります。

慣行農法で収穫されたお米が5キロで安いもので2,000円前後で、自然栽培のお米がその倍近くする理由がよく分かります。

そして慣行農法がなぜ安いのかも一度皆様にも考えて調べて頂きたいと思います。

大切なことは、その事実が自分自身にとって許容できるかどうかです。
選択肢を値段で決めては後悔することが往々にしてあります。

インフレで物が少なく高くなりました。
私たち消費者はデフレの時より一層賢い消費者である必要があります。

③善意の種が芽吹くとき

作業が終了しお昼ご飯をみんなで食べていました。
そのとき、渡辺さんが嬉しそうに話してくれたことが印象的だったのでご紹介したいと思います。

渡辺さんは4年ほど前から地元の保育園や幼稚園の子ども達にボランティアで自然農法による農業、生き物との共生について教えているそうです。

先日、地元の小学校の先生から連絡があったそうです。

「総合の授業で米作りを実践しているのですが、農薬や化学肥料を使うべきかどうかで児童が話し合っています。そんな中、以前、渡辺さんの教室で自然農法を学んだ児童がいて、農薬や化学肥料を使わなくてもお米はできると発言しました。他の児童も興味深々で是非詳しく知りたいと申しております。私も興味があり調べてみました。すると渡辺さんが実践していると知り、新しい可能性を提示したく、ぜひ一度児童たちに講義をして頂けませんか?」

4年前に渡辺さんが子ども達に配った善意の種が芽吹いた瞬間です。
かつて園児だった子ども達は、成長し小学生になりました。
そして、自ら考え実践する授業を通じてかつて学んだ困難だが、皆が幸せになれる方法を覚えていました。

近く渡辺さんはオファーのあった小学校に講演に行くそうです。
より多くの子ども達に善意の種を配ることができるでしょう。

そして、普通に対し疑問を持ち、多角的な視点を持つことの意味を知り、たとえ困難な道のりであったとしても挑戦することの尊さを学ぶに違いありません。

次の世代を担う子ども達に私たち大人はどれだか多くの良き物を残せるでしょうか?

私は子ども達に可能性と挑戦の意義を伝える事ができた渡辺さんを心から尊敬します。

④まとめ

息子と2人で参加して常々感じることがあります。
先ほどの章でも述べましたが、私たち大人は子ども達に一体どれだけの可能性と良き物を残せるのかと。

隣で真剣な面持ちで草むらにしゃがみ込み、昆虫採取に励んでいる息子の姿を見て50年後もこの環境を残せるのかと考えます。

短期的な利益を追求するのであれば、大量の農薬や化学肥料を使い、化学肥料に使用されるマイクロプラスチックを自然に垂れ流せば達成することはできるでしょう。

しかしそれは本質的には売上でしかなく、未来の自然環境を前借りしてるだけに過ぎないのではないかと考えます。
結局のところ、経営的には未来からの借入を利子をつけて返済したら赤字です。

これは持続可能な農業のあり方でしょうか?

確かに現行の慣行農法全て自然農法に切り替えることは現実的ではありません。
ですが、渡辺さんのように困難に挑戦する人々が増えより生産性の高い、自然農法が確立されればより良い未来を描けるかと思います。

今回、4年前に配った善意の種が芽吹き子ども達が自然農法を自発的に学ぶことを決めました。

彼らが大人になり、さらに学びを深め自然農法に挑戦し、人と自然が共生できる未来を描いてくれるのではないかと私は思います。

私も引き続き渡辺さんの元で学びを深めたいと思います。

それでは皆様、ご機嫌よう。

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