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【地域の話】自然栽培による稲作を学ぶ。人と自然の調和とは何か。#229

皆様、おはようございます。
佐伯です。

先日の土曜日ですが、noteでも少し触れました自然農法のプロ:渡辺さんに師事し自然農法について学びました。

私自身は食品販売事業者なので農業に携わることは無く、あくまでも出来上がった農作物や加工品を販売することがメインになります。

ですが、この仕事をしているうちに自然農法についてとても興味が湧きました。

1つ目は農薬や化学肥料を一切使わずにお米が作れるのか実際に体験してみたい。

2つ目は農薬等を使用しない条件でのみ発生する、自然との調和、日本の固有種の生き物との共存、全体とてしの里山のデザインをどうしても学びたくなりました。

今回、初めて参加しましたが本当に驚きの連続でした。
土の感触、水の冷たさ、陽の光、私たちが忘れがちな当たり前の自然がどれ程、私たちに恩恵を与えているのかを再認識しました。

今回は田起こしの作業をしたのでその話を中心にしていきたいと思います。


①苗代田んぼの育成と驚きの現象

稲の赤ちゃん、苗です。実際にみると青々として生命力に満ちています。

上記の写真は稲の苗です。
前年度に収穫した籾から発芽させます。
この時大事なのは親となる稲も自然栽培で生育したものかということです。

渡辺さんが使用する苗は全て自然栽培で作られたものです。
適切な温度管理、山からの冷たい湧水をたっぷりと吸収し、すくすくと成長しています。

実際に田んぼに入るとわかるのですが渡辺さんの管理する田んぼの水はとても冷たいです。
私の実家も富山県の砺波平野に位置していたので何度か水の張った田んぼには入ったことがあります。
割と温く、温水プールのような暖かさなのです。

ですが、渡辺さんの管理する田んぼは山から直接湧き水を引いているのでとても水温が低くひんやりとしていました。

また、渡辺さんの説明で驚きが一つありました。
それは「東側に位置する苗ほど発育が良い」という事実です。
説明によると、太陽は東から登って西に沈むことから、東側の方が日照時間が長く生育が良いとのことでした。

ですが更に驚きなのは生育スピードにはバラツキはあるものの、ある一定まで成長すると1番早く成長した苗は一旦成長を止め、遅れて成長している苗が大きくなるの待っているとのことです。

こればかりは理由はわかりません。
恐らく科学的に調べれば何かしらの理由があるのかも知れませんが、実証していない以上、生命の神秘としか言いようがありません。

少し分かりにくいですが畦道の補強です。理由はもぐらから田んぼを守るためです。

苗の生育状況を確認すると畦塗りの作業です。
田んぼの土を熊手の様なクワで既存の畦道に載せ、平らなクワで丁寧に整形していくという作業です。

この作業をしないともぐらが入り込み畦に穴を開け、そこから水田の水が流出するとのことでした。

これも一切、農薬を使わず先人の知恵で対処できます。

ちなみに塗りたての畦は柔らかく、昔の人は更にそこに豆を植えていたそうです。
合理的で無駄がありません。

②里山の生き物たち

作業中、息子はここにしか生息しない生き物夢中になっていました。

自然との調和とは本当に素晴らしく、他では見ることのできない貴重な日本の固有種の宝庫でした。

今回の息子のお目当てはアカハライモリとゲンゴロウでしたが、残念ながら見つけることはできませんでした。

しかし、珍しい日本の固有種「シュレーゲルアオガエル」に出会えました。

最初に発見したのがオランダ人のシュレーゲル博士だったためハイカラな名前です。
シュレーゲルアオガエルの卵塊です。大切に見守っています。

鳴き声はアマガエルと違い「コロコロ」と可愛らしいです。
日本全国に生息していますが、昨今の慣行農業と山を切り開く開発で少しづつ個体数が減っているとのことです。

ちなみに卵塊はタヌキの大好物とのことです。
自然の厳しさの一端を垣間見ました。

また、一部都道府県では準絶滅危惧種に指定されています。

今はまだ大丈夫、だが未来は分からない。

全ての生き物当てはまることですが、このシュレーゲルアオガエルは他の種より一歩先に行っていることは間違いありません。

③自然農法の雑草対策

雑草は農業をする上で必ず出てくる問題です。
慣行農法では農薬を散布することでその生育を止めていました。

では農薬を使わない自然農法ではどうするのでしょうか?

答えは田植え前に田んぼを良くかき混ぜて雑草の種を沈み込ませ窒息させるという手法です。

当たり前ですが魚でもない限り、水中から酸素を摂取できず死にます。
それは植物も同じことです。
仮に土の中で発芽しても双葉が水や土に埋まってしまっていれば、それでおしまいです。

現代のトラクターのハイスペックぶりに驚愕しました。めっちゃ高性能です。

作業は、「荒起こし、中起こし、代かき」と最初は荒く土と水をかき混ぜ、徐々に細かくかき混ぜていくという作業です。

これで、土の塊も細かくなり均一になります。
すると重たい雑草の種から先に沈み、最後に最も軽い土がその上に堆積していくというわけです。

手間は掛かりますが、この様にすれば農薬を使用せずとも雑草対策ができるとのことでした。

それでも一部、強靭な雑草が生えるそうですが、それより先に稲が生育しているので十分に日光を得ることができず枯れてしまうそうです。

④まとめ

今回に講義を受けて感じたことは、

農業も学びを深め、挑戦と検証の連続でどれだけでも良くなっていく

渡辺さんも苗の育成や雑草対策も最初から上手くいった訳では無かったそうです。
自分で学び、挑戦し、失敗を検証し、再度挑戦する、この繰り返しとのことでした。

自然農法は上手くいかない

と頭から否定されている方も大勢いることは知っています。
ですが、それは挑戦不足ではないでしょうか?

と、同時に失敗した時に

それみたことか!

と言う不寛容こそ問題だと思います。

失敗なんてものはあって当然、問題はそこから何を学び次に活かすかです。
今回の講義を通じて挑戦し続けることこそ、進歩や新しい技術の確立に必要なことだと気づきました。

あと最後に大事なことですが、渡辺さんをみていて心から感じたのですが成功してお金持ちになりたくて挑戦している訳ではありません。

農業が好きで、自然が好きで、人や動物たちが大好きだから何度でも挑戦しているのだと感じました。

お金や名声は在って困るものではありませんが、それだけが人の挑戦の原動力になる訳ではないと知りました。

好きな気持ち、もっと良くしたい、これで誰かを喜ばせたい

結局はこう言った利他的な動機こそ、人を動かす原動力なんだと改めて学びました。

これからも引き続き、渡辺さんの元で学びを深めたいと思います。

それでは皆様、ご機嫌よう。

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