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歌うひとのための「たとえ、つれなくても(Sebben, crudele)」

曲:A. Caldara/詞:A. M. Luchini

対訳

Sebben, crudele,
たとえ つれなく
mi fai languir,
私をやつれさせても
sempre fedele
絶えず 誠実に
ti voglio amar.
君を愛したい

Con la lunghezza
長い間
del mio servir
私が傅いていれば
la tua fierezza
君の残酷さを
saprò stancar.
磨り減らしえよう

歌詞について

もとは牧歌劇「愛の誠は偽りに打ち勝つLa costanza in amor vince l'inganno」内のアリア。
よく言えば一途だが、悪く言えばストーカーと紙一重のようでもある。

 *

四行二連からなり、すべて五音詩行。偶数行は字足らずである。
五音詩行はアクセントの位置にバリエーションがある。この詞では、奇数行が「強弱弱」、偶数行が「弱強」というリズムを思わせる配置となっている。

Seb/ben, / cru/de/le,
mi / fai / lan/guir,
sem/pre / fe/de/le
ti / vo/glio / a/mar.

(「/」は音節の切れ目。太字はアクセントの位置)

 *

脚韻が「ABAC DBDC」という形式になっている。
押韻する単語の組合せを取り出してみると、

crudele(残酷な)・fedele(誠実な)
languir(弱らせる)・servir(仕える)
lunghezza(長さ)・fierezza(残忍さ)
amar(愛する)・stancar(疲弊させる)

「君」と「私」の動作や様子の対比となっている。

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