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みみすずの可能性のようなもの

みみすず制作譚part2


原稿を完成させる。と平行しながら行なっていた作業があります。

それはこの企画が魅力的なものかどうかを伝えるための資料を作る。

というものです。


執筆の休憩にわたしは現代の出版状況を調べます。


この資料は多くのクリエイターを口説くときに使おうと決めていました。

説得力が増えますし、自分を安心させたい。という思いもあったでしょう。

しかし、あまり役に立ちませんでした……。

こんなことに時間を使ったのは無駄だったのk……いやそんなことはない!


ここにわたしが調べた限りの情報(去年)を、わたしなりの解析も含め記していこうと思います!








2017年の雑誌の推定販売金額は前年比10.8%減の6,548億円。

97年をピークに20年連続で下がり続け、ピーク時の4割ほどに縮小した。
売れ行き良好書の半数はネット発の“新文芸”作品となっている。

文庫本市場
発行部数2016年8,467万冊。2015年8,801万冊。2014年8,937万冊。
発行金額2016年682億円。2015年739億円。2014年763億円。
販売額2016年1015億円。2015年1069億円。2014年1140億円。
平均単価2016年670円。2015年661円。2014年654円。 
 ※全国出版協会・出版科学研究所
10代後半男性1.0冊。20代0.9冊。30代0.7冊一ヵ月に読む文庫本平均(全体)。
10代後半男性2.6冊。20代2.0冊。30代2.3冊一ヵ月に読む文庫本平均(読む人)。


ここまでは全国出版協会・出版科学研究所と、毎日新聞社が毎年発表している「読書世論調査」を元に調べました。


ライトノベル市場
ウェブ発の作品が売り上げを伸ばしている。最近の作品だと7月にアニメ化されたヒーロー文庫の『異世界食堂』と『ナイツ&マジック』双葉社のモンスター文庫等々。
文庫のみに限定した市場こそ縮小しているものの、アルファポリスやKADOKAWAの「新文芸」作品、単行本のライトノベルは市場を伸ばしており、これらを合算すると市場自体はプラスとなる

カテゴリーが多様化を続けるライトノベルはまだ成長している市場である



次に飯田一史先生の「ベストセラーライトノベルのしくみ」にあった、ベストセラーライトノベルに通ずるものとして

「楽しい」「刺さる」「ネタになる」「差別化要因」というものがあった。※詳しくは本書を拝読ください。めちゃめちゃ面白いです……!



「読書世論調査2017年版」には

ライトノベルを読む学生たちの多くが友人の影響ではなく、自らの選択でライトノベルを読んでいることがわかる。というアンケート結果が出ている。


これを見て佐久良はこう思います。

「ネタになる」はいまでも健在しているのか?

※ついつい友だちとの会話に登場させたくなったり、ネット上でネタにされたりすることに近いもの。例:『とある魔術の禁書目録』の主人公が上条さんと呼ばれていたりすること等々


佐久良マサフミは意を決して、飯田一史先生にメールを送ってみました。

しかし返事は返ってきませんでした……泣


きっと自分で考えろということだ。と前向きに捉えた佐久良は答えを一瞬で導き出します。


―――健在している。


オフライン環境では、わたしたちの会話は減っているのかもしれません。

しかし、現代のオンライン環境では掲示板をはじめ、多くの方と簡単につながり合えるようになりました。

自身の2D、3Dアバターを制作してチャットを行うことも当たり前になってきました。

対面は苦手でも違う人物に成りきって、顔の見えない世界で多くの方が活躍し、その世界でしか「ネタ」を共有できないという方もきっといるでしょう。

一次創作が生まれ続ける限り、それはきっと消えないのかもしれない……。

と、元も子もないことを考えたりもしました。


他にも飯田一史先生の「WEB小説の衝撃」という本があります。

※これもめちゃめちゃ面白いです……!

こちらには、小説は運用型コンテンツへ移行する。という言葉があります。

目先の効率性を重視するのではなく、長期的に出版文化を考えていくべき―――という意見には私も賛成である。


本が「ライブのような体験型」に変わっていると箕輪編集長もおっしゃっていました。








このままわたしのメモ書きを記載しても、まとまりのない記事になってしまいそうなので、もっとまとまりのない記事へと昇華させていきたいと思います。

以下、さらなるメモ書き(語録のようなもの)。



日本のサブカルチャーの核のひとつにオタク文化がある。

「ベストセラーライトノベルのしくみ」飯田一史


現代のライトノベルは複合的な文化現象である。

「ライトノベル研究序説」国文学者・一柳廣孝



ちなみに、”ラノベ”という言葉の定義についても色々と疑問がありましたので、いくつかお言葉を借りたいと思います。


「ライトノベル」は読んでもらうための「手段」にすぎない。複数のジャンル小説を含んでいるものを「ひとつのジャンル」として呼ぶのはおかしい。

新城カズマ


「若者向けの小説」というレーベルの商品的特徴である。

キネマ旬報映画総合研究所・編


劇中に登場させるキャラクターを消費者に所有させることで強度を獲得する小説。

宇野常寛


どれも素晴らしい言葉で、もしかするとラノベ作家志望の方は背中を押されるものもあったのではないでしょうか。








長くなりましたがこのへんで……。


次回は「耳元の鈴を鳴らさない!」の本文作成について書いていきたいと思います。


佐久良マサフミ


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参考文献

「出版月報」全国出版協会・出版科学研究所

「読書世論調査」毎日新聞社

「情報メディア白書」電通メディアイノベーションラボ

「ベストセラーライトノベルのしくみ」飯田一史

「WEB小説の衝撃」飯田一史

「ライトノベル研究序説」一柳廣孝

「ライトノベル『超』入門」新城カズマ

「”日常系アニメ”ヒットの法則」キネマ旬報映画総合研究所

「ゼロ年代の想像力」宇野常寛


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