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港区・白金高輪などに認可保育園を開園、ヒューマンスターチャイルドが東京初進出。

 2023年4月、東京23区内に新しい認可保育園が誕生しました。ヒューマンスターチャイルド株式会社が運営する「スターチャイルド 白金高輪ナーサリー」(港区)と「スターチャイルド 東中野ナーサリー」(中野区)です。これまで神奈川県を中心に園を展開してきた同社にとって、初の東京進出となります。代表を務める川下裕左さんにお話を伺いました。

——ヒューマンスターチャイルド株式会社が運営する認可保育園が、いよいよ東京に進出します。これまでの歩みを教えてください。

 当社は2004年、横浜市で「スターチャイルドナーサリー」のブランド名を冠した保育園運営事業をスタートさせました。以来約20年にわたり、子育て世帯の多い、横浜市、川崎市、さいたま市を中心に認可保育園を展開してきました。
 その一方で、東京都心への進出も10年以上前から計画していたのです。東京の人口は増加しており、行政からの補助金も多い。また、保育士の資格保持者が集まる傾向もあります。コロナ禍が落ち着いたこのタイミングで、ようやく2つの園を開園する運びとなりました。これによって、当社が運営する認可保育園は合計35園となります。

——なぜ、新しく園をオープンする地域に港区と中野区を選んだのですか?

 「スターチャイルド 白金高輪ナーサリー」は白金高輪駅から徒歩4分。2023年に竣工したばかりの、45階建てタワーレジデンスの1階にオープンしました。こうした大型住居には保育園の設置条例があるため、私たちがそこに手を挙げたという経緯です。

SDGsに配慮し自然素材を生かした素材選び、子どもの発達に合わせた遊具など、子どもたちと成長を重ねながら未来も変わらずに心地よい保育空間<みらいへの小箱>をデザインコンセプトにつくられた白金高輪ナーサリー。

 「スターチャイルド 東中野ナーサリー」は東中野駅から徒歩5分。こちらは園庭付きの一戸建てです。駅周辺ではタワーマンションの建設が続いており、子育て世帯の増加が見込まれています。東京23区の待機児童数は300人(2022年4月1日時点)と、以前に比べて減少したものの、いまだ問題は解決していません。新しくオープンする私たちの園が、待機児童問題の解消に貢献できればと考えています。

東中野周辺には、かつて東京の市中に花々を提供していた「華州園」という花園があったそうです。ここに集う子どもたちがそれぞれの「華」を咲かせられるような、園内各所に花や植物、自然の造形などをモチーフとしたデザインを施し、心地よく伸び伸びと過ごせる空間としています。

——園の特徴について教えてください。

 私たちは「かかわるすべての人が子育ての楽しさ、喜び、感動を共有できる保育施設を運営する」と理念に掲げています。子どもたちだけでなく、そこで働く保育士やスタッフ、そしてもちろんご家庭の皆さん、誰もが「自分らしく生きられる」ことが私たちの望む社会のあり方なんですね。その実現に向けて、保育、教育、施設、給食など、ソフトとハードの両面から、子どもたちが安心して過ごせる生活空間をつくり上げています。

——園全体からは、木の温もりを感じられますね。

 床や壁面、家具にいたるまで、これだけ木材をふんだんに使った保育園はまれでしょうね。運用やコストの面から、木材よりも掃除がしやすく安価な素材が好まれるからです。けれど私たちは、子どもの五感を育むことの方が大切だと考えています。子どもたちは手触りや香りから、木が生きていることを実感するでしょう。普段の生活を通してこうした体験を重ねることは、発達期の子どもたちにとても良い影響を与えるのです。

——特徴のあるデザインや家具・設備も印象的です。

 当社では、その地域にあわせたオーダーメイドのデザインをそれぞれの園に施しています。一つ一つを職人が手作りした室内手洗い場「泉」など、各園に共通した家具・設備もありますが、独自にウッドデッキや茶室を備えたユニークな園もあります。多方面からの評判も高く、いくつかの園では「キッズデザイン賞」を受賞することもできました。

——保育士にとって働きやすい職場を実現するために、具体的にはどのような施策を用意していますか?

 これまで当社では、会社都合による保育士の異動はありませんでした。同じ園に長く務めることで、地域の子どもたちや保護者との信頼関係を構築でき、それが保育の向上につながると考えたからです。
 しかし保育士自身の結婚やパートナーの転勤などで、同じ園に務め続けることが難しいケースもあります。そうした中で、転居を伴うライフスタイルの変化があっても、仕事を中断せずにキャリアをつなげたいという要望がありました。もちろん会社としても、スキルの高い人材を失いたくない。
 そこで、希望者はグループのほかの園に異動できる新しい制度を導入しました。この「社内公募制度」によって、保育士不足の解消、保育士の退職防止、そして保育士自身のスキルアップなど、さまざまな効果を期待できると考えています。

—新人保育士の採用・育成についてはいかがですか?

 もちろん新人の採用も行っています。今期も90名以上を採用しました。グループ企業のヒューマンアカデミーで保育士資格を得て、そのまま当社に即戦力として就職する人も少なくありません。
 いま、この業界では保育士を取り合っているような状況です。こうした中で、当社でも優秀な保育士を採用するために働き方改革を推し進めています。
 当社の保育士の有給休暇消化率は78%。日々の残業も少なく、仕事を自宅に持ち帰ることは絶対に認めていません。また新人の不安を解消するためにヒューマンアカデミーと共同でプログラムを開発し、さまざまな研修を充実させています。もちろん現場では新人だけにならないよう、ベテランをバランス良く配置するようにしています。

——今後の課題と展望について教えてください。

 数年前までは保育園の足りない状態が続いていましたが、今後は定員割れになる保育園が増えていくと予測されています。そんな時代に、いかに選ばれる保育園になるかが最重要課題だと認識しています。
 そこで当園では、幼稚園と保育所を統合する動きが加速していることもあり、ワークブックを自社開発するなど「教育」に力を入れてきました。また3歳以上を対象にすべての園で、専門の先生が英語や体操を指導しています。今後ますます「遊び」と「学び」の両方を充実させ、保護者のニーズに応えていくことが求められるでしょうね。

オリジナル教材「あそ*し*あそドリル」

 これからの展望としては、海外進出にも注力していきます。すでに展開しているインドネシアをはじめ、マレーシア・クアラルンプールの「三井ショッピングパーク ららぽーと ブキッ・ビンタン シティ センター」内へオープン予定など、今後は人口が増加している東南アジアを中心に、幅広く事業を展開していきたいと考えています。

<プロフィール>
ヒューマンスターチャイルド株式会社
代表取締役 川下 裕左(かわした ゆうすけ)

 大阪市の中学校で、音楽教諭として12年間指導に携わる。1992年、ザ・ヒューマン株式会社入社。ヒューマンプランニングサービス株式会社取締役、ヒューマンビジネスサービス株式会社取締役、ヒューマンリソシア株式会社執行役員、ヒューマンスポーツエンタテインメント株式会社代表取締役など、グループ会社の重責を歴任。2017年より現職。

<ヒューマンスターチャイルド株式会社・会社概要>

 2004年に横浜市青葉区で認可保育所「スターチャイルド 江田ナーサリー」を開園したのを皮切りに、「スターチャイルド」のブランドで、保育所の需要が大きい横浜市、川崎市、さいたま市の3市、そして、2023年4月には東京都港区に認可保育所「スターチャイルド 白金高輪ナーサリー」、中野区に認可保育所「スターチャイルド 東中野ナーサリー」を開園。認可保育所を35園を運営するほか、首都圏エリアで事業所内保育所8園を受託運営しています(2023年4月1日現在)。デザイン性の高い施設や食材にこだわった給食など、安全で工夫を凝らした保育環境が特長です。2021年7月より、学童保育事業(アフタースクールみなとみらい校)へ参入。2023年4月には2校目となるアフタースクールセンター北校を開校。グループ会社「ヒューマンアカデミー」のノウハウを結集した独自研修プログラムなど、保育士の研修や保育研究にも力を入れ、品質の高い保育サービスを目指しています。


※2023年3月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
肩書き・役職等は取材時のものとなります。




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