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<男性育休のススメ>育児を通して得られる経験と感動は、自分自身の成長にもつながるはず。

 厚生労働省が発表した最新のデータ(※1)によると、女性の育児休業取得率は80.2%。それに対し、男性の育児休業取得率は17.13%。「2025年までに50%」と政府が掲げる目標には、まだおよぶ数字でありません。 
 一方、男性の育児休業取得率のヒューマングループ平均は、2023年3月末実績で、20.59%。ここ数年で取得率は伸長傾向にありますが、まだまだ男性社員の育児休業取得率は決して高くありません。男性も育休を取ることがあたりまえの社風とするために、私たち一人ひとりに何ができるのでしょう。今回は育休を取得した男性社員にお話を伺いました。


ヒューマンライフケア灘の湯所長  小西和希さん

——小西さんが育休を取ろうと思ったきっかけを教えてください。
 
 私は6人兄妹の上から二番目として育ちました。実家が自営業を営んでおり、父は仕事にかかりきりで、母が子どもたちの面倒をずっとみていました。私は子どもながらに、大変そうだな、自分に家族ができたら一緒に育児をしたいなと思っていたんです。妻も初めての出産でしたから、私が育休を取ることで心強いと言ってくれました。

——育休期間はどのように決めましたか?
 
 2022年1月下旬が出産予定日でしたので、その少し前から有給を使って休みに入り、育休そのものは2月1日から10月31日までの9ヶ月間取りました。本当は1年間取るつもりでしたが、受け取れる給付金のことなども含めて、妻ともよく相談して期間を決めました。

——これまで社内に育休を取った男性の社員はいましたか?
 
 私の知る限り、育休を取った男性の先輩はいませんでした。なので、めちゃくちゃ不安でしたね。新卒入社以来ずっと休まず働いてきたので、仕事を長期間休むことに大きな不安がありました。育休を取ってしまうと置いて行かれるのではないかと……。当時の私の役職はブロック長でした。4つの拠点を担当しており、その引き継ぎについてもどうすればよいのかと心配していました。

 ——仕事の引き継ぎはどのように行われましたか? 

 2021年の秋、育休を取りたいと上司にストレートに伝えたところ「おめでとう」と祝福していただきました。私が担当していた4拠点は、上司と現場スタッフが引き継いでくれることになりました。関係者やスタッフの皆さんにあたたかく送り出してもらえ、とてもうれしかったですね。

 ——では、休暇中はお仕事の心配はなかったんですね?  

 いいえ、やはり気になっていました(笑)。あの拠点はどうなっているのか、あのスタッフは困っていないか、売上げ、利益、来期の計画などなど、事あるごとに考えていました。とは言え、たまに同期と連絡を取り合う程度で、実際に仕事をしていたわけではありません。介護関連のニュースをチェックするなど、業界の動向を気に掛けるようにしていたおかげで、復帰後のブランクはそれほど感じませんでした。

 ——育休期間は、どのように過ごされていましたか?

 妻は出産で心身を消耗していたので、しっかりサポートしなければと考えていました。母乳を与えること以外、すべての育児と家事に関わりましたね。夫婦共に育児の初心者でしたので、わからないことがあったら行政機関の窓口に相談するなどして、何事も協力して乗り切りました。



 ——ご実家のサポートはあったのですか?
 
 コロナ禍だったので実家には頼りづらかったのですが、母や、すでに父親になっていた弟が電話で相談にのってくれてとても助かりました。子どものいる友人を含め、夜泣きのことや離乳食のことなど、こまかいことを相談できる相手がいるのは心強かったです。コロナ禍でも孤立している感じはなく、環境に恵まれていたと思います。
 
——9カ月という期間について、いま振り返るとどのように感じますか?
 
 数週間という短い期間でなく、ある程度の期間を取って本当によかったと思います。実は育休中に、妻が1週間手術入院することになったんです。病院はコロナの影響で面会禁止でした。もしも、そのタイミングで仕事に復帰していたら、子どもを預ける場所もなく、とても困っていたと思います。幸い、母乳からミルクに切り替えるタイミングだったこともあって、私と子どもの二人だけでも問題はありませんでした。家事と育児をこなせるようになったのも、長い期間育休を取っていたからだと思っています。短い休みでは、きっとこんなにはやれていなかったでしょう。

——ほかに育休を取って良かったことはありますか?
 
 リアルタイムで子どもの成長を見ていられたことです。子どもは1日1日成長していくもの。初めての寝返り、はいはい、つかまり立ち、そのすべてに立ち会えたことはすごくよかったです。当初は言葉が通じなくて、なんで泣いているのかまったくわからず戸惑うこともありました。最近は片言で話すようにもなり、こういう顔をしたときはこういう気持ちなのかなと、少しずつ子どもの気持ちがわかるようになってきました。ちょっとした表情の変化で気持ちがわかるのも、ずっと一緒にいたからだと思っています。
 
——職場復帰後、生活のスタイルは変わりましたか?
 
 復帰の1カ月前くらいから、復帰後の生活をみすえて夫婦で話し合ってきました。復帰後も、一緒に育児をするというスタンスは変わりません。複数の拠点を担当するブロック長から1拠点の所長へと役職が変わったこともあり、以前に比べて仕事の都合もつきやすくなりました。また、仕事の質を落とさずにどうすれば残業しなくてすむのかを考え、優先順位をつけて仕事に取り組むようになりました。おかげで残業時間も改善され、18〜19時には帰宅し、お風呂に入れたり、絵本を読んで寝かしつけたり、子どもと向き合う時間を確保できています。
 
——いま育休を振り返って、どのようなことを思われますか?
 
 子育ては一人ではできない、ということです。家族や会社、地域の人の協力や理解があって、子どもも親も成長していくんだなと実感しました。いまの職場は子育て真っ最中のスタッフさんがたくさんいます。お子さんが熱を出して急にシフトに穴が空くこともよくあります。それをみんなでフォローしあって対応できている職場環境にはとても感謝しています。

 ——これから育休を取ろうと考える人へメッセージをお願いします。  

 「男性だから育休を取りづらい」「仕事を休むことに抵抗がある」など、不安はたくさんあると思います。けれど、さまざまな制度が柔軟に活用できるよう整えられています。職場や家族ともよく話し合った上で、ぜひ育休を取ってください。育児を通して得られる経験と、子どもの成長を間近で見られる感動は、これからの自分自身の成長にもつながるはずです。  
 介護業界は、男性の育休取得がとくに少ないと言われています。そうした業界であっても、育休をとるのがあたりまえと思われる未来であってほしい。社員一人ひとりのワークライフバランスを充実させることは、企業にとっても付加価値を高めることにつながります。ヒューマンライフケアには介護業界を率先して、男性育休を推進する会社になってほしいと願っています。


※2023年9月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
 肩書き・役職等は取材時のものとなります。

※1 出典:厚生労働省「令和4年度(2022年度)雇用均等基本調査」


<ヒューマンライフケア株式会社・会社概要>
ヒューマンライフケアは介護保険法施行前の1999年より介護事業を展開、現在では全国でデイサービスやグループホームなど各種介護事業所を展開しています。



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