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<プレスリリース>[世界のITエンジニアの給与を独自集計] 72カ国中6割がUSドルベースで上昇、各国通貨ベースでもG7構成国は平均2.6%増。日本は5.9%減で26位、円ベースでも0.4%に留まり、日本の魅力低下が懸念

 総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:御旅屋 貢、以下「当社」)は、世界のITエンジニアの動向を俯瞰的に把握することを目的に、国際労働機関(ILO)や経済協力開発機構(OECD)の公表データ、各国の統計データベース等を基に独自集計し、「データで見る世界のITエンジニアレポート」として発表しています。このたび、世界のITエンジニア給与に関する調査結果のポイントを「データで見る世界のITエンジニアレポートvol.10」として発表します。

【本件のポイント】

●世界72カ国のITエンジニアの給与をUSドルベースで比較

●6割の国々でITエンジニアの給与は増加、現地通貨ベースでもG7構成国は平均2.6%上昇

●日本はUSドルベースで前年比5.9%減少し26位、円ベースでも0.4%増にとどまる

●ITエンジニア確保に向け世界各国で給与が上昇する一方、日本の魅力低下が懸念される

※出典元の詳細は、本レポート最後に添付している別紙をご確認ください。

※ITエンジニアの給与は、給与情報などの調査会社ペイスケール(Payscale)のサイトにてSoftware Engineerの年収を調査し、2023年1月~9月の平均為替レートでUSドルに換算しています(検索日:2023年10月13日)。

【調査結果概要】

 世界72カ国のITエンジニアの給与をUSドルベースで集計し、比較したところ、給与額1位はスイス、2位米国となり、集計した約6割の国で前年より給与が上がっています。また各国の現地通貨ベースでみても、米国3.6%増、ドイツ2.6%増など、G7構成国では平均2.6%上昇しており、IT人材獲得競争が繰り広げられる中、世界各国でITエンジニアの給与が上がっていることがわかります。
 一方日本は、USドルベースのITエンジニア給与では前年比5.9%の減少、また日本円ベースでも前年比でほとんど上がらず、0.4%増にとどまりました。 

 国内では、ITエンジニア不足が過去最悪レベルであると言われる中、優秀な海外IT人材活用への注目度は高まっています。しかしながら、為替変動の影響を考慮してもなお、世界での日本のITエンジニア給与の優位性はさらに後退しており、日本の魅力低下が懸念されます。

■世界ではITエンジニアの給与アップが進む一方、日本は5.9%減少

(図表1)PayscaleのサイトにてSoftware Engineerの年収を取得し、USドルに換算しています。
(図表2)比較できる前年データが取得できた69カ国を対象に集計しています。

 データを取得できた72カ国について、ITエンジニア(Software Engineer)の給与をUSドルに換算し独自集計した結果、最も給与が高かったのはスイスで、続いて米国、そしてイスラエルが続きました。この3カ国の順位は、前回調査(※1)と同じ結果となりました。一方日本は36,061USドルで、72カ国中26位となり、24位の中国を下回る結果となりました(図表1)。
 また、前年比での増加率を集計したところ、約6割の国々で、ITエンジニアの給与が上がっています。前年比で最も増加率が高かったのはチェコ、2位はカメルーン、そして3位がコスタリカとなりました。増加率の上位10カ国には、東ヨーロッパからチェコ、ポーランド、ブルガリアの3カ国、中南米からコスタリカ、ブラジル、メキシコの3カ国が入りました(図表2)。
 一方日本は、前年比で5.9%減少しており、増減率では58位と下位の結果となりました。世界各国でITエンジニアの給与が上がっている一方、日本は、USドルベースで給与が下がる結果となりました。

※1)データで見る世界のITエンジニアレポートvol.6  https://corporate.resocia.jp/info/news/2022/20221214_itreport06

■現地通貨ベースでも世界各国ではITエンジニア給与は上昇、日本は円ベースでも上がらず

(図表3)前回調査結果と比較し作成

 日本のITエンジニアの給与が、世界各国と比較して低迷している要因の一つに、USドルに対して円安が進行していることがあげられます。為替相場の影響を鑑み、各国の現地通貨ベースでITエンジニア給与の増加率を集計したところ、日本は円ベースでも0.4%増にとどまりました。
 一方G7構成国(カナダは前年データが取得できず対象外)では、フランス3.8%増、米国3.6%増、ドイツ2.6%増など、いずれの国も日本の0.4%増を大きく上回り、G7構成国の平均では、前年比2.6%増となりました。また参考までに、中国にいたっては16.9%増でした(図表3)。
 国内では、賃上げに向けた動きが活発化しており、企業においても、ITエンジニア確保に向け給与の見直しが進んでいます。しかしながら、DXに向けた取り組みや投資が拡大する中、IT人材不足がDXを阻むとも言われる状況下において、相対的にみて、世界における日本のITエンジニア給与の優位性がさらに後退しており、日本の魅力低下が懸念されます。

▼プレスリリースの詳細

<ヒューマンリソシア株式会社・会社概要>
総合人材サービス会社として、人材派遣、人材紹介、業務受託サービスを全国27拠点で展開しています。1988年創業以来、教育事業をバックボーンに多彩なサービスを展開するグループの総合力を活かし、「人材」に関する幅広いサービスを提供しています。


本記事は、2024年1月16日のプレスリリースの抜粋となります。

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