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230603_ベンジャミン・フランクリンの自伝

2023/06/03

博士論文の作業が少し一区切りがついた。それでも内容が全然ダメだからまだまだやるべきことがある。

台風が去り、少し湿度は高いけれど、晴れやかな陽気の中で散歩する。最近、復活した例の古本屋に入り、棚を一通りチェックする。ここは値付けが安いので正直不安になる。

平置きされたベンジャミン・フランクリンの自伝を買う。正直、ただのフランクリンの自伝なら買わないのだけど、表紙に「翻訳・解説/鶴見俊輔」の文字があって、どうやらおかしな本だとわかって買った。

訳者あとがきと解説、そして小田実の寄せた短文だけを読む。もう自伝は読まなくていいかもしれない。

ベンジャミン・フランクリンは、禁欲さと勤勉さで立身出世を果たした(きわめてアメリカ的な)人物として知られているのだけど、彼に対して小田実の短文が痛烈な批判をしている。自伝を読む気を削ぐほどだ。

一方で、鶴見は比較的好意的に解説を書いている。訳者だから当然ではあるけど、ではなぜわざわざ訳したのだろうという疑問も起こる。

この本は装丁の雰囲気に反して、2015年に刊行されている。古書店の店主から、版元の土曜社はあえて古めかしい装丁や紙で本を作っているのだと聞く。あとで調べて気づいたけど、鈴木哲生さんが装丁を手がけているシリーズ(昔の翻訳文学のような見た目をしている)も、ここの出版社だった。

他の刊行物も、ある種のおかしさを持ったものも多く、正直にいえば政治的に左にも右にも偏ったような人の本を出している。大杉栄の本も、安倍晋三の本も出している。

すでによく言われていることではあるけど、出版の世界がいまや周縁であり、紙の本を作ることがエッジィなのだというのを再確認した。

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