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何回目かでタダになる?

ジンルイの熱烈なる夢、永久機関――エマ・モーター。

しょっぱな、ささやかな起動エネルギーを与えるだけで、おアトは…──ジブンでジブンに動力を与えながら永久に動き続け、エネルギーを産み出し続ける究極マシーン。

空気抵抗ゼロの宇宙空間で、漂うデブリを指で弾けば!何かにぶつからぬ限り動き続ける――みたいなもの??

永久機関が完成すれば、エネルギー問題などあっちゅーまに片づくだろに…。

そぃや、記憶にゃ薄いが…数年前?――とある外食店のポイント還元制度が永久機関化して、ニュースになったやに。

しょっぱなの飲食代が還元ポイントを生み、次回以降はその還元ポイントからさらにポイントが発生し…と、ぐるぐる循環する還元ポイントで延々にメシが喰える…――違ったっけか?

瞬時に闇に葬られたものの、まさにコレ──夢の還元ポイント・エマ・モーター!?

(コホン)…さて──。

巷間よく見る、家電量販店の爆裂チラシ…或いは――立て看板、若しくはノボリの類い。

赤や黄でド派手に炸裂する売り口上に…こんなのがある。

[他店より1円でも高ければ、ご相談ください!!]

…ってヤツ。

見かけるといつも、脳内が“別な意味"でざわめく。

“…コレって、永久機関激似のパラドックスになるんちゃう?"

ざわめくわが脳内をば──さぁ!さっそく耳穴から覗いてくれたまえ…。

【X】=[買い物客]
【A】=[家電量販店❶]
【B】=[家電量販店➋]
※【A】【B】共に《1円でも高ければ…》宣言をしている店。

まず【X】が【A】に買い物に行く。
お目当てのモノは、¥9800。

〔【X】は【A】にハッタリをカマす〕

「【B】では、¥9700だったケド?」
…すると【A】は、¥9600を提示。

〔【X】は、その足で【B】に行く〕

「【A】では、¥9600だったケド?」
…すると【B】は、¥9500を提示。

〔【X】は、再び【A】に行く〕

「【B】では……(以下くりかえし)

──と延々、ピストン交渉すれば!

“最後は、どっちかのお店で“タダ"になるやん?"

しょっぱな、【A】へのハッタリで起動する…──プライス・デクレッシェンド・エマ・モーター兼パラドックス!?

だがしかーし!

“タダ"になった時点で止まっちゃうから、やっぱ“激似"止まりの〈エマ・パラ〉か!?

…てな具合に、《1円でも高ければ…》の文言で常に起動するわが脳内思考は、いわば準エマ・モーターの如く巡り続けるのでゴザイマシタ…。

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