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なんか、見覚…え!?

目には目を
歯には歯を

紅葉には紅葉を――旬、逃すまじ。

秋も黄昏、もみじ散じるまでに…と、ココ最近〈茜燃ゆる神護寺〉を書き綴ること3連チャン。

まぁ、事実は小説より奇なりの花より団子、紅葉より時代劇小道具展がメインだったのだケド…。

気分一新、話は〈時代劇小道具展@神護寺〉堪能――の、1週間前に遡る。

仙洞御所のお向かいに地味に建つ、歴史資料館。‘地味’とはしながらも、御所を取り巻く、かつての公家屋敷町の一画である。

いやナニ、入館料がタダだから興味引かれる展示がありゃ、たまに地下鉄でピューと…ね。

『こんにちは、京都市電展』
『京の地蔵盆展』

…ジモティー・ゴコロそそられまくり、見過ごすに見過ごせなかったローカル・タイトル――過去、足を運んだのは…この2展。

ゆえゆえ、今回の訪館で‘3展目’。題して『京歴展!』――“文化庁移転”&“開館40周年”を記念した〈Ⅰ期・Ⅱ期〉の特別展だ。

〈京都市史編纂所〉が前身の、《京都歴史資料館》。その誕生に尽力した立役者が〈林屋辰三郎〉っちゅー御仁。

ゆえゆえゆえ、この“『京歴展!』〈Ⅰ期〉”の副題は[林屋辰三郎展-その人、灯心のごとし-]。

“…つか誰やねん、ピッとも知らんゎ??”

京の名勝旧跡にツキモノの…――辰野金吾、夢窓国師、小堀遠州、小川治兵衛――並みに知ってるべき‘おさーん’なのケ?

京都帝国大学(現・京都大学)文学部卒の、文学博士であり歴史学者、さらには文化史家――加えて京大教授、国立博物館長を歴任したツワモノ…と後に知る。

1914年誕生、1998年没ス――。

功績偉大なるも〈イッパン受けしなさ率:84.257%〉っぽい‘おさーん’の…まさか、その生涯80年余を俯瞰するコトに…な、る、ん、ケ!?

“…ま、いっか…タダやし”

いつもン如く、声掛けも干渉もないが…事務室に職員の気配は感じるっちゅー、ジブン的にゃ快適な“透明なるもてなし”を受け、入館。

古くは11世紀、法勝寺の瓦――そして元禄、文安、長禄…と展示物は元号を重ね、昭和、平成モノでは講義ノートや書状、書籍原稿、論文類が保護ガラスの向こうでスポットを浴びている。

笑えるのは、市史編纂所時代の出勤簿!?…あと、国家公務員兼業許可申請書――なんてのも。展示物の時代が近いせいか、ミョーに生々しくもある。

[平成5年 林屋辰三郎80歳の肖像写真]

“…‘カリスマっ’って感じでもないやねぇ”

ひと部屋ぐるり系の展示室、展示総数――およそ50アイテム。

“さてとぃ、アレが最後かな?”――展示室中央、ハベる展示ケース。

ブツは、林屋ノ翁の著作――題して『京都』…某岩波書店刊。

第1刷発行当時の昭和37年ならば、きっと‘最新’だったハズの〈京の街なか研究本 兼見て歩きガイド本〉。

“…コノ岩波本シリーズ、今でも本屋で見かけるよなー??”

――…って、アレ!?

“…つか、なんか見覚…え?”

そう遠くない過去のとある日、とある古本屋で買った本の題名に似てなくね!?

“…いや、まさかね…そんな偶然…”

――半信半疑で帰宅、取るものとりあえず“未読積み本タワー”からジェンガの如く抜き出す。

『林屋辰三郎著 京都 岩波新書』
     …/1962年第1刷発行

“ぉわっ!まさにアレやん、展示本っ!”

わが脳内では、無名存在だった林屋辰三郎。たまたま赴いた特別展で、たまたま見かけた御仁の著作を…実は何日も前に買っていたとは、お釈迦様でも分かるめぇ!?

あはは、林屋辰三郎――よもや、天上からプチ・シンクロニシティを仕掛けたワケではなかろーねぇ?





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