ありがとう。
46の誕生日、最悪だった。
2度目の大失敗。
修復可能だったけど、傷は残った。
悔しくて、惨めで、無力で、思いっきり凹んだ。
そういう時は、その他の身の回りのいろいろなことが「待ってました!」とばかりに一気に攻め込んでくる。
何もかもいやーーーーーー!!!!!
時は冬。
フランスは日が暮れるのも早い。
こうなったらセーヌに助けを求めるしかない!
相方に電話をかけながら泣く。
目の前のセーヌは濁っていて、お世辞にもきれいとは言い難いけれど、たくさんの観光客を乗せた観光船が、波をつくり、うねりをつくり、街の灯を受けてキラキラ輝く。
どん底なのに「美しい・・・」と心の底から思って、感動してまた涙する。
なんなんだ、この街は!
やっぱり美しすぎる。
その後、ゾンビのように這い上がり、次の仕事場に行くバス停に行く道すがら、またこの街の美しさにやられる。
時はクリスマスシーズン。
街は宝石箱をひっくり返したような輝きだ!
でも全然ギラギラしてなくて、落ち着いている。
落ち込んで、ひとりぼっちの人を慰める「余白」がある。
これが街のチカラ。
パリは江戸よりずっとずーっと古くから人を集めてきた。
その集大成はここにある。
どんなに汚れようと、近代化されようと、セーヌはいつもここにあって、人々を寄せ付けてきた。
それを許容してきた懐の深さ。
20年近く経って、やっとパリの良さがわかった気がする。
今日、一つのアトリエに「さよなら」するけど、私の旅は終わらない。
なぜならこれは川の流れのようなものだからだ。
セーヌよ、本当にありがとう!
大好き