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子どもを使って金儲けしようとしてると思われるかもよ。と言われた話


当時教育委員会の長だった義父にそう言われて、まさに目から鱗な気分でした。


わたしは九州の熊本を拠点にフリーランスのフォトグラファーとして活動しています。

高校卒業後に学校写真やアマチュアスポーツ撮影、小さな写真館、大きな婚礼写真会社へと渡り歩いて色んなジャンルの写真撮影を学び、2018年に独立しました。


2016年の夏、夫の仕事の都合で当時勤めていた会社を退職し、千葉県から熊本県へ引っ越してきました。その後第二子を妊娠したこともあり、少し落ち着いた時間を過ごしていました。

夕方になると見かける小中学生の下校時間。
ちょうど学校の方角は西。

西陽に照らされてふざけたり走ったり、自転車をゆっくり押しながら楽しそうに帰ってくる学生たちの姿を、保育園への迎えの車中から毎日毎日眺めていました。

その何でもない光景が、
わたしにはとてつもなく眩しく美しく見えました。

子どもが小さいうちは写真も撮る機会があったりするけれど、小学校や中学生にもなるとカメラを向けることは一気に減ってしまうかもしれません。

子どももどんどん自立するし、そのうち親子の距離も生まれるのかもしれません。家族には向けない子どもの色んな表情が、実はたくさんあるのかもしれません。

そう思うと、とても貴重で何よりも尊いものに感じました。


「学生たちの二度と戻れない今の写真を残したい」


始まりはそんなささやかな気持ちでした。

じゃあ学校で写真撮りませんか!

と、実際にはそんなに簡単な問題ではなく。

学校にはそれぞれ専属の写真屋さんがいて
行事の度に撮影が行われています。

わたしは学校写真業者さんの仕事を奪いたいわけではありません。しかも突然謎のカメラマンが写真撮りませんかだなんて、学校からしてみれば怪しい以外の何者でもなく。

個人情報保護法が出来てからは尚更、生徒の写った写真の取り扱いというものが学校内でもシビアになっていると聞きます。

考えても分からないから
まずは教育関係者の方に相談してみよう。

と思いタイトルの台詞に辿り着きました。


「子どもを使って金儲けしようとしてると思われるかもしれないよ」

義父からの思ってもいなかった台詞でした。
立場が違えば感じ方も変わるというのはなるほどまさにこの事か、と思いました。

教育委員長という立場からの正直な気持ちなのだろうなと、息子嫁への容赦のない意見をもらえてありがたい気持ちでした。

他にも助言をいただき、次は高校時代お世話になった先生に相談してみました。

同じくなかなか厳しいんじゃないかという話でしたが、2人して共通に言われたことは

「親御さんが学校に言えば大丈夫じゃないかな」



わたしが学校に営業をかけるのではなく、

学生や親御さんに見つけてもらうということ。

もちろんそれでも学校側に理解を得ないといけないのですが、それならば努力することが出来ます。


学生さんからご依頼をいただいてからの学校への交渉、撮影までの流れを組み、提出用の企画書を作成。

2019年にモニター撮影を行い、
無事《学生写真》プランをリリースしました。

学生同士だけの写真はひとり¥5,500
年中破格の値段にしています。

どうしても写真に残してほしいから。
ただそれだけの理由です。

学校の校舎での撮影に関しては、学校側へ全て承諾をいただいて撮影し、SNSなども掲載しています。

最近では学生同士でなく、
家族写真でもご依頼いただけるようになりました。

卒業アルバムには写らない、

ちょっとだけ特別な写真


大変な時代になってしまったけれど、

思い出を残すことは諦めてほしくないです。

また来年この校舎にいられるわけではないのだから。


自分たちで撮るのももちろん楽しいけど、
わたしだったら君たちが思いつかないような写真も撮れちゃうかもよ。

もし間違えてデータを消しちゃってもいつでもあげるよ。

親御さんに見せたら泣いちゃうかもしれないよ。

大人になって写真を見たら、宝物になってるかもしれないよ。

そんな気持ちで、準備万端にして。

今年も学生さん達に会えるのを待っています。




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