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またお願いします。
若い女性がすまなそうな笑顔で、
鉢を置き言った。
都心部にあるにも関わらず、
知る人ぞ知る場所。
お洒落な町並みで、
景観をみださぬよう精一杯頑張った鉢植え達は、
ここに来て療養する。
そうやって都会の鉢植えは、
うまくロ-テ-ションを組むのだ。
毎朝、カフェやヘアサロンのスタッフが、誰かしら軽トラでやって来る。






秋子は、今日も公園のベンチに座っている。

雨の日以外は毎日だ。

午前中か午後の数時間、お日様の機嫌のよい時に。


この公園には、たくさんのベンチがあり、人々はそれぞれの時間を過ごす。

遠くには、いくつかの遊具があって、子供たちの声もする。

秋子は、この公園で、【少し変わったおばあさん】として知られている。

それは、人々が、時々、耳にする、秋子の独り言。

そして、秋子が座るベンチには、いつも鉢植えの植物が、秋子の隣にある。

その鉢植えの、種類がしょっちゅう変わる。

今日は、白いシクラメンの鉢植え、先週は、ピンクのミニバラ、その前は、なんだっけ、もう思い出せない。





ここは、『緑の療養所アネックス癒しの里』。緑の療養所の別館。

80歳以上の、自立した生活ができる人々が暮らす、シェアハウス。

秋子は、ここで暮らしている。

そして、『アネックス癒しの里』の入居者で、社員でもある。

そして、ここに暮らす人々は、秋子と同じように、鉢植えの植物のケアをする。全員が入居者であり、社員でもある。

『緑の療養所』では、弱った鉢植えの植物を預かり、元の元気な状態へ戻して、持ち主に届ける、植物の癒しの場。


都会育ちの鉢植え達に、圧倒的に足りないもの。それは、

太陽の光と愛情だ。

だから、秋子達、『アネックス癒しの里』に暮らす人々が活躍する。

彼らの仕事は、こうして毎日、日の当たる公園で、ゆったりと植物達と過ごすこと。

『緑の療養所』は、植物を元気にするだけではなく、『アネックス癒しの里』に暮らす人々のグリーンセラピーを施す、自然総合療養所。



人々が、緑と共に生きる世界、それが『緑の療養所』




シモ-ヌさんの企画に参加させていただきました。

企画の詳細です。


そして、植物を愛する、といさんの『緑の療養所』、素敵な世界です。

こちらの企画は7月31日まで。あと4日間あります。

あなたも、はじはじのつづきを綴ってみませんか。


ヘッダー画像は、Haruka_Hsさんから、お借りしました。
ありがとうございます。


追伸 : 企画タイトルの』『緑の療養所』を『診療所』と書き間違えていました。タイトル、および文章中の『診療所』を企画どおりの『療養所』に訂正いたしました。シモ-ヌさん、たいへん失礼をいたしました。お詫び申し上げます。






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