ピエモンテ 三ツ星レストラン Piazza Duomo
ミシュランの三ツ星レストランは人生で2度目。
一度東京のカンテサンスに行ったことがある。
その当時は若かったこともあり、美味しかったのは間違いはないのだが、日本の食材を生かしたフレンチの繊細な味に、僕の舌の成熟が追い付いていなかった気がする。
もし今、同じものを食べたとしたら、感想も全然違ったものになるだろう。
それよりも接客のフレンドリーさに衝撃を受けた。
三ツ星という敷居に対して少し肩が硬くなっている僕を、すぐにリラックスさせてくれた。
料理人も同じだが、基礎技術をしっかりと身に着けたプロフェッショナル達の遊び心ほど居心地の良いものはない。
移転前のレフェルヴェソンスにも行ったことがある。
当時は二つ星だった。もう10年近く前のことであまり覚えていないが、初めて味わうような料理の数々に興奮した。
最初に言ってしまうが、今回のピアッツア・ドゥオモは僕の想像を遥かに超えてきた。
最近はトラットリアやオステリアの郷土料理ばかり食べていたが、ここで食事をして、久しぶりにやっぱりリストランテって良いよな!楽しかった!と幸せな気持ちになった。
今回頼んだコースは期間限定のランチコース。
4皿で170ユーロ(約25000円)。
観光目的でもないのでスペシャルテの追加はしないし、ワインのペアリングも今回は無しで。
もちろんこれでも高いのだが、他のコースはもっともっと高いので、何とか手が出せた。
でも1皿6000円なんて、いくら三ツ星だからと言ってふざけてると思っていたが、それが逆に変に僕の期待値を上げることにもならず、値段の謎が解けることによって、驚きと満足感をもたらせてくれた。
そして料理・・・。
え?
前菜?
じゃなかった。
まず前菜の前にストゥッツィキーノのという付き出しが11皿。
この時点で4皿を遥かに超えている。値段の謎が分かった!
これらの前菜を一つ一つ味わって食べるのにたぶん1時間くらいかけた気する。
まずストゥッツィキーノだけでもう8割型満足。
まだ本コースすら始まっていない。
変な例えだが、夏休み序盤に沖縄旅行に行って帰ってきて、これから海外旅行に行きますよと言っているような状態。
アンティパスト(前菜)
BARBABIETOLA(ビーツ)
ストゥッツィキーノの多皿提供にしても、一つの食材でバリエーションを広げるアンティパストの料理構成にしても、全部僕の好みなんだよな。
プリモピアット(パスタ)
RAVIOLI DI FUNGHI(茸のラビオリ)
パスタはピエモンテを代表する郷土料理、アニョロッティ・デル・プリンの再解釈。
そして、
セコンドピアット(メイン)
ANATRA "APICIUS"(鴨・アピシウス)
アピシウスは古代ローマ時代の美食家。
彼の料理書から発想されたお皿だと思う。
もう言うことない。
美味しすぎる。
ドルチェ(デザート)
100% LATTE(牛乳)
コーヒーで落ち着かねば。
そして、
小菓子も盛りだくさん。
いやあ、後半取り乱しました。
お腹いっぱいだし、酔ってるし、幸せだし。
料理人としてではなく、久しぶりにお客さんとして心から楽しむことができました。
一つ一つのお皿が、味も見た目も本当に綺麗に丁寧に作られていて、これが三ツ星かと圧倒されました。
実はこのお店に履歴書を出してることもあってか、エンリコ・クリッパシェフが挨拶に来てくれました。
少し雑談して、履歴書も後で確認してくれると言ったけど、未だに返事はない。(まあ予想の範囲内だけど。)
ここで働くことはなくなったけど、リストランテというものの概念を再確認させていただきました。
そしてリストランテという高級路線で戦う全てのコックたちに畏敬の念が生まれました。
この先自分がどのような道に進むかは未だ定かではないけれど、きっとこの体験は料理人人生において本当に大切な1ページになったと思います。
お土産も。
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