お蕎麦

昨年末はちゃんと年越し蕎麦を食べた。知り合いのお店で拵えてもらった。そのお店はとにかくお出汁がおいしいので、年の終わりにほっこりしたことを覚えている。

それから約2ヶ月半、お蕎麦を食べていない気がする。

今日は帰りが遅くなったので、何か買って帰るか、食べて帰るかと考えていた時にふとお蕎麦が頭に浮かんだ。お蕎麦食べたいなあ、と思ったけれどちょうどよくお蕎麦屋はなく、ミニスーパーにはカップ麺しかない。うーん、これじゃない。この時点で自分で作る気はもうさらさら無い。

しっかりお出汁の効いた温かいお蕎麦が食べたい、具は無くてもいい。コンビニのお蕎麦は、ざるそばや冷やしぶっかけは好きだけど、温かいお蕎麦は麺の雰囲気が今求めているものと違う。我ながら我儘で面倒だなあと思うけれどひとりの時限定なので許してほしい。

麺の角がきっちりと90度になっていそうなお蕎麦屋のお蕎麦が食べたい。実は私はもっぱらうどん派で、蕎麦のことは全く詳しくないのだが、お蕎麦屋とコンビニとカップ麺の違いくらいはわかる。今日はお蕎麦屋の気分なのだ。

しかし今、お蕎麦屋がちょうどよく近くにない。

こういう時はだいたい後になって、ああ、あそこにお蕎麦屋あった、なんて思い出したりする。しかし今は脳みそをジャックされてしまっているので、頭の中に浮かぶのはお出汁の匂いとお蕎麦の喉越しのみである。

大きな丼に口をつけて熱々のつゆを啜る。鰹と昆布の出汁と、醤油と、酒とみりんと砂糖とかの混じり合った体に染みる味。火傷しそうになりながら飲み込んで、シャキシャキのネギを噛む。もう一回ズズッとつゆを啜る。胃袋が一気に温かくなる。箸で麺を少なめに取り、啜る。お蕎麦は少なめに口に入れた方がおいしい気がする。たとえ妄想の中でも。

明日はお蕎麦を食べようと思う。


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