白黒キリン

世界にはまだ私の知らないおいしいものがある。慣れない土地や場所をうろつくときに生きてる…

白黒キリン

世界にはまだ私の知らないおいしいものがある。慣れない土地や場所をうろつくときに生きてるって感じます。日本の学校に馴染めなかったいい歳した大人。最近胃袋が縮んだ気がして悲しい。

最近の記事

ミルクレープ

薄いクレープと甘いクリームを交互に重ねたミルクレープ。 小学生の頃だったか、親に連れられて知り合いを訪ねた先で初めて食べた。「ドトールのケーキにおいしいのがあるんだ、今、買ってきてあげるよ」と言って出してもらった縞々のケーキ。飾りホイップもないイチゴも乗ってないチョコもついてない。地味。全然可愛くない。なのに食べるとめっちゃおいしかった。クレープとクリームだけなのに信じられないくらいおいしかった。お行儀良くしなきゃいけないと思いつつも一気に食べた。 先日久しぶりにドトール

    • お蕎麦

      昨年末はちゃんと年越し蕎麦を食べた。知り合いのお店で拵えてもらった。そのお店はとにかくお出汁がおいしいので、年の終わりにほっこりしたことを覚えている。 それから約2ヶ月半、お蕎麦を食べていない気がする。 今日は帰りが遅くなったので、何か買って帰るか、食べて帰るかと考えていた時にふとお蕎麦が頭に浮かんだ。お蕎麦食べたいなあ、と思ったけれどちょうどよくお蕎麦屋はなく、ミニスーパーにはカップ麺しかない。うーん、これじゃない。この時点で自分で作る気はもうさらさら無い。 しっかり

      • シチュー

        寒い日に食べるシチューは嬉しい。 寒くない日に食べたっておいしいのだけれど、窓の外をぴゅうぴゅうと寒風が吹きすさぶような日に、暖かい部屋の中で熱々のクリームシチューを食べるなんて、すごく贅沢をしている気分になる。 牛乳とコンソメに小麦粉とじゃがいもでとろみをつけて、最後にバターを溶かした簡単シチュー。今日はいつもより奮発して大好きなパンを買ってきたので一緒に食べる。食べる直前に粗挽きの黒胡椒をかけると味にアクセントがついてさらにおいしい。 自炊をするようになって、シチュ

        • サイダー

          夜ごはんが味の濃いものだったせいで、やたらと喉が渇いていた。 お茶を飲んでもみかんを食べてもおさまらない。喉越しが優しすぎて物足りない。こう、何か喉にガツンとくる刺激が欲しい。 そうだ、こういう時は炭酸だ。 普段、炭酸は飲まない。ビールも発泡酒も飲まない。なので買い置きなんて無い、はずだった。炭酸の飲み物なんて無いよな、と思いつつ一応冷蔵庫を覗いてみると奥の方にサイダーの缶が転がっていた。大きいスーパーでしか見ないような細い小さな缶。しかもキンキンに冷えている。 ある

          麻婆豆腐

          意外とあるもので簡単に作れるんですね、麻婆豆腐って。 豆腐があればすぐできる!なんて書いてある麻婆豆腐の素が無くてもかなり近いものが作れた。 挽肉、豆腐、水、中華風だしの素、味噌、醤油、唐辛子由来の辛いやつ。 これだけで割と麻婆豆腐っぽくなった。 唐辛子由来の辛いやつ、と書いたのは、台所にあった全ての辛いものを突っ込んだからだ。ちなみに鷹の爪、カイエンペッパー、豆板醬である。 山椒か花椒も加えたかったが、五香粉しかなかったのでそれを使った。八角が混ざっているので台湾

          とんかつ

          とんかつはご馳走である。 カラリと揚がった美しいきつね色の衣。パン粉はとげとげしく先端までピンと伸びて攻撃的。内側に閉じ込められ熱せられた豚肉はしっとりして柔らか。 とんかつは店で食べるのが一番おいしい。付け合わせを用意したり、揚げ油の管理なんかを考えたりせずに全力でとんかつに向き合えるからだ。何より揚げたてを食べられる。 最初の一切れは塩で食べたい。噛み締めると衣と豚肉から油と脂がジワリと染み出して塩と混ざり幸せの味がする。そして豚肉の繊維がほどけていくと肉の旨味が塩

          ししゃも

          ししゃも、お好きですか。 私は多分、本物のししゃもは食べたことがない。カペリンとかカラフトシシャモという名前のスーパーで買えるお魚しか食べていないと思う。 時折食卓に登場するししゃものことを私はあんまり好きではなかった。お魚にしては身が少ないのが不満だった。卵を楽しむんだよ、と周りの大人に教えられたがなんとなく楽しめなかった。オスのししゃもは売ってないの、と言ったこともあった。結局、食べることはできるけれど自分からは手を伸ばさない、そういう一品になった。他の魚卵はどれも好

          鮒ずし

          聞いたことはあるがよく知らない食べ物のひとつが鮒ずしだった。 琵琶湖を見てみようと彦根に行った時に初めて実物に出会った。 彦根城を見学した後、昼ごはんを求めてぶらぶらしていると鮒ずしの看板を見つけた。店内を覗くとスライスされた鮒ずしの真空パックが売られていて、案外小さいものなんだと初めて知った。好き嫌いがわかれる味と匂いだということは何かで読んで知っていたので、ものすごく興味が湧いた。真空パックじゃ匂いがわからない。店の人に、鮒ずしを食べたことが無いのですがどんな味ですか

          ポテトチップス

          楽チンな服を着てテレビの前にだらけて座り、ポテトチップスを食べる時間が好きだ。 ポテトチップスは私を無心にしてくれる。テレビはついていて、目線は向けるけれど内容なんか入ってこない。抱え込んだパッケージに手を突っ込み、一枚取り出して口に入れる。屑が落ちるとあとが面倒なので決して齧らないことにしている。 袋に入ったタイプは大きさがバラバラなので、うまいことひっくり返したり回転させたりして口中に収めるのだが、時々手に(口に)余る大物がいてむむむ、となる。筒に入ったタイプはお行儀

          ポテトチップス

          ラーメン

          私がラーメンと言うときはとんこつラーメンのことを指している。育った環境がそうだったからだ。普段食べるラーメンはとんこつである。味噌も塩も醤油も食べるが頻度はぐっと少ない。トマトラーメンはまだ食べたことが無い。 あのとろりと白濁したスープが好きだ。脂と塩味と甘味と旨味と、あと何か上手く言い表せないがとにかく良い味がしてあと引くおいしさである。豚の骨を煮込んで出汁を取ることを考えついた人に拍手をしたい。あなたのおかげで私は幸せを感じています、ありがとう。 とんこつスープは獣臭

          みかん

          みかんの薄皮が昔より薄くなっている。きっと作り手の方々の研究と努力の賜物なのだろう。感謝しかない。食べやすいし、みかんのおいしさを邪魔するものがなくて嬉しい。 物心ついた頃にはみかんが好きだった。そのころは几帳面な性格だったので、外側の皮を剥いたあと、房についた白いすじ(アルベドというらしい)を全部取っていた。枝分かれした先の細いひとすじさえ許せずに丁寧に丁寧に取っていた。そうしてすべすべになったみかんを見ては、きれいになったと小さな達成感を感じていた。だが、問題はここから

          白菜

          白菜を食べるときの音は「ショリショリ」だと思う。 空気が冷たくなり始めると鍋料理の白菜が頭に浮かぶ。大きな鍋の三分の一ほどを占める白菜が、くつくつ煮える出汁に揺らされているだけで嬉しくなる。私にとって鍋料理の主役は白菜と言ってもいい。薄緑色のちぢれた葉先はくったりと煮え、出汁をまとって飲み物みたいになるし、白い芯の部分はとろりと煮えながらも「ショリショリ」と心地よい歯触りを何度でも楽しませてくれる。白菜は「ショリショリ」を味わうものなのだ。 中華風あんかけ料理の中の白菜も

          食パン

          最近、食パンをよく食べるようになった。 起きてすぐ袋を開けるだけで食べられて、安くてどこででも手に入る。なにより余計な味がついていないのがいい。菓子パンも惣菜パンもおいしいけれど、毎日繰り返し食べるにはキャラが強すぎる。さらに私の場合、買うときと食べるときで気分が変わっているなんてことがしょっちゅうなので、なるべくプレーンなものが間違いないのだ。 食パンが私に定着するまでにはしばらくかかった。発端はヨーロッパでの食事である。パンが当然のように毎回テーブルにあって、どれもお

          カニ刺し

          カニ刺しを初めて食べた時のことは今でもはっきり覚えている。 社会人になって友達と大阪道頓堀のかに料理の店に行った。私にとっては物凄く勇気のいる価格のランチだった。 カニ刺しが運ばれて来た時、そこで初めて気づいた。 生のカニの身を私は見たことがなかった。こんな透き通るような、水を固めた水彩画のようなカニの足を知らなかった。火を入れた、白い繊維の束がぎゅむぎゅむとひしめきあっているカニの足しか知らなかった。 私は足先をつまみ、上を向いてカニ刺しを口に入れた。 つめたくて

          牛乳

          ここ数年で気付いたことなのだが、私は牛乳が好きだ。 牛乳って、水のようにたくさん買い置きが出来ないのが不便である。常温長期保存が出来る牛乳もあるけれど、近所のスーパーでは手に入らない。それにたくさん買っても、車を持たない私は持って帰るのが大変である。 それでも毎日、牛乳が飲みたい。 正確に言うと、「牛乳をたっぷり入れたコーヒーが飲みたい」なのだが、私にとってはどちらも同じことだ。コーヒーを切らしたら紅茶で代用するから、重要なのは牛乳なのだ。コーヒーも紅茶も無かったら、牛