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サイバーステップのノベルゲームはここから始まった 『雨音スイッチ -AmaneSwitch-』と原作ゲームの差異、また両者の感想(前編) ※ネタバレ&エロ要素有


前書き

 サイバーステップのノベルゲーム移植を検証する記事を書き始めて、今回でちょうど10回目となる。ということで、今回は記念すべきサイバーステップのノベルゲーム移植第1作目を取り上げることにした。

 今回紹介する作品は2021年10月7日に配信された『雨音スイッチ -AmaneSwitch-』だ。原作は2013年7月26日にスワンの別レーベル、黒鳥から発売された『雨音スイッチ 〜やまない雨と病んだ彼女そして俺〜』(公式サイト。18禁なのでアクセス注意)。黒鳥から出たゲームの移植作といえばCSノベル部第1弾『シオリノコトハ - Dark Reflections -』がある。移植順だと本作が第1作目で、2作目がシオリノコトハとなっている。
 前述の通り、本作はサイバーステップが投入してきたエロゲーの全年齢移植版第1作目となる。まだPandaShoujoどころかCSノベル部というプラットフォームの名前すらなかった時代。ここからサイバーステップのノベルゲームの歴史が始まったのだ。

 いつものように元になったゲームを原作と呼びたいが、今回は移植版に対する適切な呼称がないためそのまま移植版で通させてもらいたい。なお、元のゲームがいろいろとツッパッた内容らしいので、なるべく余計な情報を入れないまっさらの状態でプレイすることにした。
 語りたい内容が多すぎてボリュームが増えてしまったため、前後編に分けている。

原作について

 原作あらすじ

運動も勉強も平均的で普通の生活を送っていた水島慎二は、とある女の子と知り合いになる。里中雨音。

学園に転入してきたばかりで、まだそれ程親しくはない彼女。雨の中、傘も差さずに『あめふり』の歌を口ずさんでいた。

雨に濡れる姿はこの世のものとは思えぬほどに美しく、不思議な雰囲気を纏っていた。
驚き駆け寄った慎二の胸に、雨音はゆっくりと倒れ込む。腕の中の少女に惹かれ、関わりを持った事で慎二の生活は徐々に変化していく…

公式サイトより引用

 サブタイトルから分かると思うが、内容はかなりヘビーなものだ。ヒロインはヤンデレというよりメンヘラの域に突入している。あらすじの「慎二の生活は徐々に変化していく」の変化とは悪い方へであって、まさにこのゲームの天気と同じく晴れ間は全く見えない。

 登場人物の紹介に入りたい。主人公を含めて6人いる。全員一癖も二癖もある連中で、分量が多いため説明は2度に分けることにする。ちなみに原作と移植版とではキャラクターデザイナーが違い、グラフィックが完全に一新されており、キャストも変更になっている。移植版の一部のキャストは星めぐり学園所属のVtuberが担当している。

  • 水島 慎二(みずしま しんじ) 主人公。修栄学園2年C組。父親を事故で亡くし、看護師の母親と二人暮らし。学校では学級委員長をやっている。母子家庭のため特別にアルバイトを許可されており、駅前のファストフード店で働くこともある。正義感が強く他人を気に掛けるタイプらしいが、割と衝動的に行動する。起きた事態に振り回されたかと思えば逆に一人蚊帳の外だったりと気苦労が多い。

右ののっぺらぼうのマネキンみたいなのが慎二
もうちょっといいスチルはなかったのか
  • 里中 雨音(さとなか あまね CV:箱森ゆめ 移植版:倉持京子[星めぐり学園]) メインヒロイン。慎二のクラスに転校してきた、儚い印象の美少女。人見知りだが人当たり自体は悪いわけではなく、慣れてくれば普通に話せる。ただ元の性格から友人は多くない様子。好きなものは雨と読書、嫌いなものは晴れや太陽。傘をささない主義であり、常時雨でびしょ濡れ。下着スケスケ状態で学校や飲食店をうろつく剛毅な精神の持ち主。クラス委員の慎二に世話を焼いてもらったことで仲良くなる。公式でタッパが167cmもあり、ヒロインの中で飛び抜けて大きい。

原作雨音。ゲーム内の立ち絵は8割以上がこのスケスケ状態
移植版雨音。タッパがデカい設定のためか、原作に比べて体つきがしっかりしている
  • 峰岸 陽子(みねぎし ようこ CV:さとうもも 移植版:彩山あり) 修栄学園2年A組に在籍している女子学生。テニス部員。明るく活発な性格。かつて慎二と交際していたが、性格の不一致というより、慎二の「恋人関係というのは想像した以上に面倒くさい」という理由で別れることになった。今でも慎二に対して未練があり、頼まれていないのに弁当を作ってくるなど世話を焼きたがる。

原作陽子。基本アホの子である
移植版陽子。梅雨の時期なのに長袖は変だと思われたのか半袖に
  • 木崎 泉(きざき いずみ CV:小椋ちよ 移植版:伊織ねめあ[星めぐり学園]) 修栄学園の学生会長。3年生。清楚な美人。優秀かつ真面目だがユーモアもあり、度量も大きいため学生たちからは人気がある。実家は町内でも有名な資産家であり、自宅は邸宅と言ってもいいほどの大きさを誇る。学級委員をしている慎二とは顔見知りで、慎二も彼女のことは好ましく思っている。

原作泉。たまーに立ち絵が不安定になる
移植版泉。細すぎる原作に比べて普通の体格になった
  • 木崎 雫(きざき しずく CV:桜瀬なゆ 移植版:梨木うき) 泉の妹で1年生。演劇部所属。姉とは対照的に人見知りが激しく口数が少ないタイプ。慣れた相手とは普通に会話出来る上、一度心を許すと相手に甘えるようになる。演劇部の脚本選定の過程で雨音と知り合い、先輩と呼んで懐くようになった。姉の泉とはとても仲が良いが、姉からすると引っ込み思案なところが心配らしい。

原作雫。姉とは性格だけでなく容姿もあんま似てない
移植版雫。小動物感が増えた
  • 水島 雪華(みずしま ゆきか CV:さとうもも 移植版:大城芽唯) 修栄学園大学に通う大学生で、慎二の従姉。幼い頃から慎二の面倒を見てきた。おおらかで母性のあるタイプ。峰岸陽子といつの間にか仲良くなっており、ツーカーの仲のため慎二は隠し事が出来ない。

原作雪華。すげー格好してんな
移植版雪華。その格好で大学に通っているのか?

 以上である。後はモブが数人おり、また主要な登場人物にもいろいろと本性があるのだが後述したい。

 話の流れとしてはこうだ。梅雨の時期に転校してきた不思議な少女、里中雨音と出会った水島慎二は、彼女の独特な感性と不思議な雰囲気に惹かれていく。『普通の主人公がミステリアスな少女と少しずつ打ち解けて仲良くなっていく』という、最初だけ見れば割と心温まる学園ものなのだが、すぐに不穏な空気が漂い始める。

 学校案内の最後、屋上にやってきた慎二と雨音。雨音は雨が好きだということで、土砂降りの屋上に一人出て「あめふり」の歌を歌い始める。
 雨の降る屋上で雨降りの歌を歌いながら雨に打たれる雨音という、字面だけだと混乱しそうな場面だ。
 雨音から「自分は雨が好きだがあなたはどう?」と聞かれた慎二は、「自分も雨が好きだ」と答える。このやりとりについては覚えておいて欲しい。
 その後慎二は帰宅途中の雨音に遭遇。このときの慎二の雨音に対する褒めっぷりはやたらと大げさである。以下の画像を見て欲しい。

びしょ濡れの同級生を見ての感想

 雨の妖精この世の物ならぬ美しい生き物。それが雨音らしい。正直立ち絵からすると細すぎて美しいと言うより脆そうというイメージが先に来てしまうのだが、慎二にとっては違うのだろう。

 そうして幾度も交流をしていくうちに、慎二と雨音はお互いの距離が縮まっていく。雨に打たれすぎて体調を崩してしまった雨音を看病したり、普段食べることに興味を持たない雨音と一緒にスイーツ店に行きサンデーを食べたり、雨音も慎二も親を早くに亡くしていることでお互い親近感を抱いたり。仲良くなっていく慎二と雨音を見て、ないがしろにされているようでイラつき始める陽子。この辺りから話の流れが全体的におかしくなっていく。

 慎二の自宅に招かれて食卓を囲む雨音。慎二の母親は雨音を気に入ったようで、いつでも遊びにいらっしゃいと言う。しかし帰り際、雨音は「自分には両親がいないのに慎二には母親と従姉がいて許せない、嘘をついた」といきなり激昂する。

ブチギレ雨音
スイッチが入ったみたいにいきなりキレる雨音。全編通してこんな感じ

 その場は仲直り(という名のエロシーン)が挟まれ、なんとはなしに解決した。そして2人は交際することに。
 だが雨音は非常に束縛が強く、何かあると怒濤のメール攻勢を仕掛けてくる。怖さと鬱陶しさでメールを無視した慎二だったが、翌朝の4時に雨音が慎二の自宅までやってきて、気分を害したならごめんなさいと土砂降りの中土下座する

人力メールボムによるごめん連打
朝4時からピンポンを鳴らして自分の土下座を見せつける雨音

 その後いろいろあって、雨音は陽子や泉、雫といった学校の面々から敵視されるようになる。陽子は自分の好きな男を取ったから、泉と雫は自分の家庭環境が原因である。各々の事情については後述する。
 この辺り、雨音はほとんど一方的な被害者として理不尽すぎるほど理不尽な目に遭わされる。本人の自己肯定感が極めて低いため周囲に助けを求めることも上手く出来ず、事態を把握しきれない慎二は学生会長の泉が手を回しているため何も知ることが出来ないままだ。雪華もどこで情報を入手したのか、慎二に「雨音とは付き合わない方がいい」と忠告してくる。
 その後何とか雨音から元凶となる人物の名前を聞き出した慎二は、その人物たちに報復を試みる。ここで改めて各登場人物の本性について書いていきたい。

登場人物の本性と事情(ネタバレ有)

  • 水島 慎二 9歳の時、父親が踏切で自殺しようとしている女性を助けようとして死んでしまった。その時自殺しようとしていた女性とは雨音の母親だった

  • 里中 雨音 父親が不倫相手の元へ行ってしまい蒸発、母親はそれがきっかけで精神を病み、踏切で自殺してしまう。その光景を目の当たりにしていたためショックは大きく、また同時期に凄惨ないじめを受け続けてきたため精神的に破綻を来しかけていた。自宅には大量の向精神薬があり、何かあるとリスカとオーバードーズを繰り返す。嫉妬心と依存心、独占欲が異常に強く、慎二の心が自分から離れることを何よりも嫌う。話が進むと奇行が増え、授業中に一人で雨の降る校庭で踊ったり、「私って明るい?」と校内の学生にところ構わず聞いて回ったり、一週間前に作ってドロドロに腐った弁当を慎二に食べさせようとする

慎二が休んでいる間、ロッカーに一週間入れっぱにしていたんだってさ
  • 峰岸 陽子 実は雨音とは小学校が同じで、雨音を雨女と呼んで毎日のようにいじめていた。雨音は雨女、自分は太陽の陽子と呼んでおり、それがきっかけで雨音は太陽を嫌っている。修栄学園で再会してその存在を思い出し、慎二と別れないならまたいじめると宣言。ホルマリン漬けの蛙の標本を雨音に食わせようとするなど常軌を逸した行動を取り始める。陽子は嫉妬深く自己中心的で感情的と、ろくでもない要素ばかり揃っている。

陽子によって蛙を食わされそうになる雨音
  • 木崎 泉 実家は金持ちだが、自分が使える小遣いはそこらの学生と大差無いどころか少ないくらいだった。理由は単純で、無職でアル中の義父がほとんど酒代他に使ってしまっているからだった。このアル中の義父は雨音の蒸発した実父であり、仕事もしないでヒモとして生活しつつ、木崎姉妹に性的なものを含めた苛烈な虐待をしていた。ちなみに彼女らの母親は心が壊れているのか義父の言いなりで、姉妹が何をされてもほとんど反応しない。義父が雨音の実父であることに気づいた泉はストレスを解消するかのように、雨音を組織的にいじめるようになる。陽子の雨音に対するいじめも見て見ぬ振り。

誤字ってるけど言ってること自体はそこまで的外れではない。
ただ加害の矛先が雨音に向いているのはおかしい、彼女に責任はないです(後述)
  • 木崎 雫 最初は雨音を先輩と呼んで慕っていたが、自分たち姉妹を虐待する義父の実の娘だと教えられてからは豹変。自分の意志らしい意志を持たずに姉である泉の指示通りに行動し、雨音をハメるための手駒となる。雨音の顔をモップで拭いたり、学園祭の運営資金を盗んだ濡れ衣を着せたりとやりたい放題。後で姉共々義父に虐待されているシーンを慎二に盗撮される。この盗撮動画が後でとんでもない事態を引き起こす。

  • 水島 雪華 慎二の父親が亡くなった事件について資料を漁っていたところ、雨音が自殺した女性の娘であることを突き止めてしまった。また幼い頃から慎二に一人の男性として恋愛感情を持っており、それもあって慎二と雨音の交際を止めようと試みる。雨音の私生活の障害になっている木崎姉妹を排除すればストレスもなくなってすんなり別れてくれるだろう、という短慮すぎる考えで、木崎姉妹が義父に虐待されている動画をネットにアップするという暴挙に出る

雨音から自分と慎二の情事の詳細を聞き、思わず嘔吐してしまう雪華
  • 慎二の母 看護師をしながら女手一つで慎二を育てている。夫の月命日には必ず墓参りするほど愛していた。雨が降る夜、雨音を自宅まで車で送り届けようとした際、雨音から「自分の母親のせいで慎二の父親が亡くなった」という衝撃の事実を告げられ茫然自失してしまう。その後雨音を降ろした直後ハンドル操作を誤り、電柱に正面衝突して即死する

  • 木崎家の義父(雨音の実父) 作中で最もクズなキャラクター。元は建設業で働いていたが、雨で事故や納期のズレが頻発したせいで常に苛立っていた。妻(雨音の母)が雨好きで娘の名前もそれにちなんでいるため、娘に対してどうにも愛情を持つことが出来ないままだった。その後木崎家に身を寄せ手切れ金を渡したが、そのせいで元妻が自殺してしまったことを悔い、償いとして木崎家の金を娘の雨音に送金していた。雨音はその事実を知らない。ストレス解消も兼ねて泉たちを毎日のように虐待していたのだが、ネットに流出した泉たちへの虐待動画がきっかけで警察に逮捕される

境遇には多少同情するが、クズには違いないのでやっぱダメだ。許さん

 以上が登場人物の本性と事情である。全ての登場人物が何かしら雨音とその家族と関わりがあるという人間関係になっている。これを運命と取るか、ご都合主義と取るかが評価の際の問題になってくる。

作中屈指のトンデモ展開

 このゲームを語る上で絶対に外せない点がある。前述の慎二の母親の項で、交通事故で死亡してしまうと書いた。その葬儀の日の出来事である。これはあまりにもあまりな展開すぎて一部界隈でも話題になったことで有名だ。

 慎二の母の葬儀当日。多くの弔問客がやってくる中、慎二は悲嘆に暮れていた。雪華が率先していろいろやってくれて、弔問客の中には陽子や泉、雫の姿もあった。
 そこに純白のウエディングドレスを着た雨音が現れる

霊前だぞ

 雨音曰く、今日は慎二の母親の葬儀の日であり、また自分と慎二の結婚式の日でもあるのだそうだ。無茶苦茶を言い出す雨音にあっけにとられ、弔問客の大半が動けなくなってしまう。

イカレてますわ

 そしてこの後、雨音が持っていたブーケを投げる。ブーケは祭壇の遺影に当たり、遺影は倒れる。正直な事を言うと、私はここで大爆笑してしまった。ヤンデレ描写もいきすぎればギャグになってしまうというのがよく分かった。

光景を想像すると笑えてくる
おめでとうございまーーす!!
改めてみるとこの一連のシーン、普段の雨音とあまりにもノリが違いすぎる気もする

 ちなみにこの後雨音は雪華や陽子たち弔問客の手によって葬儀場から叩き出されるが、本人は意にも介さない。葬式後しばらく経って登校して来た慎二に対していつも通り接し、前述の一週間経った弁当を食わせようとしてくる。

 以上がこのゲーム最大の珍場面だ。Wikipediaの『雨音スイッチ 〜やまない雨と病んだ彼女そして俺〜』の項目にもちゃんとこのネタが書かれていたことに驚いた。

各EDについて(ネタバレ有)

 EDは合計で6つある。雨音と陽子、雪華の3人にそれぞれ2つずつ。どれも全く救いようのないバッドエンドばかりであり、結局幸せになれるルートはどこにもない。
 ちなみに木崎姉妹の虐待動画が流出するかどうかはヒロインのルートによって決まっており、陽子ルートだとそもそも動画を撮る展開にならない。逆に雨音と雪華ルートだと確実に流出する。また、雨音と雪華ルートでは陽子は雨音の自傷行為を自分がやったことにされて警察に逮捕されてしまう

リスカし始めた雨音からカッターナイフを取り上げた直後、警察が到着する
あまりにもあまりなタイミングの良さだ
  • 雨音ED1『あめふり』 雪華の暴挙によって木崎姉妹の虐待動画がネットに流出し、雨音はその動画を見てしまう。昔の面影の残る父親が木崎姉妹に凄惨な虐待を加えていたことにショックを受け、雨音は人生に絶望する。慎二は何とか彼女の心を救おうと試み、雨音もそれを受け入れて一時大人しくなった。しかし不意に慎二の口から出た「また雨か、うんざりだな」という言葉を聞いて激昂。「雨が好きだと言っていたのに嘘をついた!」とブチギレてしまう。母親の幻覚を見ながら町をさまよう雨音は、吸い込まれるように踏切へ。追いかけてきた慎二の目の前で母親と同じように電車に轢かれ死亡する

嘘は良くないよね
  • 雨音ED2『涙雨』 虐待動画を見て人生に絶望した雨音は慎二に一緒に死んでくれるよう頼む。雨音の精神がもうどうしようもなくなっていることに気づいた慎二はその提案を受け入れ、雨音の首を絞めて殺害。自分も部屋にあった包丁で頸動脈を掻き切った。初期版にはバグがあり、ここでEDを迎えてもEDリストにもCG・シーン集にも登録がされなかった。現在はパッチを当てることでちゃんとEDリストに載り、CG回収も出来るようになっている。またパッチ後には、心中を図った二人のうち片方は生きていたことと、生き残った人物が自分のことも一緒に死のうとした人間のことも忘れてしまったというエピローグが付く。どちらが生き残ったのかは分からないようになっているが、描写からするに多分雨音が生き残ったのではないだろうか。

ハッピーエンドってなんだろう、はこのゲームを通してずっとついて回るテーマだ
  • 陽子ED1『逃げ切った果てに……』 雨音と付き合っていくことに疲れ切った慎二は陽子の元に逃げる。そして改めて雨音との関係を解消することを決意する。雨音の自宅を訪れ、「嫌いになったからもう別れてくれ」と切り出すと雨音は錯乱。ナイフを持ちだして自分の顔面を刺しまくる雨音にビビった慎二は逃げだし、陽子と揃って修栄学園から別の学校へと転校する。その後雨音は奇行が激しくなり、どこかの施設へ収容されたという話を伝え聞く。これでもう一安心だと思っていた陽子だったが、慎二が雨に対して異常に執着するようになり、言動もおかしくなり始める。雨音の次に病んだのは慎二だった。その姿を見た陽子は絶望する。

画像の下二行の雨音の台詞は、キャストの技量が存分に発揮されていてすさまじい迫力だ
こんなこと言われたらそら逃げるわ
  • 陽子ED2『治らずの病』 雨音と別れる決意をした慎二だったが、嫌いになったとは言わず「精神的な病をなんとかするべき」という提案をして一時的に距離を取ることにした。「心が落ち着いたらまた付き合おう」「元気になるのを待っている」という大嘘をついてしまう慎二だったが、雨音の症状は重篤で施設に半ば監禁状態となってしまう。大人しくしていた雨音が退院して町に戻ってみると、知っていた町並みがずいぶん変わっており浦島太郎状態に。日付の記憶が曖昧になるほど長い間入院していたことに気づいて愕然とする雨音。慎二の自宅へ向かうと、そこには陽子と結婚して子供を作った慎二がいた。鬼の形相で慎二の元に姿を見せ、嘘をついたと糾弾する雨音に対して慎二が取れる行動は何も無かった。

嘘も方便というけどそういう嘘は良くないよね
一瞬で十数年経過。室内のレイアウトが昔と全く変わっていない
この後どうなるのか。きっとみんな不幸になるんだろうね
  • 雪華ED1『rainy again』 雪華から異性として愛情を向けられていることを受け入れた慎二は雪華と両思いに。しかし世間体を考えると従姉と結婚するのはよくないと、雪華から別れを切り出される。大学を卒業したら見合い結婚するらしい。慎二は泣く泣く雪華と別れた。しばらく時が経ち、慎二は大学生に。警察沙汰になった陽子は退学、木崎姉妹と雨音はあの後失踪してしまったとのこと。大学で慎二は友人から女友達を紹介される。その子は腕に大量のリスカ痕のある女だった。自分はこういう女の子から離れることは出来ない運命なのだと悟る慎二。

最初見た時は雨音かと思ったけど違いました
  • 雪華ED2『暴行の果てに……』 慎二は雪華に見合いをやめるよう言う。世間体など関係ない、結婚したいという慎二の意志を受け入れる雪華。しかし雨音は慎二のことを諦めていなかった。雨が降る深夜、慎二の家に向かう雨音。だが慎二の家の前には動画の流出によって学校にいられなくなった泉と雫、そして保護観察で保釈された陽子の3人が待ち構えていた。3人によって凄惨な暴力を受ける雨音が慎二に助けを求めると、家の中から出てきたのは雪華だった。暴行を加える人間が4人になり、雨音は徹底的に蹴られまくる。事態に気づいた慎二が目を覚まして家の前に出てくると、そこには冷たくなった雨音と「自分たちは悪くない」と言う4人の女がいた。

雨音を襲う暴力の嵐

終わりに

 長くなってしまったため、前編は原作の内容紹介だけで終わりにしたいと思う。後編では移植版でどういう変化があったのか、そして原作・移植版の感想について述べていきたい。

  最後に怖い雨音の画像を見てこの記事を締めたいと思う。

何故見てるんです?

 サイバーステップのノベルゲームはここから始まった 『雨音スイッチ -AmaneSwitch-』と原作ゲームの差異、また両者の感想(後編)に続く。

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