なぜ日本のITエンジニアの給与は低い(ように見える)のか。
株式会社メタップスホールディングスの釣りバカVPoE、阿夛(@ataboy86)です。
現在は、「re:shine」というフリーランスのマッチングプラットフォームの事業責任者をやりつつ、VPoEとして開発部門の統括をしています。
今回は、『日本のITエンジニア給与は世界26位 中国に抜かれる』という記事を拝見したので、私的な感想をつらつらとまとめてみました。
まず、データを見てみましょう。
予測によると、2030年には日本では約79万人のIT人材が不足すると言われています。
エンジニアに注目してみると、現在日本のITエンジニア人材の数は144万人で、世界で第4位の数を有しています。
しかし、第3位の中国と比較すると約半分に過ぎません。
さらに、給与の面では、日本のITエンジニアの給与水準が世界で26位となっており、決して高くない状況です。
本データはあくまで「給与であること」を前提に読み解くと、下記のようなことを要素として考えられるかと思います。
上記の要素も踏まえた結果として、今の日本社会では「給与」として受け取っている1人あたりの報酬が安くなっているのではないかと読み取れますね。
本記事のデータを拝見した際の、私の感想を並べてみました。
最後の違和感は、「そもそも円の価値が下がっている中で、ドル換算で給与が下がってるってのもどうなんだろう」と思いました。
現在の価値で約40,000ドルという状況ですが、150円換算で年収に割り戻すと600万円、120円換算で割り戻すと約50,000ドルという状況です。
と、いうことは、中国との対比でも抜かれたという結果ですが、中国の給与水準の上がり方は凄まじいので、あくまで「現段階」ではありますが、ここでも円安が影響していることを踏まえると、今はまだ水準としては抜かれていないのではないかと感じます。
※ドル換算では元も下がってはいますが、下げ幅が円のほうが大きいため。
スクール上がりの若手が増えている肌感の中で年収が600万円水準だとすると、そこまで悪い結果じゃないようにも思いました。
中堅層や上位層などで、フリーランスとして独立している人が増えつつあったり、副業などで給与以外の報酬を上げている人たちが増えていること、若手層がこれだけ増えている中で平均年収が600万円水準と考慮すると、日本のエンジニアの未来はそこまで悲観することもないような気がします。
ちなみに、中国では終身雇用を前提としておらず、固定期間での採用が一般的、契約更新が2回以上行われると無期雇用となるということもあるので、報酬を高い状態で採用するというのも納得です。
こうした雇用の扱いが国によって大きく異なり、「報酬」のもらい方の選択肢が増えている中で、本記事は「給与」の数字に着目して比較しているということは念頭におきましょう。
まとめ
日本のエンジニアが衰退しているという見方は、一面的なものに過ぎません。
要は、社会的背景は国ごとに違うので、パッと見で情報を鵜呑みにするのも危ういなと思っている次第でした。
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