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必要の母 後書き

 どうも作者のA.T.JANPIです。
 この度は標題の作品をご覧頂きありがとうございます。
 前作の短編「Galería Garcíaーガレリア・ガルシアー」にて引くほど長い後書きを書いたばかりではございますが、懲りずに書くことにしました。

前回後書きnote↓

 読了した方を対象に、ネタバレ全開で参りますのでご容赦くださいませ。
前回よりは短くまとめられると思います多分…。

読んでない方は以下のリンクからどうぞ


○きっかけ


 今作、タイトル自体はそれなりに前から思いついていたものでありました。私のpixiv漫画作品には、大体毎回「作品No」を振っているのですが(キャプション内に記載)、これは単純に「作品(タイトルのみなど内容がなくとも可)を思いついた順」でナンバリングしているものです。今作においては、何かのきっかけで「必要の母」(「必要は発明の母」という英語のことわざによる着想であることは言うまでもないと思います)という単語を思い付き、内容が伴うまで放置していました。今回はNo.119で、5年前(https://www.pixiv.net/artworks/54285648)の作品Noが118であることを鑑みるに、まあ5年ほど放置していたのでしょう。そして、今の世相や私自身の環境の変化からタイトルに相応しい話を構築することができたので、晴れて作品にまとめた次第です。
 これを執筆している時は(のちに自分で読み返すことを想定しているのであえて書きますが)2020年10月~12月のコロナ禍中です。この混乱の中で自分が漫画描きとしてどう影響を受けたのかを形として残しておきたかったことが強い動機です。私が2020年を総括すると、「必要」という言葉は強いキーワードだと思いました。必要な情報、必要な対策、必要な補助、一方で社会から切り捨てられる不必要とされるもの。その線引きの難しさ。コロナ禍で明るみに出たもの、あるいは前々からあったけど見逃されてきたもの。エッセンシャルワーカーなど、関連する事柄には枚挙に暇がないでしょう。その「必要」というワードに絡めて、私が勝手に予想した12~3年後の日常生活で発生する悩みの物語が「必要の母」です。
 このタイトルを思いついた時点では、「発明の母」から着想を得たのもあり、もっとSFな話になるかと思っていたのですが、SF要素は「ちょっと未来」を表現した程度で話の筋には残りませんでしたね。

○テーマ


 先も述べた通り、「必要」という言葉が作品の要なのですが、それを話の主軸に据えるために設定したテーマが「誰かから必要とされなければならないのか?」ということです。
 作者の執筆時点の時世を大きく反映して、主人公の礼央は今世の中に最も必要とされているであろう医者を目指しています。それは彼の母親が難病に罹っていたことが大きなきっかけであり、彼自身が母親の病気を治したいという意気込みでずっと勉強していたのですが、それを失ってしまったら…と話は進んでいきます。礼央の悩みは終始「自分が医者を目指す(=医学部を受ける)必要はあるのか」です。
 「誰かのために動けることは素敵なことだ」という結論に至る作品は世に多く存在します。しかし、現実においてその結論は時として残酷です。「誰か/皆のため」という大義名分は危うさを孕んでいると思います。全ての作品がそうとは言いませんが、その「誰か」がいなくなってしまったら、その話の主人公はその結論に再び至ることができるのでしょうか。そして、この言葉を裏返すと「誰のためにもならない」となりますが、これは「誰にも必要にならない」と置き換えられます。そのようにみなされる研究や職業や教育は、尊敬されなかったり、資金を出し渋りされたり、そもそも教えられなかったりされがちです。しかしこれは、今まさにことに及んでいる当事者たちにあまりにも失礼ではないでしょうか。
 この話の着地点としては、「必要の母」、すなわち「何をもって必要とするか」は自分の中にあり、自分が必要と思うものを突き詰めていこう、となっています。この話を描くことで現実が大きく動くとまでは思っておりませんが、誰もがそうなれるといいですね。

○世界観


 2033年9月~2034年1月が舞台となった「ちょっと未来」の日本です。今ある技術の上位互換(折り畳みスマホや無人タクシー、VRの普及)を想定して描写しています…が、もしかしたら現実は想像の上をいっているかもしれませんね。また、現在の世相をかなり意識しているので、「10年くらい前に世界的に感染症が流行った」設定にしており、礼央たちにもその記憶があり、ワクチン開発関係者がノーベル医学・生理学賞を受賞したという世界線です。それと同時に日本では、少子化などに伴う大学緊縮が頻繁に行われるようになったという想定で、突如として志望校/所属校が経営破綻し消滅するという流れで物語を動かしています。
 ちなみにすごく個人的な話として、慶応義塾大学と東京歯科大学が現実で合併すると聞いたときは「タイムリー!!!」と思っておりました。(※名前こそ似せていますが、仁応大学と東京医科学大学などは現実の大学には無関係です。)
 正直、少子化のくだりはあまり現実化してほしくない部分ではあります。

○キャラクターについて


 前作より30ページも少ないはずなのですが、列挙してみると思っていた以上にネームドが多かったですね…。このキャラクター欄を描くにあたって、主要な人物のイラストを描き起こしているのですが、後半おっさんばっかなんですよね。少子高齢化~!
 全員、普通の人間なんですけど、なかなか設定が濃かったりヘビーだったりします。
 ちなみに今作の名前には法則性がありまして(というか短編は名付けは何かしら法則をつけがち)、もしかしたらその手のものに詳しい方ならわかったかもしれませんが、ギリシャ神話のアスクレピオス周辺の登場人物で固めています。アスクレピオスは「医神」ともされる医学に関わり深い存在であるため、今回医者(とその卵)が多数登場する作品なので選ばせてもらいました。「蛇使い座」とは彼を示す星座で夏に見ることができます。
 ところで、今作「必要の母」というタイトルで、主人公の礼央は母親を亡くしています。アスクレピオスも生まれる前に母親を亡くしている存在なんですね。そういうこじつけも創作の楽しみです。

・本多 礼央(ほった れお)

礼央

主人公で、仁応大学を目指して勉強する浪人生(19)です。名付けはアスクレピオスの息子の一人「ボダレイオス」から。いや本当は主人公にこそアスクレピオス由来の名前を付けようと思っていたのですが…(後述)。まあ結果として「れお」の音が残ったので、アバターや示唆に獅子を用いることにしました。「獅子薬局」という古い薬局もありますので、獅子自体医学に全く無関係なモチーフというわけでもないでしょう。
 他のキャラクターに比べて、デザインは地味で、主人公という立場上、悩みが等身大に思えるような演出をするように心がけてはいるのですが、よくよく読むと彼はものすごく優秀で意識の高い学生であることがわかります。

・医学部受験勉強(模試とTOEIC)
※650とか700とかはTOEICの点数ですが、この目安としたのは作者の母校の「卒業時」に必要な点数。医学部であることやこれからの情勢を鑑みて要求点が上がるものとして描写しました。作者は描いていて「これからの学生大変だな…」と思いました…。
・バイトと掛け持ち(家計が苦しいのは母親の病院生活によるもの)
・(英語含む)論文や図鑑をよく読む
・ノーベル賞受賞者が何やったかすぐ調べる
・懇親会の英語を聞き入る

・自分の志望校について常にチェック(破綻したことを即日確認、飛鳥に連絡) 

 私が学生だった頃こんなに意識高くないです。凄いです。そして母の亡くなる年は彼の初受験の年であるにも関わらず、絵馬に書いた願いは「母の病気が治りますように」と、家族思いな少年でもあります。
 そんな彼ですが、ずっと目標としていた「母を治す医者になる」という夢が叶わなくなり、そこから模試などの結果が揮わなくなっていきます。先に述べた「自分を必要とする人」がいなくなったがために、「自分は医者にならなくてもいいのではないか」と落ち込んでいくのです。医者になりたいという気持ちとは別に、「医学が好きである」という描写は上記のようにしてあるのですが、彼はそれに無自覚なままであり、またそれが好きだと彼自身が述べる場面はありません。彼が「医学が好きだから医者になる」という軌道に修正するには、彼は他人の助けが必要なのです。間違いなく自分でも歩いてはいるのですが、彼が歩いていることを知るために、手を引く人が母、横を歩く人は飛鳥、背を押すのは父や教授だったというわけです。
 直接自分の気持ちを述べる場面が少ない代わりに、彼の心情や行く末を示唆する暗喩表現は今回意図的に多用しています。読者の方は「なんかやたら雨降ってるな」と思わなかったでしょうか。小説などで主人公の心情に連動して雨が降ったりするのと同じです。今回注目してほしいのは水と火の表現です。
 先述のように、序盤は雨がよく降り、紅茶や水たまりなど水面が写るシーンもあります。雨は水が滴り落ちる直接的に「下がる」表現ですし、水面は基本的には上からしか見下ろせないものです。序盤は礼央は基本的に下ばかり見ているのです。一方、中盤以降、蝋燭や星、どんど馬などの火の表現が増えるにつれ、礼央は上を、前を見るようになっていくのです。そして、実は階段の上下も連動していて、駅の階段を上っている途中で壁(仁応大学の破綻)に気付き、神社の階段を下りてバイトに行き、飛鳥の家からの帰り際に階段上を見上げ、どんど馬で階段を上っていく炎を見ます。他にもトンネルや曇りなど…色々あるのでそういったところも見て頂けると嬉しいですね。

・呉 飛鳥(くれ あすか)

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 礼央の親友にして、仁応大学の1年生(19)。礼央とは同じ予備校で知り合った仲なので、友達歴はまだ意外と短いです。名前は「アスクレピオス」から。アイコン・アバターも蛇です。主人公にこの名を付けなかった背景としましてはですね、この話「大枠は既に考えてあるけど細部は描きながら考える」という手法を取っておりまして、2ページ目を描き始めたあたりで初めて彼を思いついてしまい、主人公に比べて「あすか」の音が似合っているように思えてしまったというのが原因ですね。にしてもフェミニンで医学部で長身で化粧もしてって我ながら濃すぎると思います。こんな濃くてもそのまま通したのは「まあ12年後はこういう人間がいてもそんな目立たないくらい多様化してるだろうな!!」という作者の緩い予測に基づくものです。似合う服募集中。
 両親から離れて一人暮らししながら、念願叶って入った大学がいきなり財政破綻するという彼もなかなかシビアな立場です。というか実は礼央よりも大変なのでは…。いろんな大学で受け入れるという希望的観測で話は進めましたが、実際こうなった場合ってどうなるのでしょう。なんかもっと厳しい現実が待っている気がします。
 とはいえ、多少ファストフード店で愚痴を吐きつつも、編入の件で礼央に弱いところは見せなかったことは予想できます。礼央は浪人生であり、かつ母親が亡くなったことは彼もよく知っていたからです。東医科編入を目指すことを決心した時点で、大学での勉強も気が抜けなくなったという彼自身の事情もありますが、突然家出してきた礼央を迎え入れるなど、色々察することができるタイプですね。でも大事なことは結構ズバズバ言う。作者も友達に欲しいです。
 大筋は決まっていたと言いましたが、父との喧嘩後に礼央がノーベル賞受賞者のスピーチを聞くのに「受験生なのにそんなことしてる場合か?」とか「何で急に思い立ったんだ?」とか思わざるを得ないところに現れてくれたので、医学部の友人という役割は必要でした。いきなり湧いて出てきた割には、作者にとって非常に都合の良いありがたいキャラでした。
 余談ですが、アバターを蛇にしてしまったが故に挙手が非常に困難になっており、頑張って尾っぽを上げているところが個人的に気に入ってます。

・本多 敬一郎(ほった けいいちろう)

敬一郎


 礼央のお父さんで神職(神社の神主さん)。40代後半~50代をイメージしています。親子仲は特に問題なし。本編に名前は出てきませんでしたが、医学の祖であり射手座で有名な「ケイローン」から取っています。職業の候補として、同じく宗教施設である教会の牧師さんあたりも考えていましたが、「敬虔なキリスト教徒は前作でやったばっかだな」と思って住み込みタイプの神職に。絵馬をアイテムとして使いたかったというのも大きいですが。本人には何もないのに、妻は難病、息子は医学部志望と今後もしばらく家計は火の車なのが予想されるのがやや気の毒です。彼もシビアですね…。
 絵馬や賽銭箱前での願いは、本作内では「真に願うこと」と表現していますが、言うまでもなくこれは「自分が本当に必要と思うこと」と言い換えたものです。患者に直接施術できる医者などとは異なり、神職は誰かの「必要」に直接寄与することはできませんが、「必要」を引き出せるという点で、神職にして正解だったかなと思います。礼央に怒ったのは、本当は自分がただなりたいということに気付かず、成績が揮わないことを他人の責任にしたからですね。「他人のため」という名目は、しばしばこうした無責任を生むと思い入れた描写です。
 

・本多 仁子(ほった にこ)

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 礼央のお母さんで、礼央の物心ついたときから難病「アンナ・ヒューゴ病」で入院生活を送っています。物語中の描写から暗に表現していますが、亡くなったのは2033年の1月で、まだ1周忌は迎えていません。享年54歳。名前はアスクレピオスの母「コロニス」から。すごく日本語名に落としこみにくい名前だと思いました。
 アンナ・ヒューゴ病については、具体的にどんな病気かはそこまで考えられていないのですが、


・世界で数えるほどの患者と症例
・遺伝子異常が由来?
・呼吸器系に症状

をイメージしております。現実に似た病気はあるのでしょうか?仁子は、10年以上病院で闘病し、衰弱するように亡くなっています。敬一郎と礼央の親子仲がいいのは、彼女があったからかもしれません。

・種瀬 光章(たねせ みつあき)

種瀬教授

 2020年のこの世界でノーベル賞を取った人です。物語中では推定70代です。1ページ目の最初に名前が出てくるのですが、「必要の母」からひねり出して「Necessity」→「ねせ」の音が入る苗字から考えました。後々セリフがある予定ではあったので、アバターに羊を割り当ててアスクレピオスの父であるアポロン神要素を加えました。苦し紛れに「光」って入っていますけど、太陽神なので「陽」のほうが良かったかな…とも(笑)ちなみに、疫病の神でもあるんですよね、アポロン。
 功績は病気の発見と治療法開発と凄まじいです。礼央は彼の発見した病気にかかった母を持っていたので、遠い存在ながら、彼の研究室に入ることを目標にする程度には人生に莫大な影響を与えられています。
 羊のVRアバターが彼であることを読み飛ばす人は多いかもしれません。おそらく彼が救ったヒューゴ博士から直々にお誘いが来たものと思われますが、VRで名前などがわざわざ表示されないだろうことを逆手にとり、彼自身であると明言はしていません。なおあの羊は名無しの研究者の声としても成立します。ノーベル賞受賞経験者としてもっと重い言葉にできたかもしれませんが、そこは少し読者に想像をゆだねてみようと思い。まあ唯一知っている礼央は「俺すっげえ場面に居合わせた…!!」って思ってるとは思いますが(笑)
 「ワクチンを開発した英雄を治療した英雄」とマスコミなどに言われるシーンを入れようかと迷いましたが、構成の都合上カットしました。ヒューゴ博士が「医者の価値は患者の数ではない」というセリフを吐きますが、種瀬教授の研究内容は、世界で数えられる程度の患者しか救えない病気です。しかし、その救った患者が世界中の感染症患者を救ったのです。まるで、それは何が即座に役立つかわからない研究や学問そのもののようではないでしょうか。命の優劣があるような言い方になってしまいそうだったというのもありますが、その暗喩をうまく表現できそうになかったので…。

・種瀬 杏奈(たねせ あんな)

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 種瀬教授の妹です。彼女の名前は「アンナ・ヒューゴ」の病名として並んだ時に外国人名に見える名前というチョイスなので由来は特にありません。
 礼央が遠い存在に思える教授たちをぐっと近づける役割があります。無論、同じ病気で亡くなった母親に重ねて。

・ヒューゴ=マッケオン(Hugo McKeown)

マッケオン博士

 2033年のこの世界でノーベル賞を取った人です。推定50~60代です。名前はアスクレピオスの娘の「ヒュゲイア」、息子の一人の「マカオーン」から、音感の近い名前をセレクトしました。
 懇親会では、学生が多いことを考慮して、専門用語なしの比較的易しい英語で話したり、冗談めいた言い方をしたりするなど、近くにいたら結構知的ユーモアを感じそうな人です。半生は病気で死にかけ、「自分にはこの研究が必要なんだよ!!」と飾らず言える経験豊富・想像力豊かな存在、強いです。感染症は人気がない世代の医師なので、彼も「必要とされなかった学問」出身です。この話は小さな「必要」が大きな「必要」を救っています。
 彼もまた礼央からは遠い存在でありながら、彼に明確に道を示す存在です。マッケオン博士の話す種瀬教授の境遇を自分に重ねさせることで、礼央が自分も医学が好きなことを自覚させる役割があります。皆良い師をお持ちです。
 

・BookMoon(バイト先)店長

店長


 主要な登場人物のはずですが唯一名前を付けませんでした。気持ちアポロンの兄妹であるアルテミスにあやかって店名を月にしています。なんか「店長でよくね?」って思ったんですよね…。
 彼女も飛鳥の次くらいに「突然湧いて出てきた」系のキャラクターでして、どうしてくれようか…と迷っていたのでバイト先の店長に据えてキャラ付けを行いました。礼央の面接している時はまだキャラできていませんでした。この敬語誰だよ。
 最初にはいなかったほどなので、出番は短いうえに本来ならば彼女はこの話に必要ないポジションなのですが、まあ、他の主要人物が男ばかりで作者が飽きるのを防止するのと(大事)、礼央が好きなものを明確にする役割と、「好きなものを道にする」「他の人の必要なんて当てにならない」という本作の着地点を見据える役割と、大きな働きをしてくれたと思います。「待っているのは人でなくてもいい」という言葉をかけられる立場の人が他の登場人物にいません。なんだかんだで飛鳥も店長もいなけりゃならない構成になるのだから我ながら不思議です。
 現実で彼女のような才能ある若者が挫折しないように、司書や学芸員を厚遇してほしいです。

○終わりに


 前回よりは短くなると話しましたが、それでも8000字近くまで書いておりました…長文駄文にお付き合いいただきありがとうございます。
 この後書きを書いているのは年明け間もない頃です。自粛期間ですが、読者の方におかれましては初詣や絵馬作成などはしましたか。礼央と飛鳥が最後の絵馬に何と願ったかは描かれていません。将来の夢なのか、それとも目先の大学合格か。どちらにせよ、彼らは目標に向けて真っすぐ進んでいくことでしょう。皆さんの願いも叶いますように。
 そしてゆくゆくは、コロナ禍も収束しますように。

ではまた次回作でお会いしましょう!
A.T.JANPI

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