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だから僕はバーチャルを辞めた

先日遂にVR機器のHTC VIVEを手放した。

購入したのが2018年の5月上旬だった。ちょうど3年程経過したのだ。
実際に使用していたのが1年ちょっとだったことを考えるとなかなかに痛い買い物だったとも言えるが、人生において大きな経験にもなった。
なので、今後の自分の為にもここに購入の経緯などを記録しておきたい。

─時を遡ること2017年─
フリーター生活もいい加減なんとかせねばと思い数年ぶりの就職活動を始めた12月。
Twitterを眺めていたところで、にゃるら氏(@nyalra)の記事の投稿ツイートを見てVtuberなるものを知った。

就職活動の疲れからか、不幸にも黒塗りのツイートに衝突してしまった。
その時からVtuberを熱心に追いかけるようになったが、この頃は有名なVtuberと言えば3Dのモーションキャプチャなどを用いた企業の所属ばかりで、遠い存在でしかなかった。
テレビの芸能人のようなものなのだと納得していた。

その2ヶ月後ににじさんじ(当時の1期生)がスタートして、Vtuberへの考え方が変わった。

「これ、俺でも出来るんじゃね?」

3Dの環境で身振り手振りとモデリングやらなんやらと駆使し普通のYouTuberとして振る舞うこれまでのVtuberと違い、にじさんじはLive2Dによる立ち絵1枚でニコ生の延長のような事をしていた。
しかもそれでいて面白い。
ニコニコ動画自体はβよりも早いニコニコ動画(仮)の時代から見ている最古参勢でありながらニコ生などに全く触れてこず、殆ど偏見でしかないものの、自分が2ヶ月見てきた3DVtuberと明らかに異なっていた。
企業勢でありながらLive2Dにスマホだけでも自分の中でエンターテインメントとして成立してしまう事に衝撃を受けた。

スマホひとつで成立する手軽さが何よりも素晴らしい
これが一番大きかったのだが、この伏線は後に回収することになる。
「自分もこんな風にバーチャル活動してみたい」という欲求が高まる事を自覚しつつもバーチャル活動とは何を指すのか、何をしたいのか、についてが自分で全く定まっていなかった為、とにかくブレまくるのだ。

就職活動が終わりを迎える頃になり、いつも通りVtuberの動画をディグっていたところ、こんな動画を見つけた。

ミライアカリがVR CHATに入り楽しみつつ使い方を教える動画だ。
これを見てVRって楽しそうだなと思うと同時に「これもバーチャル活動だな、うん」となんとなく自分に言い聞かせていた。
つまりやってみたくなったのだ。

でもVRって言われてもおじさんよくわかんないよ…
と臆病風に吹かれてしまい、なんとなく興味はあるけどこの動画を1回見た程度ではよく分かりません状態だった。

バイブ?おきゅらす? なにそれ…
VRに興味は生まれたけどまだよく分からないし機会があればでいいや

時間だけが過ぎてまだ行動には至らなかった


─それから数週間後の2018年のGW
ニコニコ超会議でにじさんじのライバーが登壇するという情報を聞き、幕張メッセに足を運んだ。
目的はもちろんにじさんじのライバー、特に月ノ美兎と静凛、あとオマケでばあちゃるくんを見たいからだ。
内容としては来場者の中から抽選で当たった数名が人気Vtuber数名と1対1で会話もといお悩み相談をすることが出来るというものだった。
イベントはとても楽しく過ごせ、特にばあちゃるくんは普段の動画に+1して10000かけるくらいの面白さだった。0に10000かけても0なので先に1足さないといけない。
この時のばあちゃるくんの腕の良さはファンの間ではわりと語り継がれているので、気になる人は調べてみよう。

イベントも終盤、最後だったかに出てきたのが、のじゃおじことねこますさんだ。
長くなるので省略するが、彼の話を聞く内にバーチャルでの発信の面白さにまたより一層の興味を持った。

そして会場に隣接されているのがバーチャル体験会というブースだ。
Vtuber登壇の交代時に生まれる休憩時間などに、VRを体験出来る体験コーナーがあった。
行列になっており惜しくも参加は出来なかったが、今しがたねこますさんが話しの中で出していたVRのなんたらかんたらとはこれの事かと分かった。
イベントも終了したその日はチラシだけもらっておき帰宅。

翌日早速秋葉原に向かい、昨日出来なかったVR体験が出来る店に入った。
人生初のVR体験の瞬間だ。

こんな記事に目を通している人の殆どはVR経験者だと思うので今更言うまでもないが、初めてのVRの衝撃は凄まじい。
没入感がどうとかじゃない、語彙が足りず形容しようがないのでここには書けない。

興奮状態で店を出てすぐに見せをくまなく周り、VRが可能なPCを物色した。
結論としてはこの場で店舗で買うよりネットでカスタムでオーダーした方が良いということで帰宅後すぐにPCをポチり。
VR機器は在庫がなかったので後日また来店して購入。



ダラダラ書いてたら最後駆け足になっても長くなってしまったのでもう省略しまくりたい。
もう箇条書きくらいの簡素さでいいや…


とにかくVR環境を手に入れてVR CHATを体験。
数日後バーチャルキャストを体験。
バーチャルキャストで配信とVRを同時に楽しみまくるも、段々雰囲気にヌルさを感じて居心地が悪くなる。

俺って何のためにVR買ったんだっけ?

俺って何したかったんだっけ?

そんな事を改めて考える。
スマホ1台で手軽に発信が出来るにじさんじにハマっていたのに、
大きなPCとVR機器を抱えてせかせかと大掛かりな準備をして音周りの環境もめちゃくちゃ悪いような品質で、自分の思いつく小ネタなども適さない3Dの世界で、興味を持つことが全く無かったニコ生の世界で過ごしていた。

おおよそ自分の求めていた事の真逆を行っている事に気付き、これはまずいと震える。

そうしつつもVRによって出来た人脈と言うか人との繋がりは大きく、それが居心地良くもありまた精神を蝕むこともあり、依存しすぎていることも自覚出来た。
実際そこからの繋がりで人生が大きく変わったポイントもあり今一人暮らしになっているが、これについては話せる人にだけ話そう。
あまり大っぴらに言うことじゃないし。

仕事の大変さもあり身も心もボロボロになった事で、生活を見直そうと思いVRからなるべく距離を置くようにしたのが2019年の秋〜冬。
その後VRで培った環境や感情を活かしてバーチャルアバターを用いてYouTubeに動画として残すという方針に変えてついでにTwitterのアカウントも切り替えた。
もう「VR関連」というカテゴリでしか人と関われない臆病な自分を脱却するために必要だと感じた。
VRの人ではなく、一人の人として誰かと繋がっていたいと思い決めたことだ。

後にこの考えも変わり今は「別に誰かと繋がっていなくてもいいじゃん。俺は俺でお前らはお前らだ、みんな他人だし繋がってる繋がってないなんて思わなくても生きていけるさ」という考えにまで至れたので、なかなかに強くなってきたと思う。


精神論みたいな話になってきたが、VRがもたらしたものは実はここなのかもしれない。
VRは俺の中の精神的に「弱い」と言えるような自分の本質を浮き立たせてくれた。
同時に自分を見つめるキッカケを与えてくれて、どう生きていきたいかを常に考えるように成長させてくれた。

だからVR機器は決して無駄じゃなかった。
手放したのは弱さを捨てるという事の象徴じゃない。
弱さと向き合ってそれでもちゃんと自分として生きていく道を示してくれた事への敬意だ。


だから僕はバーチャルを辞めた




ちなみに手放したVIVEなのだが、フリマアプリですぐに買い取り手が見つかった。
「今度はもっと大切にしてくれる人に貰ってもらえよ」
と思いながら送ったのだが、買い取り手の情報をよく見るとただの転売屋だった。
ま、まぁ、最終的に誰かの手に届いて大切にされるなら別に気にしてねーし!

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