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『哀れともいふべき人はおもほえで身のいたづらになりぬべきかな』謙徳公

《意味》
私のことをしみじみとかわいそうといってくれる人は誰も思い浮かばず、あなたに捨てられた私はこの恋のために死んでしまいそうです。

失恋した男性の、女々しい女々しい訴え。傷心の一首です。

「恋のために死ぬ」ちょっとこわいなと思ってしまう言葉です。
ドラマや漫画の中で、「付き合ってくれないならこのまま死んじゃうから!」というような切迫した場面を見かけることもありますが、現実にはどうなのでしょうか。果たしてその言葉のために付き合ってもらったりして、幸せになれるのか、私は疑問に思ってしまいます。

今回の謙徳公の一首には、次のような前書きがあります。
「物いひ侍りける女の後につれなく侍りてさらにあはず侍りければ」
愛し合っていた女性が心変わりして冷たくなり、しまいには会ってくれなくなってしまったので、という意味です。
女性の同情をひき、復縁を願う。プライドも面目も捨て、縋り付くような純情一途の一首です。

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