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『人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける』紀貫之

《意味》
人の心は変わりやすいものだから、今のあなたの気持ちは、さぁ どうなのかわかりませんが、古くから慣れ親しんだこの場所の梅だけは、昔と変わらない香りで私を迎えてくれています。


いよいよ近付いてきた春を感じて、心が浮き立ってくる。それにつられて昔の恋に心が揺れる。ふわりあたたかな風を感じる一首です。

紀貫之といえば土佐日記。
「男がすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり」
という一説は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
他にも古今和歌集の選者でもあり、序文である「仮名序」を手掛け、後世の文学に大きな影響を与えた人物です。政治の面では藤原氏との権力争いに敗れ、活躍することはかなわなかったのですが、その分文学の分野に力を注ぐことができたとも言えると思います。

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