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『朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪』坂上是則

《意味》
夜がほのぼのと明けていく頃、空に残る有明の月の光が降り注いでいるのかと思い間違うほどに、吉野の里に降り積もっている白雪よ

一面の白銀の世界。子供のようにわくわくしてしまうような、美しい景色広がる一首です。

吉野の里とは奈良吉野のこと。桜の名所として知られ、今ではそのイメージの方が強くあるのではないでしょうか。しかしこの平安王朝の時代において吉野と言うと「古い離宮」が強く連想されました。今日の都から離れ、山深い峠を越えた先にある吉野。神秘に包まれ、どこか畏れをも感じてしまうような、しかしその一方都人皆にとっての「心のふるさと」ともいえる、郷愁を感じされる場所として描かれています。

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