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『月見れば 千々にものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど』大江千里

《意味》
月を見ると、なんだかあれこれといろんなものが物悲しく思えてきてしまう。別に秋は私ひとりのために訪れたわけではないのに。

秋は愁いの季節。
冷たく空に浮かぶ月が印象的な、悲しさとさみしさの一首です。

大江千里は、第16番歌作者の在原行平、第17番歌作者でモテ男でも有名な在原業平兄弟の甥です。父は大江音人という漢学者で、千里もその影響で漢詩人として有名でした。在原行平・業平兄弟は技巧を巧みに操った恋の歌などが有名ですが、大江千里は中国の漢詩を翻案・アレンジして和歌を創作することを得意としていました。

今回の一首「月見れば」もアレンジされた歌の一つで、元となった漢詩があります。

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