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『わたの原 漕ぎ出でてみれば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波』法性寺入道前関白太政大臣

《意味》
果てしなく広がる大海原に船を漕ぎ出して遥か遠くを眺めると、空の雲と見間違えるばかりに、沖の白波が立っていることだよ

空の青、海の紺、そして波の白。コントラストの美しい雄大な景色の一首です。

法性寺入道前関白太政大臣こと藤原忠通。とてもややこしい名前ですが、25歳で関白に、その後法性寺で出家するまでに摂政・関白をそれぞれ3回ずつ、太政大臣を2回歴任したエリート政治家です。歌人としても優れた才能があったようで、歌の神様とされている柿本人麿にも匹敵するのではとも言われたようです。

さて、「わたの原」と聞いて思い出すものがないでしょうか。第24回で扱った小野篁こと参議篁の「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣り船」。もちろん忠通もこの歌を念頭に置いて詠んだのだと思われます。

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