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『逢い見ての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり』権中納言敦忠
《意味》
あなたに逢って愛し合った後のこの苦しい胸の内に比べたら、昨日までの物思いなんて物の数でもなかったなぁ。
知ってしまったが故の苦しみ。
これぞ恋の真理、物事の真理とも言えるような一首です。
この歌の作者・権中納言敦忠こと藤原敦忠は、時の左大臣・藤原時平の息子で平安屈指のモテ男・在原業平のひ孫にあたります。その血をしっかりと受け継いでおり、美男子で人柄も良し、歌人としても音楽家としても優れていたと伝わっています。もちろん家柄も申し分ないとあれば女性からの人気は当然高く、数々の女性と浮名を流しました。
こちらもモテたことで有名な右近とも恋愛関係になりますが、すぐに振ってしまったため、恨みの歌を詠まれたりもしています。右近が詠んだ第38番歌「忘らるる」の相手は敦忠であったと言われています。
まさに平安王朝、華やかで目眩く恋愛関係の中心にいた二人と言えるのではないでしょうか。
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937字
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