見出し画像

『滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ』大納言公任

《意味》
滝の音が響かなくなってから随分長い年月が経過しましたが、その素晴らしい評判は今もなお広く世間に流れ伝わっています。

実態はなくとも、名は残っていく。何かを成そうと思う人は共感できる一首ではないでしょうか。

大納言公任こと藤原公任は藤原道長と同い年、政治家として一流の家に生まれますが、政治家としてではなく文化人として活躍しました。
ある時藤原道長が大堰川(現在の京都府保津川)にて遊びを企画したことがありました。「和歌の船」「漢詩の船」「管弦の船」の三艘を用意し、それぞれにそれぞれの名人を乗せ楽しむというもの。どれも優れた公任は「どの船に乗るのか?」と問われ、和歌の船に乗ることにします。そこで素晴らしい歌を詠み絶賛されますが、そこで言ったのが「漢詩の船に乗っていればもっと賞賛を集められただろうになぁ」という言葉。ここまで自信たっぷりのセリフを言えるというのもなかなかのものですが、このエピソードに由来し、公任は「三船の才」があると言われるようになりました。

ここから先は

1,099字
毎週水曜日に更新。AuDee「あすなのいろはおと」をより深く楽しんでいただける情報をお届けします。番組に届いたお便りの返信も音声にて配信!ぜひ一緒に楽しんでください。

AuDeeにて放送中の百人一首と音楽を掛け合わせる番組「いろはおと」で取り上げた歌の解説と手書き原稿の公開をしています。 また、番組でいた…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?