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『かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける』中納言家持

《意味》
かささぎが七夕の日に天の川に渡すという橋。
その橋に降りた霜が真っ白なのを見ると、すっかり夜も更けてしまったのだなぁ。


天上に広がる世界と宮中の世界。
その二つを「はし」で繋ぎ、白さと寒さの際立つ一首です。

さて、今回の一首、意味の中に「七夕」という言葉が出てきます。こんな季節になぜ?と思われた方も多いのではないでしょうか。
この歌で描かれているのは、七夕にちなんだものでありつつも、冬の景色です。

「七夕のかささぎ伝説」というのものをご存知でしょうか。
七夕の夜に彦星と織姫が逢うために、天の川にかささぎが翼を広げ橋を架けるというものです。このかささぎとはカラスの仲間で身体は黒いのですが、腹と肩、翼の先端が白い鳥。天の川にかささぎが架ける橋、それは地上から見上げるとちょうどかささぎのお腹の部分。真っ白な美しい橋だと想像できます。

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