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『難波江の あしのかりねの 一夜ゆえ みをつくしてや 恋わたるべき』皇嘉門院別当

《意味》
難波の入江に生える葦の刈られた根の一節のように短い、たった一晩のかりそめの恋のために、私はこの身を尽くしてあなたに恋をし続けなければならないのでしょうか。


遊びのつもりの一夜だけの関係。そのはずだったのに、迷い込んでしまった恋を嘆く一首です。


この一首も、小倉百人一首ではお馴染み歌合の題詠、与えられたお題をもとに詠まれたものです。
歌の作者・皇嘉門院別当は崇徳天皇の皇后に仕えていた女性です。「旅宿に逢ふ恋」というテーマで詠んだものでした。

歌合で詠まれた歌というだけあり、技巧が多く用いられています。
「難波江」は大阪湾の入江。「難波潟」とも呼ばれ、当時は葦が群生しており荒涼とした雰囲気だったようで幸せではない恋の象徴として和歌では常連です。旅宿としても知られた場所だったので、皇嘉門院別当は題材にしたのでしょう。

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