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『花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり』入道前太政大臣

《意味》
花を誘うように散らす強い風が吹く庭は雪のように花びらが降るけれど、本当に古りゆくものは私自身なのだなぁ。

誰にでも平等に老いは来る。人生の儚さを詠った歌です。

入道前太政大臣は、その名を藤原公経といいます。小倉百人一首の選者・藤原定家の義理の弟でもありました。
平安末期から鎌倉初期に活躍した政治家で、源頼朝の姪を妻にして幕府と関係を結んだり、実朝亡き後に将軍後継者候補を送り込んだり、野心的で出世欲が強く処世術に長けていました。しかし私利私欲に走る傾向にあったため、周囲からの評判はいまいちだったようです。
みなさんお馴染みの金閣寺。こちらは元々あった西園寺というお寺を改築したものですが、この元になった西園寺を建てたのが藤原公経。そのため西園寺公経とも呼ばれています。
その西園寺を建立したときに公経が詠んだとされているのが次の歌。

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