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『みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ 昼は消えつつ ものをこそ思へ』大中臣能宣
《意味》
宮中の門を警護する衛士が焚く篝火が夜は燃え昼には消えるように、私の恋の炎も夜は激しく燃え上がり、昼は身が消え入るばかりに思い悩んでいます。
暗い夜の中でパチパチと音を立てながら妖艶に燃え上がる火と、明るくなりただ燻る火と立ちのぼる煙。そんな美しい映像が鮮やかな一首です。
かつて宮中には警護番として全国のあちこちから優秀な武士が集められていました。その警護番である衛士たちが、夜になると篝火を焚いていきます。
暗い中に焚かれている火というと、どのようなものが思い浮かぶでしょうか。お正月初詣の中、暖を取るために焚かれている火。バーベキューでの焚き火。なぜか火というものは魅力的で人の心を惹きつけます。宮中で焚かれるその篝火も多くの人の心をとらえたようで、かの清少納言も「雪の日の篝火が心惹かれる」と記しています。
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