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『玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする』式子内親王

《意味》
我が命よ、絶えるならばいっそ絶えてしまえ。このまま生き永らえていたら、秘めた恋心を隠す力が弱まって想いが外に出てしまうかもしれないから。

「秘めたる恋」
決して他人に知られてはならないのに、募る恋心がとめられない。このままでは隠しきれなくなってしまうから、いっそのこと死んでしまいたい。
静けさの中にある熱烈な恋の想い。小倉百人一首の中でも1、2を争う人気の高い一首です。

この歌の作者・式子内親王は「恋の許されない立場」の方でした。帝の娘として産まれ、神聖なる存在として賀茂神社に斎院として奉仕しました。
斎院は未婚の皇女に限られており、もちろん身の穢れなどあってはならないものです。
式子内親王は10歳から20歳くらいまでの約10年間を斎院として過ごし、病気によって退任されましたが、退いた後も生涯独身を通しました。

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