『忘れじの行く末まではかたければ今日を限りの命ともがな』儀同三司母
《意味》
ずっと愛してるよとあなたは言ったけれど、その気持ちが続くとは信じることが難しいので、そうおっしゃる今日を最後として絶えてしまう命であってほしいと思います。
今の気持ちは今しかない。切実な恋の一首です。
儀同三司母はその名を高階貴子と言い、子どもに藤原伊周、隆家、一条天皇の中宮・定子がいます。夫の藤原道隆は関白、子どもたちは内大臣、中宮のちの皇后、本人も才色兼備と平安王朝の女性として最高の栄華を極めました。
定子に仕えていた清少納言は、定子の美しさや才気の高さ、華やかさを多く枕草子に書き記しており、兄の伊周、母の貴子に関して触れている部分も多くあります。
貴子は学者である高階成忠の家の娘だったため、当時の女性としては珍しく漢詩の知識も深かったそうです。円融天皇の宮廷に仕えましたが、高内侍と呼ばれ、円融天皇もかつて貴子にお心を動かされたこともあるという才媛でした。周囲からの嫉妬も深かったと伝わっています。
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