『淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に いくよ寝覚めぬ 須磨の関守』源兼昌
《意味》
淡路島から飛んでくる千鳥のもの悲しげに鳴く声に、いったい幾夜目覚めたことだろうか、この須磨の関の番人は。
旅先での孤独な夜明け。冬の寒さ、荒涼とした海の景色と共に迫り来る、淋しさとあたたかさの一首です。
この歌の作者・源兼昌は生没年含め詳しい生き様は不明で、ただこの歌でのみ後世に名を残しているとも言えます。
誰もが思い描きやすい情景、口ずさみやすいリズム。小倉百人一首の中でも人気の高い歌のひとつです。
辻占売りという、江戸時代に交差点でおみくじを売っていた子供たちが売り文句として言っていたのが「淡路島 かよう千鳥の恋の辻占」というもの。由来は全くわからないのですが、この兼昌の「淡路島」の一首が人々に愛され身近にあったことが伺えるエピソードと思います。
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