見出し画像

『心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどわせる 白菊の花』凡河内躬恒

《意味》
初霜でそこらじゅう真っ白になってしまって、白菊の花が見分けがつかなくなってしまった。当てずっぽうに折れるなら折ってしまおうか、この真っ白な中の白菊の花を。


真っ白に霜の降りた中に咲く白い小菊。張り詰めた空気の中に、美しい光景です。

この歌は中国からの影響を多く受けた一首です。
菊は中国から渡来した植物で、この歌が入っている古今和歌集の頃に歌に詠まれるようになりました。今よくイメージされる大輪の菊ではなく野辺に咲くような小さな菊、色も白か黄色に限られていたそうです。
そして白い霜と白い菊を合わせるという発想は、中国の漢詩の中にも見られるもので、その流れを汲んでいると言われています。

ここから先は

949字
毎週水曜日に更新。AuDee「あすなのいろはおと」をより深く楽しんでいただける情報をお届けします。番組に届いたお便りの返信も音声にて配信!ぜひ一緒に楽しんでください。

AuDeeにて放送中の百人一首と音楽を掛け合わせる番組「いろはおと」で取り上げた歌の解説と手書き原稿の公開をしています。 また、番組でいた…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?