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『由良の戸を わたる舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな』曾禰好忠

《意味》
由良の門を漕いで渡る船人が、櫂がなくなってどこへ漕いでいったらいいのか、行き先がわからないように、この先どうしたらいいのか途方にくれてしまう恋の道だよ


ゆらゆらと揺れる、先の知れぬ恋。
読んでいるこちらまで心の行き先を見失うような、不思議な力を持つ一首です。

この歌の作者・曾禰好忠に関しては、生没年など詳しいことが全くわかっていません。
ただ、変わり者だったというエピソードは伝わっており、呼ばれてもいない歌会に
「ここにいる誰より私は歌が上手い!この歌会にふさわしい!」
と勝手に参加しようとして、他の貴族たちに散々に引き倒されたという話が残っています。
その難ありな性格、高いプライドのせいで一生を下級役人として終えました。

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