炎上リブランディングから学ぶ、「SHIRO」のブランド戦略を徹底分析
都会でよく見るおしゃんな自然派スキンケアブランド「SHIRO」
前々から気になっていたのですが、実は2019年に炎上していたらしい。全然知らなかった…
10周年でshiroからSHIROへリブランディング(知らなかった…)→デザインの大幅変更、人気商品の廃盤で炎上→なのに2021年7月期の売り上げが前年同期比150%を超える(毎年前年比を上回ってる)
という事実を知って「ネガティブからどう挽回したんや…」と、気になったので調べてみました。
結論でいうと、「炎上は悪いとは限らない。ビジョンを叶える通過点だった。」という解釈をしました。
その解釈までに至るまでの経緯と、新しいVIやブランドの在り方を徹底分析してみました◎
この記事で知った↓
炎上で学んだブランドの在り方 化粧品のSHIRO、新社長が語るhttps://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/01683/?i_cid=nbpnxr_parent
結論、炎上は悪いとは限らない。
SHIROのリブランディング炎上〜2022年を見て僕が辿り着いた答えは、
結論、炎上は悪いとは限らない。です。
その理由の前に簡単に炎上の経緯をざっくり追っていきます◎
SHIROが炎上した理由
イメージを変えすぎた←これがでかい
人気商品の廃盤・期間限定化(一部は後に再販されました)
端的にまとめるとこんな感じです。
まず「どう変わったの?」はこんな感じ↓
「shiro」→「SHIRO」のロゴの変更は以下の画像の通りです。
旧ロゴの「シンプル・ナチュラル・淡い」という印象に、新ロゴで力強さが加わった印象ですね。
そしてパッケージの変更はこんな感じ
これが…
こうです!(雑)
旧パケは20代〜30代の女性向け。華奢で繊細。儚げ、透明感。という印象が強いですが、新パケで存在感やモード感が増して性別年齢国籍問わずって印象になりましたね。
そして炎上。ユーザーの反応は…
SHIROへのリニューアル当初は「#改悪」なんてハッシュタグが着くほど炎上してたらしいです。 デザインしてる身からすると恐ろしい。
当時の反応はこんな感じ↓
「ダサい」「安っぽい」「前に戻して」「もう買わん」もう批判の嵐。
Twitterで「shiro (リニューアル OR リブランディング) until:2021-01-01 since:2019-01-01」と検索すると当時の反応が見れておもしろいです😂
リブランディングの経緯
「shiro」→「SHIRO」へのリブランディングの経緯は「世界で戦えるブランド」になる為だそう。
(ネガティブな意見も受けとめ前進 「シロ」の「世界で戦えるブランドに」という想いの源泉:https://www.wwdjapan.com/articles/1054388)
まず前提に、SHIROには「世の中をしあわせにする」というビジョンがあります。
そんなSHIROは素晴らしい素材を使い、良い製品を作っているので十分プロダクトに力はあります。
ですが、パッケージの際にも触れた通り、「shiro」は20代〜30代のナチュラル志向高めの女性向け。華奢で繊細。儚げ、透明感。という印象が強いです。
それに加えてグローバル進出するにあたっては、イメージが強い個性的なブランドが多い海外では戦えない可能性が高いです。儚げーな感じは海外でのニーズが少ない。
「SHIRO」へのリブランディングで、性別や国籍、年齢問わず広いターゲットにブランド訴求できる印象になり、ビジョンである「世の中をしあわせにする」をしっかりプロダクトに落とし込めてるなぁと感じます!すご!!炎上はしたけど!
炎上〜現在に至るまでを見て考えたこと
今回の炎上の1番大きな原因が「イメージ(=ビジュアル)を変えすぎた」だと思います。
先程のユーザーの反響の通り”儚げ”という印象をガッツリ変えてます。
グローバル展開を見据えてのリブランディングですが、ここまで既存顧客を切り捨てたリブランディングも珍しいです。
そんなネガティブな意見が多い炎上の中でも実は2019年秋に炎上したSHIROですが、売り上げは毎年前年比を上回っています。
ではなぜそれが可能だったのか?
個人的には3つの要因があると考察しました。
①ビジュアルと機能性の関係性
ここまでビジュアルを一新したのなら当然のように既存顧客は離れてきます。
その離れていく割合というのは、ブランド価値がビジュアルに依存していた割合と比例しています。
シンプルに、shiroの見た目がいいなと思っていた顧客は離れていきますし、shiroの機能性を買っていた顧客はビジュアルが変わっても離れません。
shiroはビジュアルよりも「いいもの作り」に徹底しているので、SHIROへリブランディングしても何だかんだ顧客がついてきたと考えられます。
②世間の「ダサい」は一瞬の『感情』に左右される
SHIROの新しいVI、全然悪くない。なのになぜここまで燃えたのか?
その要因は「shiroのビジュアルで推してた人の批判×同調現象」だと思います。
shiroの淡いビジュアル押しだった「コスメをオススメしてるSNSアカウント」や「強い言葉でディスる発信」で先入観が入って「確かにダサい!前の方がいい!!」となるのかなと。
実際リブランディング後、何だかんだSHIROのお店にはたくさんの人が溢れてたらしいです。
今ではSHIROで「おしゃれ〜!」と新規顧客になった人もたくさんいますし、女性にオススメブランド!と紹介されるくらいなので、デザイン自体は悪くはなかったんですよね。
③顧客の意見には耳を適度に傾けるのがベスト
ビジュアル以外にも人気商品を含めた複数の商品を廃盤にしたことも「#改悪」と言われる要因でした。
その経緯はSHIRO自身の「自分たちが欲しいもの」を提供し続けるため、らしいです。
ですが廃盤を残念がる意見においては、即座に一部再販決定するなど柔軟な対応をして「製品のファン」である既存顧客に寄り添ってましたね。
ユーザーがSHIROのどこに価値を感じていたのか?感じて欲しいのか?
を明確に「プロダクト」に絞ったからこそ、再販は即座に対応し、
リブランディングに関しては突き通す姿勢を感じました。
結論の結論、炎上は悪いとは限らない。
これらを色々鑑みると、SHIROの炎上はブランドとしての通過点だったと感じます。
ブランドの「世の中をしあわせにする」というビジョンを叶えるための大きなリブランディング。
それを支えられたのは、SHIROの製品クオリティ+強い意志からのリブランディング。
結果として、売り上げは毎年前年比を上回り、性別年齢問わず広いターゲットにブランド訴求でき、現在はロンドンに3店舗、台湾と米国にEC展開とグローバル展開も進んでいます。
2019年秋の炎上〜2022年のSHIROを見ていると結果リブランディングは成功してるように感じます。
リブランディングの炎上≠リブランディングの失敗 だなあとSHIROの事例を見て痛感しました。
SHIROの概要
北海道で生まれた自然派スキンケアブランド
SHIROは「世の中をしあわせにする」をビジョンに掲げる、超素材にこだわって製品を作るブランドです!
■プロダクト
スキンケアをはじめ、フレグランスやライフスタイルグッズ、コスメ用品などを展開
その中でも売り上げの過半数を占めているのは、50種以上あるフレグランス系商品(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00316/00042/ から)
■価格帯
¥2,000~¥17,000の中価格帯〜高価格帯で展開
人気商品は¥2,000~¥8,000が多くを占める
■販売拠点
・店舗販売
全国(北海道・関東・中部・近畿・九州)、ロンドン
・EC
台湾、米国での展開を店舗からECにシフト
・セルフショッピング型店舗「SHIRO SELF」
対面接客をしない代わりに、スマートフォンが製品の情報や使い方などを声や画面でサポート。日本語だけでなく英語対応も可能。
性別や国籍、年齢に関わらず、誰もが気兼ねなく、自分のペースで製品を試して選ぶことができる。
参考:https://shiro-shiro.jp/ext/shiro_self.html
■プロモーション方法
”SNS広告もリターゲティングはしていませんし、単純なリスティング広告くらい”(引用元:炎上で学んだブランドの在り方 化粧品のSHIRO、新社長が語る)
・泥臭く、One-to-one マーケティング
・メンバーシップ制度:https://shiro-shiro.jp/ext/smp_index.html
・毎週1時間のインスタライブ
男女の組み合わせでの発信が多く、男性が当然のこととしてSHIROの製品を使っていることが伝えられています。
■競合
・業界競合
THREE、Dior、YSL、Aesop、CHANEL、MAC、シュウウエムラ
・価値競合
装飾品・ファッション小物ブランド
サロン・美容院
ギフト関連→オススメギフトとして取り上げられることが多いため
■参考リンク
コーポレートサイト:https://hello.shiro-shiro.jp/
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