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精神科の患者さまへの言葉遣い

私は精神科で勤務して6年目になります。

精神科に入院や通院をしている患者さまは、教科書通りの症状が出ている方は一人もいません。当然ですが、一人一人の特性を見て行く必要があります。

一人一人、その方の性格や育ってきた環境、症状、病期がどの時期にあるか等を適切に判断して対応をしなくてはいけません。

今日は、患者さまへの言葉遣いについてお話をしたいと思います。

一人一人個別の対応が大事です。正直、すごく難しいです。ですから、「これが正解」というのはありません。正解がいくつもあります。ですが、絶対にやってはいけないことは決まっています。

「接し方において絶対にやってはいけないこと」を知っておくことで、患者さまの治療を円滑に行うことができますし、トラブルを避けることもできます。

作業療法士の学生さんは実習の参考にもなるかと思いますので、最後までご覧いただけると嬉しいです。


礼儀を欠いた言動・行動

人として「そうだろ」って感じですが、相手への礼儀を欠いた言動や行動はしてはいけません。しかし、悲しいことに、医療の現場では少なからず、対応に問題があるスタッフがいます。

患者さまの言動を悪いニュアンスで笑ったり、いきなり驚かしたり。

精神科も最近は認知症の方が多いのですが、「すぐに忘れてしまうから」と言って、適当な説明をしているスタッフも見かけます。「ちょっと待って~」とだけ言って足早に患者さまの前を過ぎ去っていくスタッフ。

忙しいのは分かりますが、それじゃあ患者さまは「永遠に安心できなくて、訴えがとまらないよ」と思います。人間はエピソードよりも感情が記憶に残りやすいですから、その時その時の出来事は覚えていなくても、「〇〇さんに相談したら安心した」という感情だけは残ります。真摯に接し、安心を積み上げていくことで信頼関係が生まれます。

「車いすを押す時に速度が速い」というのも、患者さまは怖い思いをしますし、これは相手のことを考えていない行動なのでやめましょう。

他にも、患者さまへの礼儀を欠いた行動は沢山あります。常に自分をフィードバックしてみてください。人としての基本ですが、自分がされたら嫌なことはしないようにしましょう。


敬語?タメ口?

さらに、よく議論されるのがタメ口問題です。

若いスタッフほどやりがちなんですが、患者さまに対してタメ口で話す人もいます。「いや、目上の方にタメ口・・・」。タメ口で話している本人は「患者さまとの距離を詰めるため」にやっているそうです。

ですが、そもそも友達感覚で話すくらいな仲まで距離を詰める必要はありません。誠実に向き合っていればおのずと信頼関係はうまれてきます。また、精神科に入院している患者さまは特に、人の言動や行動に敏感です。「あの人にはタメ口なのに、私には敬語・・・」「職員には敬語なのに、私にはタメ口・・・」と、患者さまが不公平さを感じてしまいます。職員側も患者さまからしっかり観察されていていることを忘れてはいけません。

タメ口を使うと、誰にでも平等、公平な態度というのが難しくなり、トラブルの原因になりますので、やめましょう。ベテランのスタッフで患者さまに対してタメ口で話している人もいるかと思うのですが、その方はもうベテラン故、患者さまたちとの信頼関係ができ、タメ口であっても公平に接することができているからだと思います。


難聴の方に敬語が伝わりにくいんですが・・・

でも、きっと現場で働く人が難しいと感じている対応の中に、「難聴の方にも敬語を使うべきか」という問題がありますよね。

というのも、難聴の方に敬語を使うと、意味が伝わりにくいことがあるからです。敬語の際の語尾の部分、まず伝わることはありません。しかも、地方になると方言を交えなければ意味が伝わらないことがありますし、堅苦しい印象を持たれたままになってしまいます。

私も九州で働いているのですが、お年寄りの方はかなり方言が強いです。ある日、患者さまからこう言われました。

「ごちゃばかいて」。

背中を掻いてという意味です。

これに対して私が「背中をかいて欲しいのですか?」と答えると、「意味の分からん」と言われました。

ですから敬語で話すとコミュニケーションが難しい時に限っては、タメ口や方言を利用すると良いかと思います。

これは信頼関係がすごく大事です。信頼関係ができていないにも関わらず、粗雑な言葉遣いをしていると、患者さまを怒らせてしまいます。それに、ご家族が見た時に良い気持ちがしませんよね。大切なご家族を診させていただいているんですから、言葉遣いはしっかりしていきたいと思います。


患者さまとの関係で困った時

どんなに礼儀を大切にしていても、人と人ですから、時にはこじれることがあるかもしれません。経験年数が少ない時や学生の時は特に、患者さまに影響されることも多いですし、何が正解か分からなくて悩むこともあると思います。

そんな時は、すぐに他の職員に相談をしてください。チーム医療ですから、患者さまとの困りごとは皆で共有するようにして、一人で抱え込まないようにしてくださいね。


まとめ

言葉遣いが大事だというのは精神科に限った話ではありません。礼儀と信頼関係があれば、大丈夫です。正解は一つではありませんが、間違ったことはあります。間違いだけ避けることができれば、対応で悩むことは減るかなと思います。

話し方に気をつければ患者さまの治療を円滑に行うことができますし、トラブルを避けることもできます。自分の身を自分で守ることができます。

悩んだ時は一人で抱え込まず、すぐに他の職員に相談をしてくださいね。


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病院内だけでなく、地域で作業療法を行っていくために、切り絵作家として独立したいと思っています。精神障がいや発達障がいのグレーゾーンの方を支援していきたいと思っています。この活動を応援してくださる方がいらっしゃいましたら、詳細をご覧いただけると嬉しいです。↓


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