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【ブラジルのカクテル実話】垢抜けない?カイピリーニャが実は本場という話

怖いカシャーサばかりでは無い

昨日の記事:【ブラジルファベーラ生活】おおらか過ぎる交通事情とアルコール事情がカシャーサは恐ろしい、という印象に偏ってしまったため、追記で 日本でも飲めるカシャーサ51とブラジルの代表的なカクテル、カイピリーニャについて追記してみた。

上記事での泥酔トラック運転手が飲んでいたカシャーサは、51という多少高めの有名メーカーのもので、日本ではサントリーさんが輸入元のようだ。通販している酒屋も多くあるので気になった方は一度試してみてはどうだろう。

安いメーカーのものは名前自体がヤバいお酒の代名詞になっている感すらある。しかし、51と言うと苦い顔をする人はいないと言うのがある意味リアルである。

タイトル写真は5リットル700円ほどの、おそらく危険な「Jacaré ワニ」カシャーサ。ラベルも怖いが中身も怖いタイプのものだと推定される。

ヤバい系?というか安いカシャーサではCaninha da Roçaというメーカーが良く知られており、丸っとした500mlのペットボトルのものがどこの小さいバーや小売店にも置かれている。

その丸っとした形態からBombinha(Bomba=爆弾、Bombinha=小さい爆弾)とも呼ばれており、ヤバいカシャーサというと「Caninha」「Bombinha」などと揶揄されているイメージがある。

日本でも嗜めるカシャーサ51

一方、製品として一定の品質が保たれているアルコール類しか輸出できない事を考えると、この51というメーカーのものならばきちんとした製法で蒸留されているはずである。

ほんのり甘い感じのスッキリした飲み心地で、ライムと砂糖を入れたブラジルのカクテルとして有名なカイピリーニャに使われる。ちなみにCaipiraとは田舎と言う意味でCaipirinhaというのはその愛称的なもの。

日本ではカイピリーニャ=田舎娘という意味だと説明されたものが方々のサイトで見つかった。しかしながら、ブラジル本土では特に田舎「娘」というよりは田舎が起源の飲み物だからと説明されているものの方が多いようだ。

幾つかの説があるようで、著名な歴史人類学者Câmara Cascudoによると、カイピリーニャは19世紀にサンパウロの田舎町Piracicabaの裕福なサトウキビ農家のパーティなどで振る舞わていたのが始まりとされる。

また一方、ブラジルカシャーサ協会の調査では20世紀初頭にこれもサンパウロの田舎でよく家庭で作られた風邪薬として飲まれていたのを始まりとしているらしい。

ブラジルでのリアル・カイピリーニャ

こちらのおっちゃんたちの間では恐ろしいことに、ストレートでがぶ飲みしているのをよく見る。しかし、砂糖と果汁を入れたりして飲むことも多い。ほぼカイピリーニャと同じ感じである。

カイピリーニャと言うとおしゃれなバーで飲むイメージだった。しかし、バイーアに来てから飲んだくれのおっちゃんたちが普通にカイピリーニャ風にカシャーサを飲んでいるのを見て、その考えは変わった。

しかしまた、カイピリーニャの語源を調べているうちに出て来た解説を読んで「カイピリーニャは原価が安く階級を問わず民衆間に広まったため、裕福なブラジル人や外国人からは偏見の目で見られていた」???

小洒落バーで飲む高い飲み物だと思っていたのも偏見なのかと思うと、ひとつのカクテルにもさまざまなストーリーや解釈があるものだと感心した。

一般的にカイピリーニャにはライムが使われる。その他にもリオで一度連れて行かれた小洒落パーティではイチゴやキウィなどさまざまな果物が入れられたものも見たことがある。

バイーアのおっちゃんカイピリーニャ

しかし、イチゴやキウィは実は結構高価なので見向きもされず、こちらのおっちゃんたちはもっと庶民的な果物の果汁を入れる。

しかもどの果汁がカシャーサに合うかをよく知っており、ライムよりもLimaというレモンとオレンジの中間のような柑橘類、パッションフルーツ、オレンジ…キロンボ住人の漁師のおっちゃんなど果物が手に入るとまずカシャーサに混ぜて飲んでいる。

ジェニパーポ Jenipapoと言うちょっとクセのある果物がキロンボで熟しはじめた時期には、毎日のように近所のおっちゃんたちがもらいに来ていた。これがカシャーサに良く合うというので非常に人気だった。

これがジェニパーポだ!

どうもこのジェニパーポと言うのは厚い果肉がカシャーサをうまい具合に吸収して旨味が出るらしく、熟しているのをどこからか聞きつけて、毎日近所のおっちゃんたちが門を叩いて来る時期があった。

おしゃれさとは程遠いかもしれない。しかし美味しさを知っている地元民ならではの飲み方で、こちらの方がリアルなカイピリーニャなのではと思わされた。

日本でも手に入る51と、既成概念にとらわれずいろいろな果汁と砂糖でバイーアのおっちゃんカイピリーニャを試してみてはいかがだろうか。ちなみに砂糖は黒砂糖系の方が合うはず。

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