推しの結婚を考えた

推しが結婚した。
発表を聞いた瞬間は驚きと祝福で上がったテンションが、時と共に下がっていった。
おめでたくて嬉しい。
けれど、どうしようもない淋しさがある。
別に自分と推しがどうこうなるなんてことは全く考えてない。
想像もしたことがない。
もちろん自分と推しは親類や友人関係でもなんでもない。
祝福の気持ちはあるのに淋しくてどうしようもないこの気持ちは何なのかと、考えた。

考えて考えて、

「娘を嫁に出す父の気持ち」

というものに行き着いた。

もちろん家族の関係なんて千差万別、それぞれだ。
しかし、ここでドラマや映画に出てくるような、
例えば、ス○ルのCMに出てくるような、
私の中で定番でテンプレート化した親子像に結びつけてみた。

私の推しは男性の俳優さんで「娘」ではないし、お相手の方は女性で、
私は当然「父親」でもないが、
敢えて例えとして推しを「娘」、自分を「父親」として置き換えてみた。
あくまで私個人の解釈です。と強く前置きします。

以下は、そんな娘を想う父の気持ち。

娘が、結婚する。
ある日突然、相手の男を紹介された。

結婚相手がいることを聞いて、立派になったな、良い相手が出来たんだな。
と、喜ばしい思いで胸が熱くなった。
しかし、そこから徐々に気持ちが沈んでいった。

娘は、近しい相手と一緒の時こそ無邪気で口数も多くなるが、普段は控えめで大人しくあまり自分から前に出て目立とうとはしない存在だ。
自分をアピールすることよりも周りの人間を立てて、周りの人間の良さを一生懸命に伝えようとする真面目で優しい娘だ。
私はそんな娘の控えめではにかむ笑顔が好きだ。

相手の男は、いい奴だ。
娘とは対照的なくらいに、人懐っこい笑顔を弾けさせてくれて、
明るく積極的で、仕事もキャリアを重ねており素晴らしい人材だった。
そっと微笑む娘の隣でその場を明るくしてくれる。
良い組み合わせだと思った。

いつか娘が結婚するときは、彼のような男が相手ならいい、とさえ想像していた。
そんな、ピッタリの男だった。

嬉しかった。
しかし、同時にやり場のない淋しさが込み上げてきた。
素敵な相手だからと、それじゃあ宜しく。と言って簡単に認めて受け入れることが出来ない。

娘の成長は嬉しい喜ばしい。
素晴らしい相手を見つけて、嫁にいくのもめでたいことだ。
幼い娘が、まだこの世に大勢いる中に紛れているどこかの一人だった頃から、
私にとっては特別な一人だった。
そんな娘が成長する様子を見つめていた。
父親の中には、単身赴任などの理由で成長の途中で娘から離れた者もいるだろう。
再婚や養子などで、娘が大きくなってから出会った者もいるだろうが、
どんな形であれ、大切な娘であることに違いはない。

娘が成長して、この世に大勢いる中に紛れている一人から、娘はただ一人の個の存在として、歩み始めた。
職場でも頼られる存在になり始め、大きく美しく成長した娘は自慢だった。
そんな娘をそばで見守ることに一層の喜びを感じていた矢先に、
娘が、結婚することになった。

周りは、いい人が見つかって良かったな。おめでとう。と言ってくれる。
その言葉が嬉しくないわけなどない。
事実、喜ばしく思う気持ちはあるのだ。

しけし、娘の結婚によって、娘に人生の伴侶として選ぶ特別な相手がいることを知ったことで、娘がもう自分だけの娘ではないことを痛感した。
父に向けて見せてくれていたものとは違う笑顔があること、
自分が知らない見えない娘たちの別の世界があるのだということ、
いつしか娘は「娘」ではなく一人の女性として成長していたことを強く感じた。
娘と私は違う人間なのだから、当然のことである筈のそれらを改めて感じてしまうと、
淋しかった。
淋しかった。

そして、分かっているのに、娘のことをずっと見守ってきたのは自分だ。というプライドのようなものが邪魔して、素直に認めることができずに目を逸らしてしまった。
受け入れられない自分が惨めで情けない。
しかし、もう少し時間がかかる。
もうすこし、時間がほしい。
きっと、娘が嫁いだことに安心して笑える日がくるはずなんだ。

娘の結婚は嬉しい。
喜ばしい。
娘の幸せを願ってる、誰よりも願ってる。
だからこそ、淋しい。

けれど、嫁に行っても娘が娘であることは変わらない。
娘が突然誰か違う人間の娘になることはないのだ。

父ちゃんはいつまでも
お前の父ちゃんだからなぁああああああああああ!!!!!!
お前の幸せと成長をずっとずっとずっと応援しているからな!!!!!
幸せになれ!!!

今はまだ万歳三唱で祝うことの出来ない父を憐れに思ってくれ。
でも、娘よ!
どうか、誰よりも幸せになってくれ!!!!




以上!!

ただ、これだけお願いしたい。
勝手なことだから、ここで、ここだけで切に願う。
私はプライベートが見えない推しが好き。
公式でブログもSNSもやってなくて、情報が少ないのが淋しく思える時もあるけど、
その分作品に出演されたり、作品のPRでTVに出られた時に垣間見ることができた彼の人柄に一喜一憂するのが楽しかった。
真っ直ぐに仕事に打ち込んでいる姿だけを見せようとしてくれているのが好きだった。

だから、この先もその姿勢は変わらないでいてほしい。
そして、お相手の女性の方もそんな彼の姿勢を尊重してほしい。

二人の結婚生活の情報は見せなくていいです。
写真も、チラ見せも、匂わせも、いらないです。

どうか、それだけは、お願いしたいです。
おめでとうの気持ちはあるけれど、その姿は見たくないんです。

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