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カナダでエンジニア二年目の転職の記録

エンジニアとしてトータルで約1年半働き、今回フルタイムで働きながら転職活動をして、現在WealthsimpleでFrontend Platform Engineerとして働いています。その就活経験と学んだことを記録します。今転職活動をされている方はもちろん、エンジニアを目指されている方も、ジュニアのエンジニアとしての就活ってどんな感じかな、と参考になると幸いです。

背景

3D/AR/VRのプレゼンテーションアプリを作っている会社でフルスタックディベロッパー(フロントエンドが主)として1年間働き、チームリードもチームメイトたちもとても優しくて良いメンターで、新しい技術をアグレッシブにどんどん取り入れていく人たちだし、働く環境に不満は無かったけれど、会社が小さいので整った業績評価制度が無いのが唯一の不満でした。今回はポジションをジュニアからインターメディエイトに上げる、それに伴って給料を上げる、社内で昇進できるような制度が整っている会社に行くのをゴールに転職活動をしました。

まとめ

エンジニア歴1.5年フルタイムで働きながら
就活期間 2021年1月〜3月 約10週間

応募数: 15~20社 (うちreferral4社、リクルーター2社)
Phone Interview: 6件
2次面接以上: 4件
内定: 3

応募に使ったプラットフォーム
− LinkedIn(リクルーターからのメッセージも含む)
− AngelList
− TorontoJS・ブートキャンプのSlack #job や#careerチャンネル
− エンジニア友達にレファーラルしてもらえないかお願いする

タイムライン

2021年1月〜2月

転職活動そろそろ始めようかな〜、と思ってLeetCodeをちょいちょい解き始める。このフォーラムなどを参考に、beginner向けのupvoteが多い問題から解き始めました。並行して、resumeをブートキャンプのキャリアアドバイザーにレビューしてもらう。あと、知り合い、特に一緒に働きたいと思うエンジニアの会社のページを見て、募集してたらレファーしてもらえないか話しかけたり、トロントやブートキャンプのSlackコミュニティの#jobチャンネルのポストをチェックして、気になったらポスト主にZoomで話を聞いた。

今の会社や環境の好きなところ、好きじゃないところ、今までやってきたタスクの中で好きだと思えるものとその理由も書き出して、それをもとに新しい会社やポジションに求めるものをリストにしてまとめた。私の場合は、メンターしてくれるような人が同じチーム内にいて、社内でキャリアのステップアップができる、あとコンポーネントライブラリやフロントエンドのツール作りが好きなので、それができるような環境で働きたいと思っていて、ポジション的には自分の中で優先順位的にはこれかなと思っていました。
1.Frontend Platform Engineer
2.Fullstack Product Engineer
3.Frontend Product Engineer

2月前半

会社から突然、来週業績評価ミーティングやるよ!と言われて、おおっ!給与アップしたり昇進させてくれるなら転職しなくてもいいかも!とはりきって準備して臨んだら、業務の評価は褒められたものの、はい、以上です。と終わる。え?給与の話はしないんですか?と聞くと、コロナで給与は誰も上げられていないんだよ~、と言われて更に転職をする意思が固まった。

リクルーターから連絡を受け、スクリーニングの電話をいくつか受ける。大体今までの経験や、今のチームの大きさ、使っている言語やツールについてを聞かれる。給与についてもこの段階で聞かれることが多かった。あとはこの段階でチームについてや社内のキャリア形成等、気になることはリクルーターを質問攻めにした。

2月後半

ブートキャンプの卒業生チャンネルから連絡をして応募した会社からphone screeningをいくつか受ける。技術面接もぽつぽつ始める。技術面接は大体一社につき2~3回あり、私が受けたのは会社のプロダクトのスクリーンショットを元にフロントエンドのみを作成するtake-homeテストとそのレビューセッション、ペアプログラミングセッション(Leetcodeのようなアルゴリズム問題とSystem Design)、Hackerrankのテスト(HTML/CSS/JSの選択問題を20問くらい、時間制限あり)などでした。

3月前半

一社、次回がCEOとの面談との会社だが、面接を重ねていくうちにポジション自体がどうやら募集要項から思い描いていたものと異なることが判明した。理由を正直に話してお断りを入れると、別でプロダクトエンジニアのポジションもあるけどどう?と言ってくれた。だったら面接を続けます、というとその返信で即オファーレターをいただいた。嬉しいもののかなり戸惑って、他の会社もいくつか最終面接があり、きちんと納得した上で後悔の無いよう決断したいので1週間ほど待ってくれとお願いする。

3月後半

このころには完全にjob hunting fatigueで疲れきっていていた。けれども、オファーをいただけたので少し精神的には楽。1週間待ってもらっている間に、最終面接を終えた第一希望の会社に連絡して、決断を急かす。無事に第一希望からFrontend Platform Engineerとしてオファーをいただき、さらにもう一社全然予測していなかったところからもFrontend Engineerとしてオファーをいただく。合計3社もオファーをいただけて、そのうち一つは第一希望よりも給与が高かったのでそこの給与とマッチできないか交渉して、第一希望のオファー額を少し上げてもらう。

オファーをもらった翌日、現職に辞めることを伝える。カウンターオファーを出したいから提示額を教えてくれと言われるが、教えたっきり返信は来ず、普通に2週間後に退職しました。最終日から2週間後に新しい会社で働き始めましたが、もう少しお休みをもらってもよかったかも。

学んだこと

Brag documentを作る

ブートキャンプ卒からSpotifyでiOSエンジニアとして働くことになったFunmiさんの体験記を読んでいてBrag documentの存在を知りました。私の場合はPerformance Reviewの準備として作成したけれど、phone screeningやマネジャーとのインタビューで聞かれるチームとして働いた経験やプロジェクトで難しかったことなどの経験を書き出すのにもいいし、自分が楽しいと思えたタスクを絞り出すのにも使えて、就活においてとても役立ったのでおすすめします。

スケジューリングは強気に

リモートワークなので、初めのうちはお昼休みの時間を使って面接していたけれど、例えば4社並行して1 phone screening + 2 technical + 1 culturalだとそれだけで4 * 4 = 16回お昼休み使わないといけないし、例えば面接が2時間だったりすると更にスケジュール調節が不可能で、段々と面接が進むにつれ、嘘の理由を使ったり休みを取ったりしないといけなくなってしまった。私は弱気だったのでこちらが現職に嘘をついてフレキシブルになればいいか、と相手の会社の都合を優先してしまうことが特に初めのうち度々あったけれど、就活しているのがバレバレになるし、現職にも迷惑だし、信頼している上司に嘘をつくことで自分もストレスがたまるので、そこは強気に相手にスケジュールを合わせてもらえないか聞けば良かった。フルタイムで働いているので17時以降にしてほしい、無理だったらランチタイムに1時間以内にしてほしい、などこちらの状況と希望を伝えてスケジュールの時点からこちらの都合をしっかり優先してもらう。理解のある会社であればこちらがフルタイムで働いていることは絶対に考慮してくれるはず。ていうかこれリモートワークじゃない場合、みんなどうやっていたんだろうか。

準備が大事

短期戦で疲れがちなので、身体的にも精神的にも備えること。特にLeetCode等テクニカル面での準備は、現在の業務とは全く関係ないものとして準備する必要があるので、ある程度時間をかけて準備してからアプライしたほうが良いと感じました。未経験時に比べて、かなり返事の来る確率もオファーの出る確率もあがる。短期戦で幾つかの会社を同時進行することになり体力も精神も消耗が激しいので、ジュニアのときのイメージで手当り次第応募すると大変になる(嬉しい悲鳴ですが)。自分にとって何が優先順位でどの条件がアウトなのかを就活前に決めておくと、最終的にオファーを頂いたときに迷わなくて済むし早い段階で断ったりしやすいと思います。自分の体力とも相談して、例えば第五希望の会社、とかをもしまだ保険として持っておきたい、とか考えてるとしたら、もうそこはお断りしたほうがお互いのためじゃないかなと思う。

たくさん練習機会を設ける

たった今言ったことと少し矛盾しますが、例え今職を探していない、準備ができてないよ、と思ったとしても、もし声をかけて頂いたら、絶対に働きたくない理由が無い限り話を聞いてみるのが良い。もしかしたら意外といい会社かも、相手がこちらを気に入って何か提案されるかも、面接の練習にもなるし、ネットワークも広がる、最新の技術は何を学ぶべきかもわかる。長期的に見て、特に職探しをしていないときからお話を聞いたりしておくのは実際にいざ就活するときにとても有利に働くと思います。


給料は必ず交渉する

この動画でMayukoさんも話していますが、会社の提示する給料にはレンジがあって、いきなり最高額を提示してくれる企業なんて無いです。特に移民、女性等マイノリティは足元を見られがちなので、いや、もうこんくらい貰えれば十分なんだけど、と思ってしまう人は、男女・移民の賃金格差の是正のためだ!と考えて交渉しましょう。経験上、POC・移民・女性等マイノリティは特に、提示額が低く見積もられている可能性があります。

それから、給料の希望レンジを聞かれたら、こちらから提案せずに聞き返す、というアドバイスがとてもよかったです。今回初めてこれを実践したら、自分が想定していたレンジを上回った返答が来ることが多く、自ら提案しなくてよかった、と思いました。Glassdoorに載っているものよりも高いものを言われることもありました。必ずしもGlassdoorに載っているものがUp-to-dateではないので聞いてみるのはかなり有効な手段だと思います。聞き返したときどうしても教えてくれない会社はPay transparency(更に言うとマイノリティの賃金格差の是正)への理解に問題があるかもしれないと思います。私の場合は3社聞き返した内、2社は即答、1社は濁されました。

就活仲間を作る

これは周りにたまたま同じ時期に就活している人なんていないよ〜という人も多いかと思うので必須ではないですが、個人的にめちゃめちゃ助かったのでおすすめです。今回はトロントで同じくエンジニアをしているアヤさんと就活時期がかぶっていて、一緒に面接対策したり、Prampがダウンしているのを都合に、コーディング面接の練習に付き合ってもらったりしました。本当ありがとうあやさん!周りに就活していると伝えるだけでも違うかもしれないし、twitterとかで就活中の人を見つけるとかなり精神的に救われました。

Diversity, Equity and Inclusionについて質問する

今回こちらのコミュニティで勇気づけられて、面接でDEIについてどれくらい理解があるかを初めて質問しました。(また女性のエンジニア一人は避けたいなとも思っていたので。)具体的な質問としては女性エンジニアの会社・チームにおける割合はどれくらいですか?移民・POCはどれくらいですか?DEIについてどのような取り組みをしていますか?など。取り組みはしてるよ〜と適当に流されるのを避けるために、数字を聞くのが大事、数字は嘘付けない!というアドバイスももらいました。特に白人男性に聞く時はかなりヒヤヒヤしましたが、この質問への返答でその人(と会社)のDEIへの理解や興味がはっきりと見えるのでかなりおすすめです。恐れていたような拒絶反応や煙たがられることは無く、みなさん真摯に答えてくれた。素敵な回答例では、丁寧になぜこのプロダクト作成にDiversityが必要だと思うかを説明してくださり、実はマネジャーとして、CS専攻の学生以外に前例が無かったco-op受け入れにブートキャンプ卒業生を取り入れるよう企業に初めて掛け合ったのは僕なんだ、と教えてくれた方が。ちょっと泣きそうになりながら聞きました。尊敬。

役に立つリソース

Virtual Interview Reflection Tiktokコンテンツも作ってるEmilyさん、同じ時期にインタビューをしているってTwitterで見て勇気を貰ってました。ここに書かれていることもめちゃめちゃ私が今回の就活で感じたことと似てます。Interview fatigue is realとかTrust your gutとか本当うなずきまくり。

React mock interview with Cassidy Williams
Director of Developer Experience @NetlifyのCassidy WilliamsがJunior Developer の仕事を探している人にReact のmock interviewしている動画。mock interviewはもちろんですが、職探しに関する質問への答えがエンジニアだけでなくジュニアで職探ししている人みんなに当てはまる内容で、めちゃめちゃタメになるのでオススメ。質問コーナーは26:45〜

Pramp
エンジニアとしての面接の練習したい人とマッチングを作って、練習させてくれるサイト。Frontend, System Design, Behavioural 等から選ぶと、練習問題を出してくれて、それをエディター上で面接官と志望者の役割でペアプログラミングの形で練習できます。面接が終わったらお互いにフィードバックを送って、連絡先交換したりもできるので面接仲間を探すのにも使えます。私はFrontendを一度だけ使いましたがよかったです。(あとは何故かサイトがダウンしていたのであやさんに付き合ってもらいました。)

おわりに

今の会社は、今まで働いたどの会社よりもDEIへの理解を深める活動がアクティブだし、会社自体が変化を受け入れたり社員のイニシアチブを尊重する文化なのでとても勉強になります。ちなみに今のポジションはジュニアなのでインターメディエイトにはなれませんでしたが、社内でキャリアプラン形成をリードが一緒に組んでくれているので1~2年以内にはインターメディエイトレベルに昇格できるんじゃないかなと思います。私の今まで経験してきたどの文化とも違っていて、少し調節するのに苦しんでいるところもあるけれど、給与もぐんと上がったしベネフィットも良くなったし新しいことを学びまくっていて転職は今のところ成功だと思います。読んでくださってありがとうございます。少しでも海外でエンジニアでサバイブしていく助けになれば幸いです。質問あればコメントもしくはTwitterにどうぞ、コミュニティもぜひ入ってください待っています〜!

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