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即興で踊るってことは、ライオンと戦うようなものだ

書き手:Sakurako

セバスチャンアルセ、2日目のWS終了。
前回と同じく、WS後3分以内に書き始めたものなんだけど、PC不調により1週間もタイムロスが...💦


今日は始めから飛ばし気味にタンゴとジェンダー、そして時代に寄り添ってきた3つのアブラッソについてのお話などなど。

タンゴといわず、そもそもペアダンスの持つ特徴は大きく2つだという。

①男性が自分の好みの女性を手に入れ、

②他の男性を蹴落とす

これはタンゴといわず、チャカレラやサンバなどの研究者も言ってることなんだって。

アルゼンチンの代表的なフォルクローレであるチャカレラを例にすると、

男性は、女性の後ろを追っかけるような構図になってると。

女性は男性の誘いに対して軽く"No"とあしらいつつ、相手を誘っている。

「やだ、こっち来ないで」と言いつつ手が届きそうなギリギリで逃げてる感じなのかな。

うーん、カルメン的なファムファタル。

さらに、男性は独特の足捌きをするんだけど、(日本人のわたしにはコサックダンスにしか見えない)

この独自の足捌きで他の男性との差別化を図り、意中の女性にアピールするんだと。


あれ、これは求愛ダンスをする鳥と同じ...?(笑)


そしてこの2つの特徴は、タンゴのミロンガの場に置き換えても同じようなことが起こってる。

たとえば、

②の「他の男性を蹴落とす」に焦点を当てれば、

・タンゴ初期のころはポケットにナイフを入れて、殺人をもってして相手を蹴落とし(ここ、うまく聞き取れなかった…もしかしたら解釈違うかも💦)

・最盛期40〜50年代になると、他の人にはない才能(有名なスポーツ選手であるとか)で相手と自分を差別化してたし

・現代では(さまざまな例はあるけど)たとえば「顔がイケメン」「身長高い」などの身体的特徴が差別化の一要因になってる。

こんな感じで、歴史とともにその形は変われど、①・②の法則は脈々とつながっているし、今でもそのあり方は変わり続けている。

(たとえば、1990年と2020年で男女のジェンダーのあり方が変わったみたいに)

面白かったのは、あのフアン・カルロス・コペスがマリア・ニエベスを踊りに誘うために家族や親戚、友人、友人の友人など、周りの人みんなに踊りの許可をもらっていたって逸話。(2人のことを知りたい方は、映画『ラストタンゴ』がオススメ)

40〜50年代は、ダンスフロアで女性を今みたく気軽に誘えなかった時代背景があるのね。

こんなふうに時代とともに変化するタンゴの中でも、いつの時代でも変わらずに存在してるのが「3つのアブラッソ」だと。

①自己紹介をするような、フォーマルなアブラッソ

②身体を感じる、セクシュアルなアブラッソ

③遊び心のあるアブラッソ

アブラッソの深さ、エネルギー、高さなどなどをコントロールして、この3つを使い分けながら男性たちは意中の女性を射止めるために、あれやこれやするわけですね。

そして、話は今の時代に戻る。(ここからはタンゴ知らなくても読み応えある)

たとえばミロンガ(タンゴのパーティー)で2人で踊ってて、なんだか合わないことがある。

そんなとき、たとえ女性側のミスであっても自分から謝るんだと、セバスチャンは自分の生徒に教えてるんだって。

たとえどれだけダンスが上手くても、間違ったアクション(相手に対して舌打ちやため息、イライラしてるのを悟らせる行動)は、たった一回でも、その人の、ミロンガでの地位はダダ下がりしてまうから絶対にNG。

たとえば、踊りの中で「相手が勝手に動いてる」という考えは一昔前の男性支配的な考え方。

お互いを尊重し合うということは、「いま、2人は違うリズムを感じ取って(あるいは違う感情で?)踊ってるんだ」という考えになるはずだと。

「自分にとってこう思う」、「自分はこう感じる」とあくまでも自分の意見を発信することが大事ってことだね!

ここで、セバスチャンが自身に起こった出来事を話してくれた。

先日、即興でのエキシビジョンをする機会があった。

女性は緊張でうまく踊れなかった。そこで、落ち込んでいる彼女にこんなアドバイスをしたんだって。

「ぼくら、エキシビジョンで踊るってことはライオンと闘うようなものなんだよ。猛獣に一ヶ所、二ヶ所引っかかれることなんて当たり前。それに、怪我しなかったら、それはそれで印象に残らないよね。ぼくは、君の傷痕も愛すよ」

…なんと、まぁ。

そう、タンゴは即興のダンス。そもそも即興でパーフェクトに踊ることなんてほぼ無理(ある程度は知識と経験でなんとかなると思うけど)

そして、それがエキシビジョンともなると緊張するのは当たり前。それをセバスチャンは「君の傷痕ですら愛すよ」って。

てか、世の中のパートナーたち(タンゴとか関係なく日常のパートナーも)

お互いがお互いをこうやって尊重し合えたらイザコザなんて起こらずに平和に過ごせるんだろうな。

日常の「なんで○○してくれないの」って、結局はタンゴでいう「なんで勝手に動くんだ」と同じなんだと思う。

「相手は○○すべきだ」っていう風に、相手の行動を支配している(もしくは自分の意見を押しつけようとしてる)ってことになるんだ。

聖人(と呼びたい)セバスチャンはどんな時にイライラするんだろう。個人的に聞いてみたい。

他にも、関節と筋肉の動きについて、そのエクササイズ、水中で踊る感覚についてなどなど、興味深い話が盛りだくさんでした。

実践してみて、自分のグループレッスンにも取り入れたい!

ではでは、この辺で!

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