冬08

ホンモノの星空で案内するだけがリアルではない

ホンモノの体験は全てに勝る!

ホンモノを見るために!!


ホンモノを体験させるのが何よりなんだ!!


と信奉することは、あらゆるジャンルで、ありがちな話である。

天文業界も、そういう信奉者に満ちあふれている。

星のソムリエ、と言われる連中にも、そういう勘違いをした連中が多い。

その勘違いは甚だしいもので、メガスターで知られる大平貴之氏がTwitterで嘆いていたのが

「星のソムリエな人に、『惑星も投影できないプラネタリウムに価値はない』って言われた」とかそういった内容。

大平氏いわく、まずその発言自体に、事実誤認があって、古いプラネタリウムは機械的に惑星の動きを再現していたが、現行機種においては、メガスターに限らず、惑星投影は別で、というのが主流である、という点。
それゆえ、謂れ無き批判でもあることもあるのだけれど。

なにより、プラネタリウムを、リアルの星空案内の下に見ようとする意識にあふれていないか、と。

まあ、ぼくも、プラネタリウム投影で、「では実際に見てみましょうね」と言いつつ、実際に見て見る際には屁の役にも立たないプラネタリウム解説者は批判し続けてきた。

しかし、自分の目で見る宇宙がリアル、といえるだろうか。

望遠鏡でオリオン大星雲見てもプラネで紹介できる写真のようにピンクに見えない。

白く、ボワッと見える程度で終わってしまう。

でも宇宙の組成とか考えるには写真が真実なんよね。

それを自分の目で見る、という体験には意味があるかもしれない。
しかし、人間の目では、感度がたりなさすぎて、宇宙の真実は見えていないのである。

あれが水素でHαが見えないから天文の理解の上で無意味。

……とはプラネの人言わないわけでさ。
プラネタリウムで、じっくり座って、その真実というか、目で見るだけではわからない科学の解説が出来る場、リアル以上の理解を深めることが出来る場、としてもプラネタリウムだったり科学館だったり、には存在価値があるはずだ。

そもそも、どこまでが眼視で案内出来るリアルというのも、見える星空は相手の年齢や視力によって変わってくる。

望遠鏡の集光力は人間の瞳孔が7ミリまで開く、として計算するけれど、高齢になってくると、5ミリまでしか開かなくなって、集光力は半分になるなんていうし。見える星が1等違う。

望遠鏡を覗いたことある、M42/M43の写真を見たことある、ということだけでも、オリオン大星雲を望遠鏡で見た時の理解は違うんよ。そこを常に「ボーッと見えるのが星雲」としか言えないならそれは、星空案内人としてクソとしか言いようがない。

写真で見た時のような、こういうガスの流れ、くらいは、綺麗な星空のもとであれば、確認することはできるからね。
相手を見て、その時の空を見て、どこまで解説するか、を切り分けることが出来て、ようやく星空案内人と言えるんじゃないですかね。

で、そこから先。
写真だと色がついて見える。

この件に関しては、現場では逆に説明し切ることが難しい。
このHαの赤っぽい色、は望遠鏡で見ようと思ったら、口径50センチクラスを郊外で。
日本でも、それが可能で、常時一般開放している公開天文台は皆無といっていい。

プラネタリウムやら、科学館の役割、ってのはそこでしっかり「人間の目では見えない科学」を伝えることだと思う。

プラネタリウムの解説者は、引きこもっていては「実際に見てみましょう」なんておぼつかないし、現場の星空案内人は、その先の科学、を解説する場としての科学館を利用するくらいでなければならない。

ここの連帯が生まれないかぎり、天文ブームが真に定着していくことはないのかもしれない。

科学館の生き残りには現場の星空案内人が不可欠だし、現場の星空案内人が、それを宇宙科学への興味の入り口、天文普及としていくならば、科学館を利用することは不可欠なのである。


※というわけで、いつもの投げ銭仕様だよ!
この下に内容はないよう!!

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