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研究雑談

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研究に関する雑談noteです.
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記事一覧

ヨビノリたくみ氏の応用物理の記事

応用物理学会の機関紙に掲載されたヨビノリたくみ氏のインタビューでの発言が軽くバズっていたので,遅くなりましたが私も元記事を読んでみました(無料PDF版あり). https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/92/6/92_365/_article/-char/ja/ 記事の後半で「基本的な学部の授業は教育のプロに任せて,大学の先生は研究や専門的な授業だけするのが理想」といった話をしていて,このあたりがひとり歩きした面もあって議論が

メルカリの経営する鹿島アントラーズの人材獲得

YouTubeのPIVOT公式チャンネルで,メルカリによる鹿島アントラーズ経営について,メルカリ会長で鹿島アントラーズFC社長の小泉文明氏がインタビューされている番組が公開されていたので見てみました. https://www.youtube.com/watch?v=Emf3rMNJ7AI 興味深かったのが,「15:12 クラブ経営における規制」で扱われていた人材獲得に関する話(18:10あたりから). これまでサッカー業界の採用は,縁故採用が多くてあまり一般に開かれたもの

『理系の文章術』(更科功著)

『理系の文章術』を読みました.著者の更科功氏は分子古生物学を専門とする生物学者です. 最近また科学研究費助成事業(科研費)に応募したのですが,その研究計画調書を書くにあたって何か参考になりそうな書籍がないかなと思って探してたところ,ちょうど友人がオススメしてたのがこの書籍でした. https://amzn.to/3CEHhRc この書籍は,東京大学の駒場キャンパスで著者が担当した「科学技術ライティング論」という講義の内容がもとになったものだそうです.駒場キャンパスとのこと

研究室運営にもコーチングのスキルが不可欠では

『新コーチングが人を活かす』(鈴木義幸著)という書籍を読みました. コーチングというのは聞き慣れない言葉だったのですが,本書ではコーチの定義について コーチとは「人の主体的な行動をうながせる人」「相手の中にある情報を一緒に探索,発見し,未来に向けた原動力に昇華することのできる人」です.(SKILL 7) と記されています. これを読んでいて,もしかしたらここでいうコーチというのは,今後研究室を運営する際,メンバーと一緒に研究を進めていく上で望ましい姿なんじゃないかなと

オンライン開催の天文学会春季年会に参加しました

先週は日本天文学会春季年会に参加してました.前回に続いて完全リモートでのオンライン開催. 関係者の方々のご尽力のおかげで前回の年会からいろいろアップデートされていた印象でした.覚えている範囲でここに所感を残しておきます.ちなみに前回の所感はこちら. タイムキーパー問題が解消された 何より良かったのは,前回不満に感じたタイムキーパー問題が完全に解消されていたことです. 前回の学会では,タイムキーパーは従来どおり講演開始からの経過時間をはかっていました.ただ,その共有方法は

87歳になられた現在も現役研究者の上皇さま

ふとTwitterタイムラインにこんな記事が流れてきてほっこりしました. 上皇さま87歳に 美智子さまと穏やかな日々 コロナ拡大の影響案じ https://mainichi.jp/articles/20201222/k00/00m/040/280000c こうしたニュース記事ってそのうち消えてしまう気がするので,一部の内容をメモとして残しておきます. 何より驚いたのが,上皇さまは87歳となった今でも研究者として現役であるということ. 上皇さまは3月、美智子さまとともに

日本学術会議の新会員に任命されなかった方々の著作

日本学術会議の新会員候補の任命拒否問題が話題になってたりしますが,それに関連して東大本郷書籍部で,任命されなかった6名の方々の著作フェアが開催されていることをTwitterで知りました.(本郷書籍部の本アカではつぶやいてないっぽいけれど.) それで,どんな著作があるのか気になったので,Amazon検索してヒットしたものを以下にいくつか集めておこうと思います. 芦名定道氏

新着論文紹介ゼミの形式

ふと,新着論文紹介ゼミってどういう形式が良さそうか,について考えたので,備忘録としてこちらに記しておきます. 研究室や研究グループのメンバーで集まって新着論文を紹介し合うゼミっていろんなコミュニティで開催されてると思うのですが,ぶっちゃけこれまで経験した範囲で参加し続けたいなって思えたものって,なかなか少ない気がします. これまで参加したことのあるものについて,そもそも参加した動機って何だったっけって思うと,たいてい研究室メンバーの多くが参加しているからとか,所属している

オンライン開催の天文学会秋季年会に参加しました

先週は日本天文学会秋季年会に参加してました.もともとは弘前大学で開催される予定で,青森県は未踏の地だったので楽しみにしていたのですが,新型コロナウイルス感染症対策の影響で完全リモートでのオンライン開催でした. いくつかのセッションに参加したのですが,大きな問題なく快適に楽しむことができて,これはこれでアリなんじゃないかと思いました.せっかくなので覚えている範囲でここに所感を残しておきます. オンライン学会の良かった点まずはこれまでのオフライン学会と比べて,良いと思った点を

中高大の天文部との共同研究とか

オンラインでゆるくつながる共同研究の機会に興味を持っていまして,先日次のような記事を書きました. それで引き続き,良い機会ないかなと頭の片隅に置いているわけですが,今さらながらいろいろな中学校や高等学校,大学などに「天文部」や「天文研究部」といった部活動があることが気になりました. https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=astronomy パッと見た感じ,それぞれが所有している望遠鏡で一

一緒に天文学の研究をしてみませんか,っていう緩い公募

私は,とある研究機関で宇宙の研究に従事しているのですが,ここ一年ほど,本職に何か活かせることがあるかもしれないと思って,データ分析コンペに出てみたり,東大松尾研が主催されてた深層学習講義などを受講したりしていました. おかげさまで,そうして手を動かしている中で,機械学習でできることをいろいろと知ることができたのはとても良かったと思ってます.また,そうしたコミュニティに入ることで,とても精力的にデータ分析に取り組んでいる人たちがいることを知れたのも良い刺激になりました. た

論文を出したらその概要を動画にしてYouTubeに置いてもいいかも

少し前にコロナ禍で緊急事態宣言が出て大型書店が営業してなかった頃に,興味のある本の内容を確認するのにYouTubeに上がってるレビュー動画が便利なことに気付いたのですが,これ研究紹介にも活用できそうに思い始めました. たとえば,YouTubeに論文概要のプレゼンを置いておいて,arXivのコメント欄にリンクを貼っておくとか. で,ちょっと検索してみたら,すでにやってる人がいました。 https://arxiv.org/abs/2002.08964 これを見てて,すばる望

公募の推薦書って意味あるんだろうか

大学や研究機関の公募に応募する度に思っているんですけど,推薦書ってどれくらい意味があるんでしょうか. 応募者が推薦者にお願いして書いてもらうわけなので,基本的に応募者は応募者のことをよく書いてくれそうな人にお願いするわけで,応募者について良いことしか書いていないですよね.書かれていないことからその応募者の良くない点が推測できる,っていう機能は果たすかもしれませんけど,なんだか回りくどい.審査の際にどれくらい参考にされてるんでしょうか. 何より,推薦書を書く方の時間を奪いす

論文レフェリーってもっとフレンドリーな方がいいんじゃないかな

Twitterのタイムラインを眺めてたら,ある研究者のツイートで,自分たちが投稿した学術論文に対するレフェリーレポートが返ってきたけれど,改訂に取り組むのが辛い,と言っているのが目に入りました. 私はそのレフェリーレポートを見たわけではないので実際は分からないのですが,推測するに,届いたレフェリーレポートには手厳しいコメントが並んでいて,それによりその研究者は論文を改訂する気を失ってしまっていると思われます. そんなふうに考えたら,なんとなく残念な気持ちになりました.