マガジンのカバー画像

石造物・石仏

5
石造物や石仏についてのメモ
運営しているクリエイター

記事一覧

庚申塔

庚申塔

先日、久しぶりに大東市中垣内の庚申塔を見に行きました。

 関東では数多く現存する庚申塔ですが、何故か関西では珍しいですね。
 庚申塔とは庚申信仰に基づき建立された塔の事を言います。
 庚申信仰は、干支で言う60日に一度やって来る庚申の日の夜に、人の体内に棲むと言われる三尸と呼ばれる虫が、宿主が寝ている間に体内から抜け出して天帝にその宿主の行った悪行を報告し、寿命を縮めるとされる言い伝えです。
 

もっとみる
遊女塚

遊女塚

 今の尼崎市神崎の地は、長岡京への遷都以来、西国と都を結ぶ神崎川を行く舟の中継点の湊として人や物が集まり大いに栄えました。そしてそれとともに大江匡房が言った「天下第一の楽地」として遊女が集まる歓楽街にもなったのです。

 この遊女塚は当時神崎にあった如来院という寺院の由来である、法然上人と遊女についての伝承に基づく供養塔として建立されたものであります。
 法然上人が京都から讃岐へ遠流される途中立ち

もっとみる
熊田亀次郎氏の事

熊田亀次郎氏の事

 藤井寺市惣社にある古代〜中世の複合遺跡「国府(こう)遺跡」の中で異様に目立つ、衣縫廃寺の塔礎石の上にコンクリートでやたら雑に引っ付けられて建てられた「義侠熊田氏」の石碑、やはり気になって調べた人がいるようで、そのブログによれば明治時代に今の近鉄道明寺線である当時の河陽鉄道の土盛工事を請け負っていた熊田亀次郎氏が、困窮していた地元の小作農民に土木作業の仕事を周旋し、そのおかげで財政的に潤った農民た

もっとみる
亀に乗ったお墓

亀に乗ったお墓

 このお墓は、1615年(慶長20年)の大阪夏の陣で、徳川方の武将として木村重成率いる豊臣方の軍勢と戦い没した山口重信の墓です。
 そう言う昔の武将にあまり興味がない私は、この前を通ってもさらりと眺めるだけでほぼスルーして来たのですが、藤井直正氏が書いた「郷土史のたのしみ」という本でこの墓碑が「亀砆(きふ)」と言う亀に似た贔屓(ひいき)と言う伝説上の動物の上に乗ったものであることを知り、改めて観に

もっとみる
将軍地蔵尊

将軍地蔵尊

大阪市天王寺区上本町8-9-14にある「将軍地蔵尊」の由来が書かれた石碑の文章をとりあえず書き起こししてみました。

『この将軍地蔵尊は大阪師団創設の頃城内東南部杉山より小宮町に移されたが、偶今次の特別都市計畫に伴う街路の整備にかかり、町有志の奇特と地主野村建設株式會社の厚意に依り現地に再建せされたものである。
後(御?)本体は継体天皇の御宇任那国主であつた、火葦北国造刑部靱部阿利斯登公の子日羅

もっとみる